事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

共同通信がまた煽動「専門家会議の議事の発言者名明示、速記録は明らかにせず・批判が出そうだ」

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新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の議事について発言者名を明示する方針となったようですが、共同通信の報道がまたしても煽動的です。

共同通信がまた煽動「速記録は明らかにせず・不十分な対応と批判が出そう」

コロナ専門家会議の議事録見送り 政府、概要には発言者名を記載 | 共同通信魚拓

西村康稔経済再生担当相は7日の記者会見で、新型コロナウイルス対策の専門家会議の議事録作成を見送り、速記録の保存にとどめる方針を示した。速記録は明らかにせず、従来と同様に議論の要点をまとめた議事概要だけを公表する。新たに発言者名は記載する。政策決定に大きな影響を与える専門家会議を巡っては妥当性を事後検証できるよう、やりとりをそのまま記録した議事録を作成すべきだとの指摘は根強く、不十分な対応と批判が出そうだ。

 西村氏は「1回目と3回目の会議は速記が入っていないが、録音などを基に記録を作成する」と述べた。

「批判が出そう」 という書き方をメディアがしている場合、それは「この報道を元にTVのワイドショーなどで批判しましょう」という掛け声です。

これまでの専門家会議の何らかの議事を記載したものを情報公開請求しても黒塗りの速記録が出てくるだけでしたが、速記録が保存してあるのは従来通りです。保存期間の問題はあるでしょうが。

速記録だけ公開に応じたとして、その読み込みをする者は正しく読めるのでしょうか?書き起こされた場合の記述の正しさはどうやって担保するのでしょうか?

①発言⇒②速記⇒③書き起こしの過程で内容が変化する危険があるのです。

文藝春秋の昭和天皇実録のように、作成過程に疑義があるような代物が誕生し、世の中にノイズが拡散されるだけでしょう。

「速記録は明らかにせず」と書いているのは煽動目的以外の何物でもありません。

議事概要は作成済み(一般的に「議事録」の範囲)

新型コロナ専門家会議は、既に議事概要を公開しています。

これは発言者名の記載は無いものの、対策本部会議等への報告事項を整理したものが箇条書きでまとめられています。

民間企業での「議事録」は決定事項だけを記載する所が多く、新型コロナ専門家会議の議事概要は、これとほぼ同じレベルです。

政府内の用語法でいう「議事録」は、発言者名を明示したもので時系列毎に発言内容を記載したものであり、間投詞等の不要な発音を除いたものというようなものとして扱われています。もはや「逐語録」と言ってもよいくらいです。

そしてこの対応は行政文書の管理に関するガイドラインに沿った対応です。

新型コロナ専門家会議のような場で「議事録」を公開してる国や自治体は存在しない

では、「議事録」 の公開に関して、他の国や自治体はどうなっているのでしょうか?

議会(立法府)のレベルではなく、専門家会議のレベルでです。

このようにお返事いただきました。

こちらは完全に無視されています。

現時点で存在しないのですから仕方がありません。

後年になって公開されるかもしれませんが、日本みたいに新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のHPにアクセスすれば見れるような状態になってはいません

以下の記事では大阪府と東京都の新型コロナウイルス対策本部専門家会議の「議事録」の現状について整理しましたが、いずれにおいても「特定の専門家のみが出席する会議で」「発言者名を明示した」「発言内容を時系列に沿って詳細に書き起こした議事録」を残してはいませんでした。

要するにこれまでの政府の専門家会議の情報公開のレベルというのは、他と比べて何か劣っているとは言えないのです。

議事の発言者名を含む詳細議事録を公開した場合の予想

  1. 具体例を前提としたプライバシーに関わる議論ができない
  2. 機微に渡る議論に対する萎縮効果(発言予定内容の変化)
  3. 国家戦略に関わる議論ができない
  4. 利害関係人への情報提供・動きの察知をさせてしまうことになる
  5. 専門用語を誤解する者による不毛な議論
  6. メディアによるエンタメコンテンツ化

議事の発言者名を含む詳細議事録を公開した場合、このような懸念が考えられます。

特に発言者名の明示をした場合の効果として6番は深刻です。

今のままだと【リアリティショー】としての扱われ方がマスメディア等によって為されてしまい、煽動的な報じ方に接した読者らによって誹謗中傷の嵐になるんじゃないですかね?

既に西浦教授に対して「42万人死亡の予想がデタラメだった!」などと意味不明な難癖をつけられていますし、元々「PCR検査を(無症状者に対しても)大量にやれ!」という誤った方針をTVで散々報じていたではないですか。

そういう「議事録論」よりも、5月29日に公表された以下の「分析・提言」の内容を広めるべきでしょう。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(令和 2 年 5 月 29 日)

(概要)新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言

以上