事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

北朝鮮に横流し?韓国の不適切輸出管理についての古川勝久と李泳采(イヨンチェ)の議論:日テレ深層News

 

f:id:Nathannate:20190713230040j:plain北朝鮮に横流し? 韓国“不適切”輸出管理|日テレNEWS24

元国連北朝鮮制裁専門家パネル委員の古川勝久と恵泉女学園大学の李泳采(イヨンチェ)教授により日韓の見解が語られましたので、気になるところを抜粋して要約しました。

韓国の青瓦台に情報が伝わっていない

冒頭に古川氏が韓国の方から青瓦台に正しく情報が伝わっていないのではないか?という声があるということが指摘されていました。

韓国の中でも大統領府(青瓦台)とそれ以外の行政組織とでも認識の差異がある可能性が示唆されていました。

WTOは機能不全:上級委員会の委員が2人になって更新されない

最初に古川氏がWTOの状況について説明しました。

WTOの審理は1審の「パネル」の後に最終審である2審の「上級委員会」があります。

そのうち上級委員会の方は本来は7名の委員で構成され、事案の処理は事案毎に指定された3名で行うことになっています。

しかし、アメリカが委員の後任の任命に反対したために、今後は2名になってしまい、機能不全に陥るということが指摘されています。

そのため、古川氏はWTO訴訟における主張ではなく、今回の優遇停止措置についての日韓間における主張の問題であるという視点から論じています。

あと、この話を聞くときは「政府」と「企業」を分けて考えると話が理解できます。

日本政府は「北朝鮮への横流し」の具体的事実があると言ってるのではない

動画の11分くらいから本題に入ってきます。

4年間で156件の摘発件数があるということの意味について。

李泳采「管理を強化した結果である」

古川「日本企業からすると、政府がどう、というよりは韓国企業にこれだけの不正を行う企業が居るんだということで不安になる、そう受け止めざるを得ない。日本側としては「日本の製品が第三国を経由して不正輸出される懸念」が問題である。」

李泳采「韓国は摘発事例を公開しているが日本は公開していない」?

李泳采「韓国は輸出管理システムを強化していている一方、アメリカは260件の不正輸出の事例がある。日本の資料によれば日本の企業も摘発され、北朝鮮、イランなどに大量破壊兵器関連物資が不正輸出されている。」

古川「今の李先生の指摘がまさに韓国の通商産業部の言ってること、これは間違い。日本は公開していないと言うが、今李さんが言った日本の資料というのは財団法人(※CISTECのこと)が輸出管理者のために作ったもの。これは別にすべての事例を網羅して日本政府の発表を代替するためにやってるものではない。」

古川「日本では韓国と違って、輸出管理法にそぐわなかった企業に対して警告を出した場合にはすべて実名公表している。さらにより悪質な企業や個人の場合には逮捕・訴追される。すると警察はその日にすべての事案に対してプレスリリースを行う。事案の概要、どの企業か、なぜ事案が発生したのかなど。そして、裁判になれば公開され、結審して結果が出ればそれもプレスリリースされる」

古川「経産省のカウンターパートである韓国の通商産業部が政府機関と財団法人の区別もできない。その状況を私は非常に懸念している。」

古川「日本政府韓国から北朝鮮に大量破壊兵器関連物資が渡ったということは一言も言っていない」

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李泳采「日本の資料(上図)には日本の企業が北朝鮮等に不正輸出したという事が書いてある」

古川「誤解があるようですが、あの資料はこれまで裁判になって有罪になったものについてだけ発表している。警告を受けただけの企業は入っていないし、逮捕されたけど有罪にならなかった者も入っていない。ただ、どこが違反したのかは経産省は毎回発表している。それを韓国大使館もすべて受け取っている。なぜそれをソウルの本省は知らないのか?

李泳采「今の状況はまるで韓国だけが安全保障上問題があるかのようになっていて、日本は問題がないということになっている。」

古川「誤解があるが、日本政府は韓国から北朝鮮に大量破壊兵器関連物資が渡ったということは一言も言っていない。我々にとっての懸念というのは、大量破壊兵器・化学兵器・生物兵器、機微な技術・物質を拡散しないように、責任を持ってみんなで管理しましょうという国際レジームに基づいて各国がリストに基づいてやっている。そのはずが、韓国に輸出したものがその後どこに行ったのか分からない、韓国企業に日本の輸出者が問い合わせても答えがない、そして、日本政府が韓国政府に働きかけて韓国企業に聞き出してと言ってもレスポンスがない、ゆえに、日本側としては輸出したものがどうなるのかという懸念が払しょくできない。こういう事は他のホワイト国では起こっていない。」

制裁強化をした時期と営業利益が増加時期が一致

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李泳采「韓国は輸出管理を強化している」

古川「北朝鮮と瀬取りを行っている疑惑があるという情報をアメリカ等から受けて韓国政府が港に船舶を泊め置きしているなど、摘発に大変な努力をしている。ただ、そういうことをする企業が居る。これは韓国政府が取り調べている最中で結論を出していないものだが、瀬取りをしている疑惑の石油タンカーの船舶会社の営業利益が北朝鮮制裁が強まった2017年から大幅に増えている。どういう理由かは未だわからない。ただ、制裁強化をした時期と営業利益の増加時期が一致している。他にも北朝鮮産石炭の密輸入をした貿易会社が同じような傾向を示している。」

古川「日本から北朝鮮に韓国経由でベンツが不正輸出された事件があります。その後もこの企業のビジネスに大きく影響はしていない。こういう企業が多いのだと思う。実はキムジョンウンが載っているベンツについて近くアメリカが報告書を公開する。北朝鮮に行くまでのルートとして韓国企業が挙げられている。その企業の名前は今年の5月にアメリカが差し押さえた「ワイズ・オネスト」(※聴き取りあいまいだったがCNNの記事で確認)という。もともと北朝鮮との取引は制裁以前は合法だった。北朝鮮との取引でやってきた企業がいきなり制裁だからといっても取引を止めるのは難しいということで、大体違反事件を見ると同じような企業・人が多い。そういう企業はもちろん日本国内にもある。韓国内にも居る。だからお互いに管理をきちっとしましょうという話」

韓国の資料では日本企業が韓国企業の不正輸出歴があるかを確認できない

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古川「韓国政府の資料(上図)では事件が発生した場所や、企業名もわからない。」

(※データへのリンクと内容の簡単な解説⇒ホワイト国から除外予定の韓国産業省公開の戦略物資無許可輸出の年次報告書

李泳采「韓国はリストを持っていて、公開しますと言っている。だからこれを国連に提供すると言っている。第三者に判断してもらう。」

古川「国連は関係ない、そんな役割は国連にはない」

※WTOの勘違いか?いずれにしても何をいわんとしているのか意味不明

古川「日本にデータが無いと言うが、日本の場合には事件になればプレスリリースがされる。先ほどの瀬取りの事件も韓国は企業名も事案の概要も公表しない。そうすると、日本の輸出企業が機微な貨物を韓国に輸出するとき、相手の企業が過去に輸出違反事件にかかわったかどうかというのは分からない。基本的な情報が公開されていない。李さんが公開していると言っている資料は一行の羅列。これは情報ではない。」

まとめ

この後は日本が輸出管理体制の見直しを発表した時期等から、李教授からは韓国側は徴用工訴訟問題の制裁ではないかと考えていることが示され、古川氏からはそれは違うと、安倍総理が両者を同列に論じたかのように話したのでそう考えてるかもしれないが、そうじゃないという説明をしました。

7月12日、経産省の事務方の説明会に韓国側が参加したことを受けて、古川氏と李氏が行ったような情報のすり合わせを普段からやるべきだと古川氏は言います。それは本来的に重要でしょう。

しかし、その会合の内容すら、韓国側は捏造しているようです。

日韓会合の説明に食い違い 韓国への不信感強める 経産省 - 産経ニュース

以上