大阪府豊中市の野田中央公園という土地の売買で補助金に関する不正が行われている疑惑があります。実はこの土地、森友学園が小学校を建設途中である土地の隣にあります。
この記事ではなぜ疑惑なのかを渦中に居る辻元清美氏の言動、豊中市議会の議事録、この問題を追及している足立康史氏の発言を踏まえつつ整理します。
なお、ここでは専ら「土地購入」の話を論じます。
購入後の「工事」や地歴の複雑さは論じません。別記事で書くかもしれません。
- 辻元清美氏にかけられている疑惑の概要
- 野田中央公園の取引の概要
- 補助金支給までの時系列
- 1:住宅市街地総合整備事業の補助金疑惑について
- 2:地域活性化・公共投資臨時交付金の補助金について
- 3:不動産鑑定の不正疑惑について
- 結論
辻元清美氏にかけられている疑惑の概要
不正疑惑は上記の1~3について存在します。
- 住宅市街地総合整備事業の補助金(国交省)
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/joho/zaisei/h21_zaisei.files/H21kessan_gaiyou.pdf
- 地域活性化・公共投資臨時交付金の補助金(内閣府・所管省庁)www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/siryou/pdf/090519koufukin.pdf
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/09/dl/s0914-1b_19.pdf - 豊中市側の不動産鑑定の不正
豊中市の平成21年度決算報告書に上記補助金の金額が載っています。
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/joho/zaisei/h21_zaisei.files/H21kessan_gaiyou.pdf
1:住宅市街地総合整備事業の補助金の不正疑惑の概要
1:住宅市街地総合整備事業の補助金について。この補助金の額が不当に高いのではないか?その申請、或いは支給において不正があったのではないか?という疑惑です。これは足立康史議員が「193回衆議院 国土交通委員会 平成29年03月29日第4号」にて辻元清美議員の疑惑があると発言したことをきっかけに広まりました。
不正が疑われたのは、上記申請金額と後に記述する野田中央公園の土地の売買契約の金額がほぼ同じであるということからです。要は、「示し合わせたのでは?」という事が疑われています。不動産鑑定の疑惑もここからきています。
平成22年10月12日建設水道常任委員会(決算)-10月12日-01号
◆委員(岡本清治) この(仮称)野田中央公園につきましては、当初予算が15億455万円、契約金額が14億2,386万円となっておりましたけれども、その後さまざまな国庫補助金と合わせて14億262万円が補助対象となるといったことから、実質1億8,250万円の市債も2,124万3,000円の一般財源で購入することができたと、夢みたいな話でございますが、これはどういうかげんでタイミングよくこうなったかわかりませんけれども、政権かわったからこうなったかどうかわかりませんが、どちらにしても当初は理事者も頭を悩ませておった大変大きな金額でありますが、一般財源で買えるといったいいチャンスに恵まれたんではないかと思っております。
「政権かわったからこうなった」というフレーズが独り歩きしているようですが、それはこれが出所です。
2:地域活性化・公共投資臨時交付金の補助金の不正疑惑の概要
2:地域活性化・公共投資臨時交付金の補助金について、当初予定よりも高く支給されたこと、補助金の割合が通常よりも高いことから、「口利き」が疑われています。
3:不動産鑑定の不正疑惑
不動産鑑定について。野田中央公園については、近畿財務局の不動産鑑定と、豊中市の不動産鑑定の結果があります。前者は9億円の値段だったのですが、豊中市の方は14億円でした。なぜか高い方の値段をベースに申請しており、それがおかしいのでは?という疑惑です。また、不動産鑑定の時期が補助金決定の前に行われておらず問題ではないか?ということと、豊中市が依頼した不動産鑑定士による鑑定結果に基づく価格が事前に豊中市が申請していた価格に近い事から正しく評価されているのか?という問題があります。
野田中央公園の取引の概要
大阪府の豊中市が国(大阪航空局・国土交通省)から野田中央公園を買い受けました。その際、平成22年(2010年)2月に補助金が支給されています。
補助金申請は、1の住宅市街地総合整備事業の補助金については国交省が所管省庁なので、支給当時の国交省副大臣だった辻元清美氏に足立議員は着目したということです。
2の地域活性化・公共投資臨時交付金の補助金については、内閣府の補助金ですが、各省庁に割り振って支給しているという事になります。野田中央公園の場合の担当省庁がどこかはよくわかりませんでした。土地の売買ですから国交省なのでは?と思われますが、複数事業が重なると総務省になるような記載が制度概要にありました。これは実際に調べないとわかりません。
補助金支給までの時系列
補助金支給までの重要な時系列と、これまで図示してきた疑惑番号との関連はこちら。
1:住宅市街地総合整備事業の補助金疑惑について
これについては辻元清美氏が反論しています。
辻元清美の反論
2009年5月の国交省資料には、豊中市に14億円が交付されるとはっきり書いてあります。従って、辻元が国土交通副大臣になった時には、すでに政府と豊中市の間で合意がなされており、辻元が関わったという事実はありません。
なお、辻元は国土交通副大臣在任時、主に運輸関係を担当しており、建設関係であるこれらの事業は担当しておりませんでした。
国交省の資料は下記です。
「平成21年度 住宅局関係補正予算配分概要 平成21年5月国土交通省住宅局」
(2017年10月7日13:11情報取得)
(検証)辻元清美をめぐる「3つの疑惑」嘘を作り上げられ拡散される手法についての検証(スタッフより) | ニュース | 辻元清美WEB
2009年5月の資料はこちら
http://www.mlit.go.jp/common/000041152.pdf
民主党政権は2009年9月以降ですが、それ以前である2009年5月には1の住宅市街地総合整備事業の補助金については申請がなされ、予算もついていたという事になります。以下の表が豊中市に配分された補正予算です。14億2400万円の予算全てが野田中央公園のためだけにつけられたわけではないので注意。
豊中市議会の議事録
豊中市議会においても、民主党政権発足より前の時点で、豊中市と国との間で、住宅市街地総合整備事業についての話し合いがされていることが伺えます。
豊中市議会平成20年4月9日空港問題調査特別委員会-04月09日-01号
◎まちづくり推進部次長(高木実)
省略
例えばこの野田地区・公園整備計画図を見ていただきましたら、ー中略ーそういった意味では減額の対象になるんではないかというような、そういうようなことも含めて国の方へ要望しているところでございます。その予算につきましては、この庄内エリアには住宅市街地総合整備事業という国の制度がございます。そういった制度を適用できるかできないかっていうことでずっと昨年から要望しておりまして、それを適用していただかないと予算措置で大変なんですが、それが適用されますと用地費の2分の1の補助がいただけるということになってまいります。そういったことで、予算の減額については最善の努力をしたいと考えております
豊中市議会平成21年6月26日空港問題調査特別委員会-06月26日-01号
◎市街地整備室長(佐佐木実)
省略
去年11月にこの野田地区の公園予定地の現地視察がございました。その後、変更点が2点ほどございますのでー省略ー
次に、2点目でございますけれども、この項につきましては平成22年度以降に買受けする予定でございましたけれども、これには当然議会のご承認をいただくわけでございますけれども、今年度平成21年度に前倒しで買受けを行いたいということで、現在国と協議をしているところでございます。
こうなってまいりました背景でございますけれども、ー中略ー地域活性化・公共投資臨時交付金(仮称)を交付することとされております。ー中略ーこの交付金制度につきましては、いわゆる当該公園用地買受けに係ります住宅市街地総合整備事業ということで、国から半分、残り市の起債ということでおったんですけれども、今回残りの市の起債分については、これが充当可能であると確定したわけではございませんけれども、かなり高い確率での見通しがついてきたー中略ー本年度限定の経済政策でありますので、現時点では買受価格の確定とかまだ国、市の負担割合ということまでは至っておりませんけれども、今年度買受けを行いたいということで、現在国と協議を進めているところでございます。
小括:住宅市街地総合整備事業の申請・支給は辻元氏は無関係か
民主党政権になる前に既に麻生政権時に補助金の補正予算が組まれていたわけですから、辻元氏の関与があったかというと、かなり厳しいでしょう。あるとすれば豊中市から申請をする段階での関与、という事になりますが、今のところそれをうかがわせるような情報はありません。
2:地域活性化・公共投資臨時交付金の補助金について
この表の2を見ると分かるように、地域活性化・公共投資臨時交付金について当初国の負担が85%だったのが97%の負担に大幅に増加しています。これによって豊中市に支給される補助金額も増えました。
豊中市の平成21年度の決算報告書にも記載があります。
議事録から見る地域活性化・公共投資臨時交付金補助金額の決定経緯
193 衆議院 国土交通委員会 平成29年03月29日第4号
○佐藤政府参考人 平成二十一年九月十一日に、豊中市が大阪航空局に対し、普通財産買い受け要望書を提出いたしました。九月十五日に、大阪航空局から近畿財務局に対し、その土地の処分の依頼をしてございます。翌平成二十二年三月十日に、豊中市がその土地を購入したということでございます。
地域活性化・公共投資臨時交付金 この交付金、豊中市に関しましては、野田中央公園のほかにも、文科省所管の小中学校の耐震補強、それから、単独事業に係る地方負担分も対象として、交付限度額が全体で九億九千七百一万円ということで交付金を充当しております。そのうちの六億九千万円が野田中央公園に充当されたということで、地方負担額は、ほかにも文科省の関係などでございます。
平成21年 9月 8日建設水道常任委員会-09月08日-01号
◎市街地整備室長(佐佐木実) 野田国有地の買受けに係ります財源構成及び整備内容等についてお答え申し上げます。買受面積につきましては、9,492.42平方メートルでございます。事業費の内訳につきましては、土地購入費として15億455万円、契約時に必要となります鑑定委託料といたしまして一般財源95万9,000円、合わせまして補正額15億550万9,000円となっております。財源構成ですけれども、土地購入費15億455万円のうち従来からの住宅市街地総合整備事業による国の補助金が7億1,193万円、今回の地域活性化・公共投資臨時交付金が6億1,000万円となっており、国の支出金は今の合わせまして13億2,193万円となっております。残り1億8,262万円のうち1億8,250万円を起債、残り12万円と先程の鑑定料95万9,000円を合わせまして107万9,000円を一般財源としておるものでございます。
平成22年10月12日建設水道常任委員会(決算)-10月12日-01号
◎市街地整備室長(佐佐木実) (仮称)野田中央公園につきましては、当初の用地費を15億455万円として計上しておりましたんですが、契約金額は14億2,386万3,000円となってございます。当初予定しておりました住宅市街地総合整備事業の国庫補助金としてです。事業費の2分の1に相当いたします7億1,193万円の補助金と合わせまして、平成21年度は国の経済危機対策といたしまして単年度限りの補助金でございます地域活性化・公共投資臨時交付金が創設されまして、当初85%程度の充当率を想定してございましたが、結果として97%を超える6億9,069万円となったことから、住宅市街地総合整備事業の国庫補助金と合わせまして合計14億262万円の国庫補助金をいただくことができたものでございます。そのため、当初予定しておりました市の負担でございます1億8,250万円の起債が2,124万3,000円の一般財源での支出が可能となり、大幅に市の負担を低減することができたものでございます。
このように、当初想定していた金額よりも大幅に支給されたということになります。この補助金額の決定は民主党政権時代のことです。
地域活性化・公共投資臨時交付金の相場
概ね90%が国の負担になるという事が分かります。これは豊中市議会も同じ認識でした。
豊中市議会平成21年6月26日空港問題調査特別委員会-06月26日-01号
◎市街地整備室長(佐佐木実)
省略
もうちょっと具体的に申し上げますと、従来であれば事業費の4分の1を市が起債で補うところなんですけれども、その起債部分の相当部分、基本的にはこの相当部分というのが一般的には9割ということも言われてますけれども、これは基本的な考え方でありまして、まだ各市の状況によりまして負担割合が9割から8割あるいは7割になるかということにつきましては、まだ現在調整中ということでございます。
ー中略ー
今後のスケジュールでございますけれども、現在国有財産買受要望書、ー中略ー大阪航空局のほうにも提出をいたしまして、現在精査をしていただいております。この精査が済み次第、正式に文書を提出すると、買受要望書を提出するという運びになると思われます。それで、これは豊中市との随契になってまいりますので、随契契約するためには国有財産審議会の審議を経なければなりません。それが、今年10月ぐらいに予定をされておりまして、その審議会に上程するには市の予算的な裏づけをいただきたいということがございますので、その国有財産審議会が開かれる10月の前、9月に補正予算として上げさせていただいてご承認をいただきたいー中略ー予算をご承認いただきましたならば、10月に国有財産審議会を経て今年度21年度末に鑑定評価等の値段を基礎にしながら、金額の決定、契約をしていくということで考えております。
豊中市議会平成21年9月8日建設水道常任委員会-09月08日-01号
◆委員(児島政俊) 2問目を行います。
国・府支出金が7億1,193万円になっております。事業費の2分の1を国が負担する内容ですが、6億1,000万円は今回の地域活性化・公共投資臨時交付金になってるわけでございます。6億1,000万円というのは、地方負担額のおおむね85%に相当しますけれども、たしか当初は90%程度が交付されるというふうにお聞きしたと思うんですが、なぜこのように数値が変化したのでしょうか、その理由についてお聞かせください。
◎市街地整備室長(佐佐木実) ご指摘の地域活性化・公共投資臨時交付金につきましては、地方負担分の90%程度を補助するということでございましたが、配分の考え方につきましては、国のほうで各地方公共団体の財政力指数に応じて傾斜配分することとされており、当市の場合財政力指数が0.98、それに応じた交付率が0.85793となり、その結果、地方負担額のおおむね85%を地域活性化・公共投資臨時交付金として補助されることから、6億1,000万円の地域活性化・公共投資臨時交付金となりましたので、よろしくお願いします。
これらの答弁からは、補助金の割合(=国の負担額)は市の負担額の9割がベースであること、配分の考え方は財政力指数に応じて傾斜配分するという基準があった事がわかります。
とすると、後に97%の割合で補助金が支出された事は不思議であるという事になります。
議会での認識
豊中市議会 平成23年 3月16日建設水道常任委員会-03月16日-01号
◆委員(岡本清治) 最初に、市街地整備事業についてー中略ー(仮称)野田中央公園については我が会派でも、当初この予定価格が15億400万円程度と言われてましたんで、そんな大きな金額をこの厳しい財政のときに買って本当にこれを避難地として大きく活用できるもんかというような話もございまして、会派の中でも大きな議論をしたわけです。これは本当に幸いというか、タイミングがよかったというか、国庫補助が当然2分の1出ますんで7億1,100万円程度になったわけですけれども、その後また地域活性化・公共投資臨時交付金が充当率97%以上ついて、結局この市の起債の予定が1億8,000万円ほどしたと思うんですけれども、それをすることなく一般財源で2,100万円ぐらいで買えたと、こんな近年にないラッキーな取得をされたわけでありまして、最初のときは市長はこんなんを買うというて大丈夫かなというふうに本当に議論があったんはあったんです
このように、豊中市議会においても、「ラッキー」という認識であったということです。このような補助金の支給は「良くあること」なのでしょうか?当該補助金が平成21年度の単年の補助金で あったことからは評価しようが無いのですが、どうも不思議ですね。
※コメントを受けて追記:では、国側の認識はどうか。
193 参議院 内閣委員会 5号 平成29年04月18日
○和田政宗君
ー中略ー平成二十二年に行われた大阪府豊中市の野田中央公園用地の売買においては、十四億二千万円の購入費に対しまして十四億円の補助金が付いております。これはなぜでしょうか。
○政府参考人(青柳一郎君)
平成二十一年度の第一次補正予算におきましては、ー中略ー お尋ねの野田中央公園の用地買収につきましては、-中略ー国土交通省の住宅市街地総合整備事業補助金として七億一千百九十三万円を、さらに、その地方負担に対して、地域活性化・公共投資臨時交付金により上乗せで六億九千六十九万円をそれぞれ措置しておりましてー省略ー
○和田政宗君 これ、豊中市は、内閣府の補助金ー中略ー この補助金が当初より増額されたと述べているんですけれども、これはなぜでしょうか。
○政府参考人(青柳一郎君) 増額というものではございませんー中略ー
この地域活性化・公共投資臨時交付金につきましては、交付限度額の範囲内で、様々な対象事業に対する国費の充当額を地方公共団体の判断で自由に調整できる制度となっておりました。ー中略ー豊中市の場合には、約八六%の交付率、交付限度額は全体で九億九千七百一万円ということでございました。この九億九千七百一万円の範囲内で、豊中市の判断によりまして各種事業への充当額を配分する際に、野田中央公園については、このうち六億九千六十九万円の配分を申請したものでございます。内閣府はこの豊中市の申請に基づきまして交付金の配分を行ったということで、金額自体を増額したというものではございません。
○和田政宗君 ここ、実は豊中市とちょっと食い違いがございまして、豊中市は、当初約八五%の補助率で予算組みをしていたものが九七%の補助率になったというふうに市議会で答弁をしております。ー中略ー 豊中市が当初麻生政権下で見込んだ金額より一億円近くも民主党政権への政権交代後に増額をされております。この豊中市、民主党の重鎮議員が選挙区としていたところですし、ここは大阪航空局所有の土地でしたけれども、隣の選挙区には運輸担当の国土交通副大臣がおりました。政治家の関与があったのかなかったのか、これは重要なところですけれども、ここに踏み込んでいきますと本法案の審議からは離れていきますので、これは次回以降若しくはほかの委員会で取り上げていきたいというふうに思います。
要するに約86%という補助率は変わっておらず、その補助率で申請した補助金が野田中央公園以外にもあり、合計9億9000万円だったと。その内いくらを野田中央公園に割り振るかは豊中市の裁量だと政府側からは説明されているという事です。
ただ、疑問なのは申請中の豊中市ではずっとこのような認識ではなかったということ。他の自治体でも調べましたが、制度が流動的だったような印象であるものの、当初予想よりも交付金額が増えたために次年度に繰り越す自治体もある始末です。いずれも「補助率の割合が増えた」「増額」という認識になっています。(例えば大阪府と横浜市)。
このこと自体奇妙だと言えるのですが、和田政宗さんは上記の質疑以降、この点について質疑していないので追及は止まっています。
※追記終わり
小括2:問題があるとすれば当時の政権側に説明責任がある
地域活性化・公共投資臨時交付金については、民主党政権時代にも調整が行われた結果、97%の支給になったのですから、この点に問題があるとすれば当時の政権に説明責任があります。問題なのかどうかはよくわかりません。
更に、仮に問題があるとしても、この補助金の所管省庁が内閣府からどこに割り当てられたのか、私は調べてませんので、辻元氏に疑惑の目を向けるのであれば、それを確定してから、という事になります。
3:不動産鑑定の不正疑惑について
この件について、大阪維新の会の足立康史参議院議員が、野田中央公園は不動産鑑定が行われずに土地売買がなされていると指摘し、問題提起しています。更には、補助金額が「支給」されたのは民主党政権時代ということから、当時の国土交通副大臣職にあった辻元清美氏に説明を求めています。
不動産鑑定の報告時期
豊中市議会 平成29年 3月定例会(本会議)-03月03日-02号
◎資産活用部長(福田雅至) 野田中央公園の土地に関する鑑定の内容でございますが、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、平成22年2月に報告を受けております。
これに対しては辻元氏は2018年3月18日時点で反論していません。辻元氏の反論は住宅市街地総合整備事業の補助金について仮に問題があっても自分とは無関係であるというものです。
辻本清美が、維新・足立議員に「デマだ」と反論「野田中央公園に関して、2009年5月の時点でまだ国土交通副大臣になっていません!」⇒維新・足立「野田中央公園の不動産鑑定評価書の日付は2010年2月19日。 そう言い張るなら2009年5月の評価書を見せてください」 https://t.co/hLTkIfs0s2
— 足立康史 (@adachiyasushi) 2018年3月15日
現時点の情報では、住宅市街地総合整備事業の補助金の「申請前」に不動産鑑定評価は為されていないのでしょう。 また、地域活性化・公共投資臨時交付金の「申請」にあたって不動産鑑定評価がなされており、それに基づいて協議していたのかも不明です。
不動産鑑定評価が行われていないのは妥当か?
こちらは足立議員事務所が作成した資料で、「195回衆議院総務委員会平成29年12月05日第2号」にてパネル表示されました。
疑惑のベースの理解
疑惑を理解するために、真ん中の赤枠の金額がベースとなります。赤枠内の14億2386万3000円というのは、実際に豊中市が国・大阪航空局と土地売買契約を締結した際の価格です。価格の計算は以下の議事録に記載があります。
豊中市議会平成29年3月定例会(本会議)-03月03日-02号
◎資産活用部長(福田雅至) 野田中央公園の土地に関する鑑定の内容でございますが、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、平成22年2月に報告を受けております。鑑定評価におきましては、当該土地の外周から名神高速道路に接しております北側を除く3方向に対しまして約50メートルまでの範囲を近隣地域とされております。したがいまして、この近隣地域には当該土地の西側の国有地も一部含まれることになるわけでございますが、この近隣地域における標準地価格を1平方メートル当たり17万9,000円と決定、これに当該土地の規模や形状といった要因を加味いたしまして、その鑑定評価額を1平方メートル当たり15万円と決定されたものでございます。市はこの鑑定評価額に基づきまして当該土地の取得を行ったところでございます。
地下に埋もれておりますごみにつきましては、鑑定評価に用いられております土地利用履歴調査の結果からもその存在を認識していなかったということでございます。
疑惑1について
疑惑1は、「計算のベースが異なるのに契約金額がほぼ同じなのはおかしい」というものです。2009年時点の申請にかかる買受単価については以下で確認できます。
豊中市議会平成21年9月8日建設水道常任委員会-09月08日-01号
◆委員(児島政俊)
(仮称)野田中央公園の土地につきましては、今日まで市は無償貸与を主張し、国は有償払下げをずっと主張してまいりました。今回、都市再開発事業費15億550万9,000円の補正予算に対しまして市の負担金と国の負担金を考えますと、国が13億2,193万円、豊中市が一般財源を含めまして1億8,262万円ということになります。本市の負担総額をパーセントで計算しますと約12%程度が本市の負担というふうに計算上はこうなるわけですが、ー中略ー
しかし、私はいま一歩、今回の補正予算の金額につきまして理解がしづらいというか、よく理解できないなというところがありました。それは、買受単価が15万8,500円、これは平米単価ですけれども。買受価格も同じ15万8,500円の平米単価になってるわけですが、補助基本額である国、府の支出金が平米単価が15万円ということで、その計算の上で7億1,193万円の試算になってるわけでございます。
195回衆議院 総務委員会 2号 平成29年12月05日第2号
○足立委員
省略
きょう国交省に来てもらっています。豊中市に聞いてもらいましたよね。この〇・九五、根拠はわかっていますか。〇・九五の根拠、もし豊中市から聴取できていれば答えてください。○鳩山政府参考人
先生お尋ねのこの数字ですけれども、ー中略ーこのものがどういう性格の資料なのか、先生の資料の中では二〇〇九年の四月の予算要望というふうに書いておられますけれども、そういうものかどうかというのも承知しておりません。ですから、この計算の式が、恐らく、推測ですけれども、この損失補償基準に基づき土地価格の算定を行ったところというふうに言っておられますので、その部分を書き出されたものではないかと思いますけれども、その具体的な詳細については我々としても承知してございません。
○足立委員
結論から言うと、見つからないらしいんですよね。よくあることですよ、これは。財務省でも国交省でも航空局でも、どこでも全部そうです。豊中市も、ないと言っているわけですよ。それで、問題は、この十四億と下の十四億を比べてみてください。結論は、三千円違いですね。その式を見てください。よくこんな合致すると思いません、皆さん。二つの見積もりが、数字が同じになることは世の中にはあります。それでも、同じような見積もりをしたら同じ結果になるんです。これは、ベースになる単価も違えば、割引率も違うんですよ。この掛け算が三千円違いでぴったし合うなんということは、僕はこれはおかしいと思いますよ。何でこれは野党は追及しないんだ。立憲民主党は、特に。そして、何で朝日新聞はこれを追及しないんだということを僕はずっと言い続けているんですよ。
0.95というものも、調べても出てきませんでした。この数字、厳密には0.947くらいです。
疑惑2について
疑惑2は「近畿財務局の不動産鑑定では9億の値段なのに、なぜ豊中市はより高い14億の値段で買ったのか?安い方を選ばなかったのは、土地の地価低下を防ぐためにやった不正なのではないか?」というものです。
これについては、おそらくは日本中の不動産取引は「こんなもの」ということで終わりそうな気がします。法的にどうなるかはよくわかりません。
不動産鑑定評価不履行と辻元清美は関係があるのか?
地域活性化・公共投資臨時交付金の申請にあたって不動産鑑定が行われていないとして、それは辻元氏個人に帰責させるべきものなのか?
また、豊中市の不動産鑑定評価が不当だとしても、それと辻元氏は関係があるのか?
これについては現時点では不明、としか言えないと思います。
結論
- 住宅市街地総合整備事業の申請・支給は辻元氏は無関係か
- 地域活性化・公共投資臨時交付金については不当に高く支給された疑惑があるが、辻元氏との関係はなお慎重に検討されるべきである
- 不動産鑑定評価に係る疑惑については、不動産鑑定がなされていない状態での補助金支給は良くないのではないかという問題提起は可能だが、辻元氏個人に帰責させることができるかは現時点では疑問である
この件はそもそも「森友学園の土地売買を問題視するなら、野田中央公園も問題視しなければならない、更には日本中の不動産取引の問題として論じるのが国益に適う」という足立議員の問題提起が発端です。辻元氏個人の疑惑を殊更取り上げるというのは足立議員も本懐ではないでしょう。
辻元氏は連帯ユニオン関西生コンとの関係が取りざたされており、当該団体には警察の捜査も入っているので、辻元氏に興味がある方はそちらを追った方がいいでしょう。
【拡散】辻元清美と関西生コンの関係、実は国会で文書配布されていた。籠池夫人のメール内容で暴露済み【許せないと思ったらシェア】 https://t.co/kfoYSUtgXN
— 小坪慎也 (@kotsubo48) 2018年3月17日
冒頭でも書きましたが、この記事では専ら「土地購入」の話だけ論じました。
購入後の「工事」や購入前の土地の状態については触れてません。なので、物足りなかった人もいると思います。これらについては別記事で書くかもしれません。
以上