辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票が行われました。
その結果を正しく認識してますか?
「反対派が7割」というメディアの報道に引きずられていませんか?
辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票結果
沖縄県の県民投票は移設反対が多数でしたが、中身はどうでしょうか?
玉城知事、反対72%も笑顔なく のぞく政治的計算https://t.co/8Nzl1TCbwx
— 産経ニュース (@Sankei_news) February 24, 2019
→「反対」は全有権者の過半数どころか、4割にも満たず
→平成8年に行われた県民投票では、米軍基地の整理・縮小を支持する投票が有権者の50%以上となっただけに、今回の結果が見劣りする感は否めない
投票率は有権者の約52%、埋め立て「反対」が投票総数の72%。「賛成」は19%、「どちらでもない」は8.8%でした。
この結果をもって「反対が7割」という人が居ます。
しかし、その評価ってどうなんでしょうか?
「反対に積極的ではなかった」のが6割
有権者の割合でいえば、反対票を投じたのは4割以下(37%)です。
さて、そもそもこの県民投票は何のために行われたのでしょうか?
今回の県民投票は、その結果によって辺野古の埋め立てが行われるか否かが初めて決まるというわけではありません。
既に行われている埋め立てに反対するという目的で条例制定され、反対票を示すために県民投票が行われたという事実を無視してはいけません。
「投票しなかった」、という行動も「民意」です。
このような場合、投票しなかった人は「反対に積極的ではなかった」となります。
つまり、「反対に積極的ではなかったのが6割」というのが今回の沖縄県民投票の結果の評価としてあり得る(あくまで一つの側面)ということになります。
これは通常の公職選挙とは異なります。
だからこそ玉城デニー知事の表情もこわばっていたのでしょう。
この点を各メディアは歪めて伝えていますね。
「知事の得票数を上回る」という詭弁
沖縄タイムスは「辺野古埋め立て「反対」が7割超え 知事の得票上回る43万票 沖縄県民投票、投票率は52.48%」というタイトルでした。
ちょっとこれ、笑ってしまいます(笑)
複数候補が居て他の候補の力にも関係する県知事選挙の得票数と、3択の意見投票の得票数を比べる意味はあるのでしょうか?
2018年の沖縄県知事選挙は佐喜眞淳・玉城デニー・渡口初美・兼島俊の4候補が居た選挙です。4択あった選挙の玉城氏の得票数を、3択の選挙が上回ったからといってそれだけで凄いとは言えません。
「反対が7割」が「圧勝」であるならば、こういう詭弁を弄す必要は無いのでは?
結果が思ったより良くなかったから何とか良く見せようとしてるとしか思えません。
憲法改正の国民投票との関係
こう言うと「憲法改正の国民投票も同じだ!」と叫ぶ人が出てくることでしょう。
それは支離滅裂です。
憲法改正の国民投票は、【改正するか否かがまさにその投票によって決する】のです。
だからこそ参加しない人の意見は捨象すべきことになるのです。
沖縄県の県民投票は、辺野古基地移設のための埋め立ては既に適法に行われています。
「移設のための埋め立て工事を始めるか否か」と「移設のために行っている埋め立て工事を止めるか否か」という違いを認識しない(認識させない)人が居るのはちょっと信じられません。
憲法改正の例にたとえるならば、「既に国民投票を経て改正された憲法に対して反対している」のが今回の沖縄県民投票なのです。
「憲法改正に反対」ではなく「改正された憲法に反対」なのです。
現実には「改正された憲法に反対」は、「新たな憲法改正」という手続を経ることになりますが、その際は、なぜ改正するのかという議論(憲法審査会や衆参議院での質疑)や立法事実についての検討が必要になります。
ところが、字義通りの「改正された憲法に反対」はそういった議論を経ませんし、立法事実は存在しません。単に「元に戻す」ということですからね。
今回はなぜ普天間固定化をするのか・なぜ辺野古に移設するのか、という議論だけしても意味はありません。そういう議論は既に行っており、基本的には「蒸し返し」だからです。
本来は【なぜ蒸し返しをしないといけないのか?】という議論が必要なはずですが、この点について実質的な議論をしているものは見当たりません。
しかも、県民投票条例の成立にあたっては「誠実な協議」を欠いた違法があります。
したがって、憲法改正の国民投票と、今回の沖縄県民投票はパラレルに論じることができない性質のものになっているのです。
それを「民意」だからといって強引に方針変更を迫るためには、それこそ「圧倒的な反対票」がなければ正統性は無いでしょう。
まとめ:政府は「民意」を尊重すべき
県民投票が終わり、開票も終了しました。
— 下地ミキオ (@mikioshimoji) February 24, 2019
「反対」43万4273票、「賛成」11万4933票、「どちらでもない」5万2682票、これに、投票に行かなかった55万余の県民を加えれば、「反対」は43万人超、「反対以外」が計71万人との結果になりました。 pic.twitter.com/e4WksijveY
「反対が7割」という評価・印象を持ってもそれはそれで良いでしょう。
ただ、「投票しなかった者も含めて積極的に反対しなかった者が6割」という民意があるという側面があるということを認識するべきだと思います。
それは通常の選挙では通用しない理屈ですが、なぜ今回の県民投票では成り立つのかは説明しました。
政府は沖縄県の民意を尊重するべきでしょう。
以上