事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

足立議員のもう一つの質疑「韓国の海洋放出放射線量を世界に発信すべき」

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11月8日の経済産業委員会において足立康史議員が質疑を行い、森ゆうこ議員の通告時間が22時以降だったという答弁を引き出しましたが、その前の質疑において「韓国の海洋放出放射線量を世界に発信すべき」という趣旨の要求をしていたのでそちらも紹介します。

足立康史議員の経済産業員会での質疑

衆議院インターネット審議中継

衆議院 経済産業委員会  2019年11月8日 (金) 

足立康史議員の質疑を本論に入った途中から書き起こします。

「韓国が海洋放出している放射線量を世界に発信すべき」

足立康史議員 この処理水の問題、いま、大臣も風評と仰った、まさに本当はすぐに排出したらいいんだけど、なぜか知らないけどトリチウム水タスクフォースとか、ALPS(アルプス)小委とか、要は東電を経産省が止めちゃっているんですよね。それはいいんですけど、細かいことはいいんですが。まぁ、よくないんですが。そもそもですね、風評を拡大しているのは日本政府じゃないかと思っているんですよ。いや、梶山大臣は就任したばかりで、梶山大臣が何かということではないんだけど。例えば、福島のタンクにたまっているトリチウム水、それよりも大量のトリチウム水を韓国は海洋放出してきていますよ。何倍だっけ?3倍説とか6倍説とか8倍説とかいろいろあって、私がチェックすると8倍。年間ですよ?あ、年間6倍。だから、福島のタンクの水を全部出したって韓国の6分の1ですよ。何でその韓国に文句を言われなければならないんですか?大臣には着任早々申し訳ないですけれども、これ経産省だけじゃないかもしれない、規制庁あるいは外務省、どこでもいいんです、環境省。環境大臣だってせっかく発信力を期待されて大臣になったんだから、世界に発信してくれたらいいのにね?(議場笑)まぁいいや。いないもんね。大臣、これ韓国にちゃんとそれ、君たちの方がたくさん流してきたんだよと言っていないんですか?

梶山経済産業大臣 これまで韓国の原発における放出量を明示した上での反論はしておりません。一方で、今年9月に開催されましたIAEA総会では、韓国を含む世界各国に対して日本政府より福島第一原発のアルプス処理水に含まれるトリチウムは韓国をはじめ、世界各国の原発から放出されるトリチウムと科学的に変わりがなく問題が無いという指摘をしているところであります。ただ、科学的な検証は検証として、やはり、こういうものが動く移動する、また、保管されるという事に対して、それぞれの思いが風評に繋がってると思いますので、その払拭というものが非常に重要な課題だと思っております。

足立 いや、あのね、韓国がワーワーいうと、国際社会で言うと。また韓国が国際社会で言うとそれを日本のマスコミが垂れ流す。それが風評を産んでいるんですよ。最大の風評はそれですよ。ところが今大臣が正直に仰って頂いたように日本政府はこれまで数字を示して君たちの方が6倍よ、3倍よ、8倍よ、ということを言ってないんですよみなさん。ちょっと自民党のみなさんなんとかしてくださいよこれ。議院内閣制なんだから。ねぇ?何で言わないのこれ?大臣、さっき仰った国際会議は確か竹本IT担当大臣が行かれたんですよね?期待してませんから竹本さんには。だから経産大臣是非ね、どっかで機会を見つけて数字の議論、国内の国民に対しては風評、特に福島の方、漁民のみなさん、そりゃ風評のことをちゃんと議論せなあかんですよ。しかし世界に対しては科学的事実を正面から。だって君たち自分たちが出してきたのに福島だけを云々するの?東京オリンピックパラリンピックを失敗させたいのか?と反論したらいいじゃないですか。大臣ちょっとお願いできませんか?

梶山経済産業大臣 科学的な調査の結果の内容については国際社会に向けても話をして参りたいと思っています。先ほどの韓国の話、IAEAは向こうがが取り上げたんですね。それに対して韓国を含む形で反論ではありませんけれども韓国の例を挙げさせていただいたところであります。

足立 ごめんなさい竹本さんの話は別の国際会議の話でしたね。IAEAはまた別だと。ちょっと事務方、これ、あ、須藤先輩申し訳ございません、これ数字を出して言えないんですか?松永さんが押さえ込んでいるんですか?(議場笑)ちょっと、ちゃんと言ってください。ちゃんとこれ国際社会に言っていく。約束してください。

経済産業省 須藤 大臣官房福島復興推進グループ長 足立先生ご指摘の通り科学的事実に基づいてきちんと国際社会に向けて情報を提供していくことが重要だと思います。今後必要に応じてですね、韓国の原子力発電所のを放出論にも触れながら、韓国を始めとする国際社会に対して透明性を持って丁寧に発信をしていきたいと思っております。

足立 だから大事なことです。今まで数字で韓国をはじめ、例えば韓国ですよ、韓国に数字で反論してきてないんです。するということでいいですね?

須藤 必要に応じまして、各国からの原子力発電所からの放出量にも触れながらきちんと透明性を持って説明していきたいと思っております。

足立 韓国に対してちゃんと言ってくださいね。何日以内に韓国に対して言いますか?

須藤 いろんな場で調整をしたりですとか、適切な場があろうかと思いますので、そういう場で放出量含めて丁寧に発信していくという形で。

足立 ちょっと年内という約束をしてください。

梶山経済産業大臣 日本の処理水の数値だけでなく各国との比較が当然必要になりますので、必要に応じてそういう比較も含めて広報をして参りたいと思います。

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韓国の海洋への放射線放出量については記事にもなっています。

韓国の月城原発のトリチウム海洋放出量が6倍

福島第一のトリチウム水にイチャモンをつける韓国は、その6倍以上のトリチウムを日本海に放出(改訂) – アゴラ

月城原子力発電所からのトリチウム年間放出は、トリチウム回収設備の導入や一部原子炉の停止などで2010年以降半減しているが、2009年までは400テラベクレルを超えていた。4基体制に入った1999年10月以降だけで見ても、これまでに累積で6,000テラベクレルを超えるトリチウムを放出してきた。

福島第一原発に貯留されている現在のトリチウム総量は1000テラベクレルなので、月城原子力発電所の累積放出量はその約6倍にあたる(注)。しかもその放出先は日本海である。

韓国の原発のトリチウム海洋放出量が6倍というのは、月城原発の放出量だということです。全部の原発を合わせればどうなるんでしょうか?

もっとも、この数字が大きくて危険だということはないので、そのあたりは誤解しないようにしなければなりません。

閑話休題

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国民には知らせない:福島の公聴会で世界地図は出すが日本地図は出さない

足立 今大臣がおっしゃった比較考量するというのが大事なんです。福島のだけ特別だって、いや、それは処理水の出自、出自は特別ですよ?だって事故が起こったんだから。シビアアクシデントが起こったんだから特別です。でも、その特殊性を飲み込むために頑張っているんでしょ?科学的な事実に基づいて。ところが日本政府自身が事故ということに足を取られて、世界に対して或いは国内でちゃんとした議論ができないとすれば私は本末転倒だと思っています。その比較をするときにですね、福島の処理水の問題と、いま韓国と言いますけれども、まず国内で比較してくださいよ。福島で説明会を開きました。公聴会。公聴会では世界地図は出されました。日本地図は出してないんですよ?みなさんご存じ?世界地図は出した。日本地図は出さない。だから日本地図は知らしめるべからずと、自民党政権は長らく国民には知らせない方がいいんだと、いうことでやってきているわけです。だから福島の公聴会には世界地図は出した。世界地図どこでどれだけ輩出しているか出した。ところが日本のどこでどれだけトリチウム水が出ているかということは、そりゃ数字はネットを漁っていけばあるんですよどっかに。奥深くにあるんです。一般国民は見れません。僕だって探しても見つけられない。ところが地図にしてわかりやすく予算委員会で私共の馬場幹事長から私共が作ったものを出しましたよ。政府がやるべき仕事だねそれは。

処理水をタンクにためるリスクと海洋放出するリスク

足立 だからいろいろ質問したいことがあるんですが、僕は風評を広げたいんじゃないんですよ。それよりも福島の1000兆ベクレルよりも多い1300兆ベクレルを毎年流す予定になっているんですよ六角村では。また青森のみなさんに怒られそうですけれども。でも政府がやっているんだから、それを青森の漁協もOKしてるんだから。自民党しっかりしてくださいよ。だからそれからもう一つは、タンクに貯めておくことにもリスクがあるでしょ?タンクにためておくリスクと海洋放出するリスク、どっちが大きいんですか大臣。

梶山経済産業大臣 先ほど申しましたアルプス処理委員会でも両方の意見が出ています。たとえばこれが唯一無二の選択肢ではありません。今いろんな選択肢を検討しているところでありますけれども海洋放出の際のリスクを一概に比較できませんけれども、小委員会では風評被害が発生する一方でタンクの腐食や操作ミスによる漏洩リスクを抱え続けているという意見も出ているということでございます。

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以降、森ゆうこ議員の質問通告遅延に関する質疑に移りました。

韓国の空間放射線量は日本の3倍

韓国の空間放射線量が日本の3倍であるということは外務省もHPで掲載するようになりました。また、在韓日本大使館は2018年の時点でそのようなデータを公開しています。

海洋放出の放射線量についても同様にすれば良いですし、国際社会の場で数字を提示すれば良いと思います。

まとめ:「丁寧な無視」とかいう事なかれ主義

足立議員が指摘しているのは日本政府の韓国に対する無為無策でした。

丁寧な無視」という方針を言う自民党議員が居ますが、それは大きな視点での話であって、細かいレベルでは機会を捉えて韓国側の主張を国際社会で木っ端みじんにする発信をしていくべきでしょう。

足立議員が言っているのは国家機関のレベルでは当たり前の話であって、改めて言う必要が無いと思う人も居るかもしれません。

しかし、足立議員が指摘しているように「メディアが韓国側の主張だけを報じている」ことが問題なのであって、国際社会の場で韓国のトリチウム放出量を指摘していくことでメディアにもそうした情報が流れるようにするべきでしょう。

また、日本国内における議論も、中途半端に情報を提示しないことが不信感を招いている場合もあると思います。足立議員が指摘した公聴会で日本地図に触れないという点はその例だと思います。

以上