事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

切り取られた尾身会長「普通は開催しない」発言書き起こしと隠された「ジャーナリストリスク」

尾身会長発言普通は開催しない、目的がはっきりしない

尾身会長が「(オリンピックは)普通は開催しない」と発言したとする報道。

切り取りが酷いので書き起こしました。

切り取られた尾身会長発言「普通は開催しない」発言書き起こし

報道された答弁は、衆議院厚生労働委員会 2021年6月2日 (水)における宮本徹(日本共産党)議員による質疑の中での尾身会長の発言。質問は省略します。

尾身 私はこれは国或いは組織委員会の関係者がオリンピックをやる、という決断をしたのか分かりませんけど。した、あるいはするのであれば、私は、いわばやや比喩的に言えばですね、三位一体の努力が必要だと思います。一つ目はこれは政府あるいは自治体のリーダーシップによる一般市民の協力で、人流に伴う接触機会をなるべく減らすということが私はこれは一般市民あるいは自治体・国の努力が必要だと思います。それからもう1つは、ここに来て人々がなかなか緊急事態宣言の協力を得にくくなっているという現実がありますから、相変わらず人々の努力だけに頼るという時期は過ぎたと思いますので、ITのテクノロジーだとかサイエンスだというものを最大限活用するというのがもう1つの三位。それから最後は、これはオリンピック組織委員会の人たちが是非やって頂きたいことですけども、オリパラもしやるのであれば規模をなるべく最小化して、管理体制をできるだけ強くすると。これだけ国の自治体の努力とサイエンスとテクノロジーの最大の活用と、それからオリンピックをオーガナイズする人の責任としては、これはなるべく今の状況でやるというのは普通はないわけですよねこのパンデミックで。そういう状況の中でやるということであれば、オーガナイザーの責任として、規模をできるだけ、開催の規模ですよね、これをできるだけ小さくして管理の体制をできるだけ強化するというのがオリンピックを主催する人の義務だと。そういう意味で三位一体の努力が必要だと思います。

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尾身 私は今回一番大事なのは地域での感染拡大を防ぐことだということは前から申し上げている通りで、そういう意味ではオリンピック委員会・政府・自治体が矛盾したメッセージは避ける。一体感のあるメッセージを出してくことは非常に重要なことだと思います。そういう中でやるやらないにしてもですね、どういうリスクがあるのかということをしっかり見極めた上で説明する必要があると思いますけど、私は人流の増大、接触の機会ということを前から申し上げておりますけれども、もう少しこれを分析しますと人流の増大には3つの要素があるんだということを十分理解した上で対策を打つなり決める必要があると。1つはですね、1つ目の人流増大に至る要素というものは、1つは観客のことで、観客が全国から集まる観客の移動に伴うもの、要素というのが一つだと思います。それから2つ目の要素というのは、パブリックビューイングだとか応援イベントやスポーツなどの応援に伴うものということがあると思います。それから3つ目は1つ目はいろんなところから会場に来る観客が来るというものですけれども3番目はそれとは逆に比較的都市部に住む人たちがこの期間実は連休もあるお盆もあるわけですよね。それ以外にも今度は帰省やら邦の…地方のおじいさんだったりおばあさん、そういうことと今度は帰省の方のそういうことですよね、こういう3つのリスクが実は地域においてあるんで、これはスタジアムの中のバブルの中の話とはまったく別の話で、こういうことがあるんだということを、実はこっちの方がはるかに感染リスクが高い、これをどう制御するかということをしっかりと考えることが、私は国として特に国内の方は地方自治体の責任ですよね。そういうことでしっかりと吟味する必要があると思います。

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尾身 これはリスクを仮にやるんであれば最小化するのが関係者の務めであると思うんですけど、私はどうやって感染リスクを最小化するということはもちろん当然、オーガナイザーの方々の責任だと思いますけど、そもそもオリンピック今回こういう状況の中でいったいなんのためにやるのか。目的ですよね。そういうことがちょっと明らかになってないので、このことを私はしっかりとはっきりと明言することが、実は人々の協力を得られるかどうかという非常に重要な観点だと思うので、オリンピックを仮にやるのであれば、いかに感染のリスクを評価してそれを最小化するということはもとより、いったい何のためにこのオリンピックを開催するのかという明確なストーリーというか話、いかに感染をリスクを最小化するということとパッケージに話すと、しないと、国民としては一方でおそらくここは国或いは自治体は、大臣仰るようになるべくテレビで観戦して外にはなるべく出ないでというような趣旨のことをお願いすることになりそうですよね。そういう中でやはり、なぜやるのか、ということ或いはオリンピック委員会の人がどれだけ汗をかくのかと、先ほどの三位一体のオリンピック関係者のですよね。そういうことが明確になって初めて一般市民はそれならこの特別な状況を乗り越えようと、協力しようという気になるんだろうと思いますけど、そうしたハッキリした国というかオリンピック委員会ですよね、なぜやりたいのか、というような…国ですかね、すみません、これは誰が決めるかということは分かりませけど、そういう関係者がそういったしっかりとビジョンと理由ですよね、これを述べることが私は極めて重要だと思います。それが無いとなかなか一般の人はこれに協力しようと思わないで地方で飲み会があったり、地方に帰れば同級生と飲もうと、せっかく。こういうことになる可能性は否定できないと思います。

尾身茂教授は開催の是非を論じていないし中止勧告を仄めかしてもいない

要するに、オリンピックを開催するのか知らないのかわからないが、開催する前提で、パンデミック中での開催は普通は行わないものなのだから、関係者が感染対策をしっかりするのが責任だ、という趣旨のことを言っているだけで、開催の是非については述べていません。 

また、「目的が明らかではない」という点については、それを明言することで、尾身教授の言う「三位一体の努力」が実行されやすくなるだろう、ということに関連して発言しています。

単に政府やオリンピック委員会を批判しているのではなく、開催に向けた「三位一体の努力」のためのものだということが分かります。

尾身茂教授は開催の是非については論じていません。

また、「中止勧告を仄めかし」てもいないことはこれで分かると思います。

この点は翌日の質疑において明確化されました。

参議院厚生労働委員会6月3日の質疑と答弁の書き起こし

参議院厚生労働委員会6月3日

打越さく良(立憲民主・社民) 分科会で 感染についてのリスク評価を行うことが妥当と考えられます。尾身会長の考えはいかがでしょうか。

尾身 委員の仰るアドバイザリーボード或いは分科会でですね、オリンピックを開くかどうかということを我々が判断するということは、私はそういう立場にもないし、そういう権限もないので、それについては判断をする権限がないということですけれども、しかしですね、仮に今どうもそういう状況になっているようですけれども、仮に政府がオリンピック委員会にですね、IOC決定をするということを判断された場合にはですね、私共はこの1年以上ずっと国内の感染対策について政府にアドバイスをするという立場で来ていますから、このオリンピックを開催すれば、それに伴って国内の感染或いは医療の状況に必ず何らかの影響を起こしますから、我々、こうして役割を担ってきた専門家としては、仮に国が或いは組織委員会がオリンピックを開催するということを決定した場合にはですね、これの感染のリスク或いは医療ひっ迫への影響について評価をするのは我々のプロフェッショナルとしての責任だと思っています。したがって、分科会という場でやるのが相応しいのか、或いは組織委員会のところに我々の考えを示すのか或いはその他の場所があるのかどうか、いろいろ選択肢があると思いますけど、それといつ我々の考えを正式に表明するかという選択肢がいろいろあると思いますけど、私共はなるべく早いうちに、どうなるにせよ我々の考えを正式にしかるべき所と場所にですね、表明するのが我々の責任だと思っているので、そうしようと思っています。 

打越さく良 今のところは政府あるいは厚生労働省の方からそうしたオリパラに関連した感染リスク評価、開催の可否について諮問は受けていないという事ですね。

尾身 これも前も何度か申し上げましたように審議官、事務局の方から非公式に私の方に接触がありまして、私の個人的な意見を申し上げましたけれども、専門家の意見をまとめて正式にあなたたちの意見を述べてくれという正式な要請はございません。

打越さく良 会長は昨日の厚生労働委員会で、普通は開催は無い、やるならという前提で、やるなら開催の規模をできるだけ小さくして感染リスクを評価するのが義務だとおっしゃいました。なかなか権限がないということではありましたけれども、開催の可否について改めて教えていただけないでしょうか。

尾身 先ほども申し上げましたように、オリパラを開催すべきかどうかについては我々は権限がないし、何かあったときに責任を問うことができませんよね。我々は政府に対していろんなアドバイスするので、IOCにアドバイスするという立場にはない。したがって、なかなかここが私共が毎日考えてますけど、我々の考えをまとめて専門家の考えをまとめて述べるのが責任だと思っていますが、いわゆる分科会というのは政府ですよね。政府に言ってもIOCに届かないと意味が無いということで、どこに我々の考えを述べたら我々の考えが届くのか、いま検討中ですから、そういうことで是非については、やるというのであればどういうリスクがあるのかを申し上げるのが、我々の仕事だと思っております。

打越さく良 IOCに届かないと意味が無いということで、昨日も開催の是非について政府だけでコントロールできないため、もしも開催した場合の感染拡大のリスクについて日本政府だけでなくIOC大会組織委員会に伝える可能性に言及されたと私は捉えたんですけれども、その点についてももう一度お願いいたします。

尾身 いま委員仰るように、このオリンピックの開催という問題は大きく2つの側面があって、しかもこの2つの側面が非常に密接に関係しているということだと思います。1つはバブルの中、或いはスタジアムの中の感染対策ということで、オリンピックはIOCという組織或いは組織委員会がプレーブックというものを今回第三番目ができるということですけれども、しっかりやろうとしている。やろうとしていることは間違いなくて、いろんなワクチンを打ったり検査したりということで、私はそちらはですね、ある程度は制御することは可能だと思います。しかし、実際にこのオリンピックというこれはもう普通のイベントとは違う規模ですよね。社会的な注目度も違う。このことをすることによって、当然人の流れというものが生まれてきます。人の流れというのは大きく分けて3つの要素というものがあって、なんか人流というようなのは何なのかと疑問に思われる方がいるかもしれませんけど、基本的には大きく3つの要素が、側面があると思います。1つは当然、全国からスタジアムへ観客が移動するという側面ですよね。それから2つ目はパブリックビューだとかいろんなイベント、会場の外なんかでスポーツイベントがあれば、そこでは観客と応援という側面がありますよね。そういう側面がある。それから3つ目は、今度は都市部にお盆も入ってきますよね、それから連休がありますよね期間中。なんとか感染を避けたいと言うと、都会の人が地方に行くということがあって、今度は都会から地方、お盆に帰省だとか、そういうところに行って、久しぶりにおじいさんに会う友人に会うというような、こういう大きな3つの要素がありますね。したがって、オリンピックのバブルの中だけを議論してもほとんど意味が無い。むしろ感染の機会は地域、オリンピックの開催というものに伴う人々の動き、今私3つ申し上げましたけれども、それが起きる可能性が極めて高い。したがって、これを成功させるためには、オリンピック委員会の方もこれは最大限の努力をしてもらう。それが私は開催する人の責任だと思います。それには規模をなるべく小さくして、それから人数ですね、人数も含めた規模をなるべく少なくすると同時に、いわゆる管理ですよね。選手の方のリスクは極めて低いと思います。しかし、いわゆる大会関係者という人たちがいますよね。ジャーナリスト、スポンサー、政府の関係者、要人なんかがいる。この人たちの管理はそう簡単ではないと思います。そうしたことと、国内のですね、さっきの移動について何とか国民の、一般市民の理解を得てもわらないといけませんよね。この2つが一緒の方向を向いてやらないと、いくらバブルの中だけをコントロールしても、なかなか一般の人が納得して、しっかりといわゆる静かにたとえばテレビ大臣仰ったようなテレビを家で見てくださいというメッセージが伝わらないと。そういうことで私はオリンピック委員会の方も国内の状況を十分理解してもらわないと、スタジアムの中だけのことを考えても私はしっかりとした感染対策はできないと思うので。そういう意味で、私三位一体と言ってますけれども、オリンピックの関係者と政府と。それから政府の方にはこれから非常に重要な時期になりますから、今まで通りの感染対策ではだめで、ワクチンが今やっていますから、ワクチンに加えて検査だとかその他のいろんなテクノロジーを使った今まで以上に強い対策をしていくという、それぞれが連携して役割を果たさないとなかなかこの難しい。これは本来はこういうパンデミックのそういうところにやるということは普通ではない。それをやろうとしているわけで。やろうとするんだったらかなり厳しい責任をそれぞれの分野やオリンピック委員会も政府もやらないと一般市民が付いていかないじゃないかと。是非そういう、やるんならですね、強い覚悟が必要だと思います。

打越さく良 今、プレーブックのことも言及なさいましたけれども、プレーブックについても見落としているところがあるという指摘もあります。たとえば、選手などについては記載があるけれども、種目によってリスクは全然違うけれどもそういったことについての記載がないということとか、或いは選手だけでは無くて、選手村に出入りする、清掃を担当する方だとか、そういう人たちについては無い、記者、マスコミの方たちについても注意がないというようなことがあったかと思うんですけれども、この点はどうお考えでしょうか。

尾身 プレーブックについてはもちろん規則で完璧なものは世の中でないわけで、それは改善するという事でおそらくそちらの方では今改善の努力がされているというふうに私は理解していますし、よりよいものが出来ることを期待しています。で、プレーブックについての課題はそこではなくてですね、そこは十分オリンピック委員会は認識していると思います。むしろそこではなくてプレーブックに書かれていることが本当に遵守されるかどうかということ。それは私が以前から申し上げているように、選手は守るインセンティブは非常に強いですよね。しかし、その他の大会関係者と言うのは、よく言われているジャーナリストだとかスポンサーの方、そういうものを行動をプレーブックに書かれているように文字通り遵守してくれるかどうかというものについては、選手よりも、より懸念があるというのは我々専門家のほとんど一致した意見ですから、そのことも十分わかっていただくことが、これは政府というよりオリンピック委員会の方ですよね。こういうことで、たくさんの人数が出てくればエラーが出てくる可能性がありますから、「規模を縮小していただく」というのはそういうことで。それと同時に遵守されるための方法をもう少し厳格にしてもらう。まあこの両方の側面がプレーブックに関しては必要だと思います。

隠された「ジャーナリストによるルール違反と感染拡大」問題

6月4日の質疑中に何度か出てきましたが、選手以外の大会関係者によるルール違反の可能性とそれによる感染拡大リスクについても話されています。

特に「ジャーナリスト」や「スポンサー」によるルール違反と感染拡大の懸念については、特に問題視されているようで、選手に関するものよりも、ここの対策をどうするかということの方が重要であるとまで言っています。

 

尾身会長の「普通は開催しない」発言だけが紙面を踊っていることで、この要素が無視されている現状です。

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