事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

NHKワールドニュースが「放射性廃水」記事訂正文を発表も気になる点が

NHKワールドニュース、福島第一原発の処理水を汚染水と記述を訂正

NHKワールドニュースが「放射性廃水」記事訂正文を発表しましたが…

NHKワールドニュース「放射性廃水」記事訂正文を発表

NHKワールドニュース、放射性廃水を処理水に訂正

Top Stories | NHK WORLD-JAPAN News魚拓

NHK WORLD Newsが"radioactive water"と表現していた4月9日の記事が誤解を招くものだったために削除し、"treated water"としていく旨をHPのトップページ冒頭に記載しています。

これは以下で指摘した内容に関するものでしたが、なお、気になる点があります。

"diluted"単独の用語法は単に「薄めただけ」を想起させる

We are referring to “treated water” to specify that the water to be released into the ocean will be treated and diluted beforehand.

今後は海洋に放出する水については処理されることを明確にするため「treated water」とします。

英語と日本語を見ると微妙に異なる表記なのが分かります。

英語では"treated and diluted beforehand."とあるのを、日本語では「処理される」とだけ訳しています。

上掲エントリでも指摘したように、"diluted"は科学用語としての意味があるかもしれないが、一般用語としては「溶液の内容物を取り除いた・浄化処理をした」というものではなく「水溶液に水を追加して濃度を薄めた(希釈した)」の意味であり、一般人が読むとそのように受け止める可能性が高いものです。

よって、treated=処理されたものを、という文脈でdilutedが使われるべきであり、それ自体単独で「処理水」の意味として用いてはいけないと思います。

経産省の英語ページでも、dilutedという表現は「処理された後に」という文脈で補助的に使われているだけです。

ALPS Treated Water Q&A / METI Ministry of Economy, Trade and Industry

NHKワールドニュースの他記事でも"radioactive water"が"treated water"に

さて、NHKワールドニュースの他の記事でも2021年4月11日以降、表記が変わっていることが確認できます。

魚拓

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20210407_05/?cid=wohk-tw-org_wn11日魚拓)(12日魚拓

4月7日のNHKワールドニュースのツイートですが、"radioactive water"となっているのが分かり、過去の魚拓もそうなってますが、現在は"treated water"に変わっているのが分かります。

魚拓

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20210324_03/?cid=wohk-tw-org_wn3月魚拓)(4月12日魚拓

3月23日の記事も同様でした。

なお、配信期間の終了等により削除済みの記事に関しては、ツイートの削除はなされていません。当時、どのような表現で報道されていたのかが分かります。

希釈した=薄めただけ、という印象操作を阻止するべき

NHKワールドニュースの訂正文を読むと、"diluted"という用語の扱いがどうなるかが気になって仕方がありません。読者は一般人なのであり、「放射性物質の総量は汚染水と変わらないものを薄めて=希釈して海洋放出する」のように受け止められるような表現は避けるべきでしょう。

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