教示です。行く道を指し示さん。
- 「ALPS処理水海洋放出は環境影響で危険反対」への教示
- 1:汚染水を海洋放出だと!許さん!⇒処理水です
- 2:薄めた(希釈した)だけ!⇒放射性物質を取り除く浄化処理
- 3:トリチウムが多く残存!7割が基準値超え!について
- 4:有機結合型トリチウム(OBT)が危険!影響力考慮してもWHO【飲料水基準】を下回る
- 5:トリチウム以外の核種が隠されて危険!⇒告示濃度以下で放出します
- 6:複数の核種は核燃料棒に触れて他に無い種類だから危険!について
- 7:政府や東電の言っている事は信用できない!について
- 8:事故後の廃水だから穢れている!東電は地元民の理解なく処分しないと言っていた⇒…
- まとめ:「被災地の風評被害を無くす」のが目的では無いのか?
「ALPS処理水海洋放出は環境影響で危険反対」への教示
「ALPS処理水の海洋放出は環境への悪影響があり危険だから反対!」と主張する者には、以下の段階があります。最初に全体像を示していきます。
- 汚染水を海洋放出だと!許さん!⇒処理水です
- 薄めた(希釈した)だけだろ!⇒放射性物質を取り除く浄化処理をしています
- トリチウムが多く残存している!⇒海洋放出時は法令上の基準の40分の1を予定、世界では福島原発の100倍以上の所もあるが環境への悪影響は報告されていない
- 有機結合型トリチウム(OBT)が危険だ!⇒影響力を考慮してもWHOの【飲料水基準】を下回るし、代謝で体外に出されます
- トリチウム以外の核種があって危険だ!⇒告示濃度以下です
- 62核種のうち57は核燃料棒に触れてて危険!他の原発には無い種類だ!
⇒「核燃料棒に触れてるから危険」はそのままでは意味が不明だが、他の原発には無い種類の核種が危険ということらしい。その種類の核種は核燃料の再処理工場でも排水として流されており、海外でも福島第一原発の処理水に見られるものと同じ核種が確認されている。いずれにしても告示濃度以下。 - 政府や東電の言っている事は信用できない!⇒海外の原発の公表数字は?アメリカや国際機関が日本の方針を支持している事実は?『基準値以上でした』という話だけ信じて『基準値を下回ってます』だけ信じないのはどういうことか?
- 事故後の廃水だから穢れている!⇒穢れているのは…
大前提として、貯水施設は無限ではないということです。
そのため、廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議(第5回) 配付資料一覧 令和3年4月13日(火)にて、2年程度後に ALPS 処理水の海洋放出を開始する方針が示されました。
1:汚染水を海洋放出だと!許さん!⇒処理水です
「汚染水」という単語をメディアで見かけて拒否反応を起こす人が居ます。
メディアの戦略通りにやられてしまっていますね。あなたは被害者です。
単なる原発排水ではなく、処理をしたものなので「処理水」と言うべきです。
「汚染水」という表現ではなくとも、英語タイトルで"radioactive wastewater"を放出、などと表現している場合は狙っている可能性があります。
約2年後を予定の放出時の状態と現在の状態とを混同して論じる場合も見て取れます。
NHKワールドニュース「放射性廃水放出」記事削除:ずっと処理水とせず報道していたことが判明
2:薄めた(希釈した)だけ!⇒放射性物質を取り除く浄化処理
NHKなんかが読者・視聴者に対して「薄めた(希釈した)だけ」と言う印象を与えたいようで、NHKワールドの記事やNHKラジオNラジなどで「薄めた」という点が印象に残るような伝え方をしています。"diluted"を単体で使う媒体は要注意です。
NHKワールドニュースが「放射性廃水」記事訂正文を発表も気になる点が
3:トリチウムが多く残存!7割が基準値超え!について
7割が基準値超えの状態に在ったこと、については以下の経緯です。
1:敷地に貯蔵されている排水⇒2:浄化処理⇒3:ALPS処理水として貯蔵
浄化処理の際に念入りにやると時間がかかりますから、その間に敷地境界線量が増加してしまう。そのため、不十分ながら一旦は処理をして貯蔵していた、という経緯。
東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の定義を変更しました(METI/経済産業省)2021年4月13日
ただ2020年度から処理水を再浄化することが同年7月の上記資料にて説明され、その後再浄化試験が実施されています。
どうやら、この時期の認識からアップデートされていない者が多いようです。
東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の定義を変更しました 2021年4月13日
過去に発生した浄化装置の不具合や、汚染水が周辺地域に与える影響を急ぎ低減させるための処理量を優先した浄化処理等が原因で、現在、タンクに貯蔵されている水の約7割には、トリチウム以外にも規制基準値以上の放射性物質が残っています。
4月13日に決定した基本方針において、ALPS処理水の処分の際には、2次処理や希釈によって、トリチウムを含む放射性物質に関する規制基準を大幅に下回ることを確認し、安全性を確保することとしていますが、上記の経緯から、規制基準値を超える放射性物質を含む水、あるいは汚染水を環境中に放出するとの誤解が一部にあります。
そうした誤解に基づく風評被害を防止するため、今後は、「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」のみを「ALPS処理水」と呼称することとします。
では、海洋放出の際はどうなるのか?ということについては次項以降で。
トリチウムの人体・環境への影響力と安全性
ALPS処理水について(福島第一原子力発電所の廃炉対策)令和2年7月 経済産業省
トリチウムの人体・環境への影響力は非常に小さいことが分かっています。
大気中・河川水・水道水にも微量ながら存在しています。
したがって、基本的に安全です。問題は、放出される濃度と量です。
海洋放出時のトリチウム濃度は、法令基準の40分の1を予定
原子力規制委員会が定めるトリチウム水の環境放出の際の濃度に関する法令上の基準は、1リットルあたり60,000ベクレル(Bq/L)です。
海洋放出時のトリチウム濃度は、その40分の1の1,500ベクレルを予定しています。
※これは、地下バイパス・サブドレン(2015年から)の水を海洋放出してきたものと同じ基準です。
WHO飲料水水質ガイドライン第4版(日本語版)では、【飲料水】に含まれるトリチウムの指標(ガイダンスレベル)は10,000Bq/Lとなっています。
世界では福島原発の100倍以上のトリチウム濃度もあるが環境への悪影響は報告されていない
トリチウムの性質等について(案)(参考資料)多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 事務局
世界の原子力発電所等からのトリチウム年間排出量についても分かっています。
特に以下では韓国の月城原発とフランスのラ・アーグ再処理施設の数字があります。
ALPS処理水について(福島第一原子力発電所の廃炉対策)令和2年7月 経済産業省
韓国の月城(ウォルソン)原発の排出トリチウム量は年間約140兆ベクレル。
フランスのラ・アーグ再処理施設は年間約1.3京ベクレル。
福島第一原発のタンクにたまっているトリチウム量は総量約860兆ベクレル。
福島のタンクは事故後9年ほどの累積の全体の数字です。
事故前は年間約1.5~2.5兆ベクレルでした。
※4月16日訂正:「事故前年間22兆ベクレル」と書いていましたが、事故前の年間の放出上限であり、且つ、今後の海洋放出の年間の上限でした
※22兆ベクレルというのは原子力発電所ごとに設定された通常運転時の目安となる値(規制基準値を大幅に下回る値)で、定期的に見直す方針です。
海外ではこのような量・濃度であっても、環境への悪影響は報告されていません。
なお、韓国ソウルは東京の3倍の空間放射線量です。
4:有機結合型トリチウム(OBT)が危険!影響力考慮してもWHO【飲料水基準】を下回る
体内に取り込まれたトリチウムの約5%は体内のタンパク質や糖、脂肪などの有機化合物をつくる水素原子と置き換わり、体の一部になり、それを「有機結合型トリチウム」(OBT=Organically Bound Tritium)と呼ぶようです。
その危険を唱える者が居るようですが、下記記事で茨城大の田内広教授(放射線生物学)はこう答えています。
【風評の深層・トリチウムとは】体内には常に数十ベクレル存在:風評の深層:福島民友新聞社 みんゆうNet
OBTの生物学的半減期は短いもので約40日、長いもので約1年。トリチウム水の約10日間に比べて長い。被ばく量をトリチウム水と単純に比較すると、OBTの方が2~5倍高いという。ただし、OBTも最終的には代謝で体外に出される。
OBTの被ばく量を5倍と仮定しても、放出時のトリチウム水は1,500ベクレルなので、単純に5倍しても7,500ベクレルで、WHOの【飲料水基準】を下回ります。
5:トリチウム以外の核種が隠されて危険!⇒告示濃度以下で放出します
福島第⼀原⼦⼒発電所 多核種除去設備等処理⽔の⼆次処理性能確認試験結果(終報)2020年12⽉24⽇
「トリチウム以外の核種が隠されてる!危険だ!」などと言う人が居ますが、誰も隠していません。「トリチウム」の「〇〇兆ベクレル!」という印象操作をしようと活動家界隈が騒いだからトリチウムに注目が集まっただけです。
既に、告示濃度以下で放出できることが分かっています。
一部の核種において、二次処理前後で数字が上がっているものがありますが、それでも「告示濃度比が1未満」なので問題ない。
※山本拓議員がゲンダイ記事で言う「東京電力が2020年12月24日に公表した資料によると、処理水を2次処理してもトリチウム以外に12の核種を除去できないことがわかっています」というのがいったい何を指しているのかまったく理解できない
6:複数の核種は核燃料棒に触れて他に無い種類だから危険!について
62の核種の内、57だとかの数字を出して「核燃料棒に触れたから発生した核種であり、他の原発排水には見られないから危険」と主張する者が居ます。
自民党の山本拓議員などが主張しています。
核燃料棒に触れたために生じた核種は存在する
福島第一原発の処理水には、多核種除去設備(ALPS)で除去できないトリチウム以外に63核種もの放射性物質が含まれており、うち57核種は通常の原発排水に含まれない事故由来のものです。
— 山本拓事務所 (@yamamoto_taku) 2020年10月27日
それを海洋放出すれば甚大な風評被害が発生するため、海洋放出には強く反対します!https://t.co/l27xjwDtHA
最初は「57核種」と言っていたのが2021年の ゲンダイの記事だと「11」になってますが、これは現代のミスでしょうか?上記山本議員の認識が違ったんでしょうか?
核燃料棒に触れたために生じた核種は、存在します。それは事実です。
核燃料の再処理工場でも排水され海外で福島処理水と同じ核種を確認
第203回国会 衆議院 東日本大震災復興特別委員会 第3号 令和2年12月1日
○江島副大臣 お答え申し上げます。
福島第一原発で貯蔵されているALPS処理水でありますけれども、議員御指摘のように、溶融した核燃料に直接触れている水が由来であります。したがいまして、核分裂で生じた核種を含んでいるということは事実でございます。
一方、再処理工場というのは、これは現在世界で稼働しているわけでありますけれども、この処理工程におきましては、これは核燃料を細断して処理をしておりますので、再処理工場というものから出てくる排水には、同じく核分裂で生じた核種が含まれております。
例えば、フランスやイギリスでももう稼働している再処理工場でありますけれども、この中には、トリチウムに加えまして、セシウム、放射性沃素、それからカーボン14等々、福島第一原発のALPS処理水に含まれる核種と同じものが確認をされているところであります。
核燃料の再処理というものは原発を保有していれば必ず行われているものです。
使用済燃料に含まれるウランとプルトニウムは回収後、再び燃料に加工されます。
これは原子力発電所からダイレクトに排水されるものとは別個の工程です。
再処理の際には核分裂で生じた核種が排水されるので、福島第一原発の排水は核燃料棒に触れたと言っても、結局はそれと同じことになるということです。
また、海外の再処理工場でも同様の核種は確認されています。
そして、前項「5」で東電の二次処理性能確認試験結果を見れば、告示基準以下に浄化処理されるのですから、関係ありません。
上掲の表にある放射性核種は山本拓議員が掲示している下記表にあるものと同じです。
7:政府や東電の言っている事は信用できない!について
「政府や東電の言っている事は信用できない!」と言う人は、何なら信じるのか?
海外の数字や外国・国際機関は信用しないのか?
既に示した、海外の原発における公表数字は?
同盟国のアメリカや国際機関が日本の方針を支持している事実は?
IAEA、技術協力を表明 海洋放出、「国際慣行に沿う」:時事ドットコム
IAEA Ready to Support Japan on Fukushima Water Disposal, Director General Grossi Says
IAEAは、2014年から10回にわたり、福島第一原発に専門家を派遣。近傍の海水や水産物の試料採取・分析を行っており、日本政府も外務省を通じてIAEAに対して定期的に状況を報告(例)しています。
原発処理水の海洋放出、米国務省「世界基準に合致」と評価 | ロイター
We thank Japan for its transparent efforts in its decision to dispose of the treated water from the Fukushima Daiichi site. We look forward to the Government of Japan's continued coordination with the @iaeaorg.
— Secretary Antony Blinken (@SecBlinken) 2021年4月13日
まさか「韓国や中国・ロシアが反対しているから」「近隣諸国の理解が得られてない」と言うつもりでしょうか?その主張は流石に日本人とは思えないので無視します。
追記:米国FDA・韓国原子力安全委員会が「安全への影響は無い」
米国FDAが福島原発処理水海洋放出を科学評価「安全への影響はない」
ムンジェイン「福島原発処理水の海洋放出で日本提訴!」⇒韓国政府報告書「科学的に問題ない」記述
米国FDAと韓国原子力安全委員会が「安全への影響は無い」とする報告書を提示。
科学的にはこのように評価する以外にないわけです。
政府東電の「基準値以上」は信じて「基準値を下回る」は信じない?
政府や東電は信用できないと言う人は、それらが『基準値以上でした』と言ったときだけ信じ、『基準値を下回ってます』と言った場合には信じないという態度のようですが、これはどういうことでしょうか?
以下も信じられていないのでしょうか?
追記:「政府東電は隠蔽してきた」について
「ALPS処理がなされたものを貯蔵しているタンクにはトリチウム以外の核種で基準値以上のものがある、ということを政府東電は隠蔽してきた」
こういう言説があります。
これは2018年8月19日に共同通信が報じてから出てきたものです。
河北新報<福島第1原発>17年度、処理水の放射性物質残留 ヨウ素129基準超え60回 2018年08月23日
その後の報道でも記述がありますが、これは既述の令和2年7月経産省の資料にもあるように「敷地境界線量との関係で一定の放射性物質の濃度低減をする必要があったために告示濃度未満とならなくともいったん処理をした」方針を採っていたことによるものです。
福島民友新聞 トリチウム以外の処理水「再浄化」 東京電力方針、基準値未満に 2018年09月29日
ALPSでの汚染水処理は基準値未満を目指すのではなく、敷地境界の空間放射線量が年間1ミリシーベルト未満となるのを優先し稼働率を上げて運用。このためヨウ素129やルテニウム106などの放射性物質が残り、特に運用初期はALPSの性能が向上前で残留放射性物質の濃度が高かった。
この方針は、それ以前から分かっていました。
東京電力 多核種除去設備の運転状況 2014年12月19日では、「敷地境界における実行線量へ影響を与えない範囲で、(告示濃度限度にとらわれずに)放射性核種を十分低い濃度まで除去する運転を実施」とあります。
その理由として「敷地境界線量を平成27年3月末時点で2mSv/年未満、平成28年3月末時点で1mSv/年を達成することが必須であるため」と書いています。
福島第一原子力発電所における 廃炉・汚染水処理の状況2016年11月11日 東京電力ホールディングス株式会社
また、たとえば2016年11月11日の資料では「※2」にて「処理水の濃度は一定程度の範囲で変動する」とあることから基準値以上となる場合もあると読み取ることも可能と言える状況でした。
しかし、公聴会などでは明示的に言及してこなかったため、このような状況を「説明が不十分」と批判することはあり得るもので、実際に政府東電は2018年8月19日の報道以降「説明が足りなかった」という認識を示しています。
ただ、「隠蔽」と言えるかというと、インターネット上でオープンにしてきたわけで…
なぜこのような情報の提示の仕方になったのかというと…
私は「意図的」だと思いますが、それは政府や東電の資料にこんなものがあるように、マスメディアによる印象操作報道があるせいだと思っています。
8:事故後の廃水だから穢れている!東電は地元民の理解なく処分しないと言っていた⇒…
穢れているのは…もはや何も言うまい。
東電は地元民の理解なく処分しないと言っていた…事実です。
理解は、既に得られています。
反対してるのって、ほんの少数の人たちだけでしょう?
まとめ:「被災地の風評被害を無くす」のが目的では無いのか?
ALPS処理水海洋放出に反対している人は、いったい何が目的なんでしょうか?
「放射性物質による汚染」というものが、福島には存在しないということを伝えるのが目的ではいのでしょうか?そのためには、原発排水を溜め込んでいることが足かせになっているという現実は無視してるんでしょうか?
海洋放出がダメだと言ってるところに海外より遥かに安全だと言ったら核種が違うと言い、同じだと指摘したら政府と東電は信用できない、という所に行き着く当たり、何を目的にしてるんでしょうか?
朝日新聞は民主党政権時代は「浄化水」と書いておいて、最近の記事では「汚染水」とタイトルにするものがあったりするのは、なぜなんでしょうか?
処理水をいちいち「汚染水」と言い換えるのはなぜでしょうか?
単に薄めただけ、と受け取れるように印象操作、仄めかしをするのはなぜでしょうか?
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