事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

大阪吉村知事ポビドンヨードうがいで新型コロナ陽性率低下と説明の疑問、イソジンが店頭から無くなる

大阪府吉村知事がポビドンヨードうがいで新型コロナ陽性率低下と説明

大阪府吉村知事がポビドンヨードうがいで新型コロナ陽性率低下と記者会見で説明しましたが、説明された研究内容と研究結果に疑問があります。

大阪吉村知事ポビドンヨードうがいで新型コロナ陽性率低下と説明、イソジンが店頭から無くなる

大阪吉村知事が記者会見を行い、大阪はびきの医療センターの実験結果を紹介して、ポビドンヨード(いわゆる「イソジン」が有名)うがいで新型コロナ陽性率低下と説明しました。

その結果、イソジンが店頭から無くなるところが相次ぎました。

この研究は、宿泊療養施設に居る新型コロナ感染者41人を対象に行った結果のようですが、ハッキリ言って今の段階で期待できるようなものではありません。

1:ポビドンヨードうがい=含嗽(がんそう)と含嗽無し

  • ポビドンヨードうがい=含嗽(がんそう)群
  • うがい無し群

この2グループしかありません。

なぜ、水道水でのうがい群が無いのでしょうか?

先行研究では、水道水でうがい群、ポビドンヨードうがい群、コントロール群(生活習慣を維持。うがいをしていた人も含まれるが、研究機関中に36%がうがいをまったくしていない)という研究デザインのものがあります。

そして、その結果は水道水でのうがい群が有意に感染症の発症を低下させたが、ポビドンヨード群あまり減らしていない、というものでした。

2:唾液検体を採取してPCR検査の陽性出現頻度を比較

唾液検体を採取する方法でPCR検査をしたようです。

しかし、口の中をすすいだということであれば、唾液中のウイルスは減るに決まってるでしょう。

「PCRの陽性率」などという聞きなれない言葉が出てきましたが、これは感染者に対して毎日PCR検査をして、その際に陽性の結果が出た頻度を比べたものに過ぎません。

新型コロナの特性としてベロにこびりつくというものがあるので、それに対して効果的なうがい方法を実施した、などと大阪はびきの医療センターの者が言っていますが、咽頭奥に存在するものについては期待薄です。

3:新型コロナの重症化を防ぐ効果があるのかを探るために研究を実施している最中

本研究はうがいによって口腔内の新型コロナウイルスの量を減らすことで、感染症の重症化を防ぐ効果があるのかを探るために実施しているようです。

途中経過を発表しただけ、ということになります。

そのため、今後は重症化率なども分析指標として出てくるのでしょうが、今のままでは被験者数が少なすぎてあまり期待できないなとおもいます。

ミヤネ屋では「重症化抑制」「効果期待の薬」などというテロップがありますが、これは吉村知事も大阪はびきの医療センターの者も言ってもいないことを盛っています

シンガポールで新型コロナにポビドンヨードが不活化効果とした論文が出たが

ポビドンヨード(PVP-I)を有効成分とするBETADINE(R)製品(イソジン(R))の新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果を確認:時事ドットコム

シンガポールで新型コロナにポビドンヨードが不活化効果とした論文が出たことが7月20日に報道されていました。元論文は以下です。

Povidone-Iodine Demonstrates Rapid In Vitro Virucidal Activity Against SARS-CoV-2, The Virus Causing COVID-19 Disease | SpringerLink

しかしこれは、うがいの効果を見たのではなく、あくまで消毒液であるポビドンヨード液がウイルスの不活化に効果があったというだけで、そんなものはアルコールでも次亜塩素酸ナトリウムでも実現できているわけです。

問題なのはそれがうがい用のものとして利用した際に効果があるのかという点なので、この論文が根拠になることはあり得ません。

現段階で吉村知事が説明したのは意味不明

正直、なんで現段階で吉村知事がわざわざ説明したのか理解に苦しみます。

このタイミングでは、研究結果として正しいのか、有益なのかの判断すらつかないハズです。また業者のプロモーションに引っかかってるんじゃないかと勘繰ってしまいます。

以上