過去の話で誤解が拡散。
IOCバッハ会長「スポーツはウイルスと戦える」が拡散
戦えねえよ
— 知念実希人 小説家・医師 (@MIKITO_777) 2021年6月21日
https://t.co/MIEhF32pc8
6月21日以降、IOCのバッハ会長の発言として「スポーツはウイルスと戦える」 というタイトルのolympics.comの記事がなぜか拡散されました。
これは同日の以下のツイートが発端となり、知念医師のツイートがバズったことによるものです。
IOCこんなおもしろコメントしてたんか バッハ会長「スポーツはウイルスと戦える」 / “スポーツが命を救う - IOCがWHOとの連携を強化” https://t.co/GZ6M72hQt2
— 漢字変換の権を他人に握らせない🙅 (@naota344) 2021年6月21日
IOCがWHOとの連携を強化の記事は2020年5月のもの
President Bach and World Health Organisation sign a Memorandum of Understanding to fight #coronavirus through sport.@iocmedia @Olympics @WHO#StayStrong #StayHealthy #StayActive #WalkTheTalkhttps://t.co/3n4Gy05pb8
— Olympic Channel (@olympicchannel) 2020年5月16日
Today, @Olympics & WHO teamed up to promote health through sport & physical activity. #COVID19 particularly affects people with diabetes, heart and lung disease and other NCDs so this shared step to reduce the risk of NCDs is timely.
— World Health Organization (WHO) (@WHO) 2020年5月16日
👉 https://t.co/MKdfYXSc5y pic.twitter.com/2crsbjwrHb
先ほどの日本語の記事の元ネタは、昨年2020年5月16日の英語記事です。
IOC President Bach writes to Olympic Movement: Olympism and Corona - Olympic News(魚拓)
もっとも、日本語の記事は2021年1月2日付の表示になっているところがあり、タイミングはよくわかりません。
バッハ会長の趣旨:スポーツの一般的な健康増進と社会経済的役割
Social impact
We can fairly assume that, in the post-coronavirus society, public health will play a much more important role. Sport and physical activity make a great contribution to health. While studies by the WHO had already demonstrated this with stunning results concerning non-communicable diseases, the coronavirus crisis teaches us how much a sound general health situation helps to overcome communicable diseases as well. Sport and physical activity are therefore the perhaps most low-cost tool for a healthy society. To make this even more evident too, the IOC is about to conclude a new Memorandum of Understanding with the WHO.We can highlight the significance of sport for inclusivity and integration. Sometimes, sport is the only activity that unites people regardless of their social, political, religious or cultural background. Sport is the glue bonding a society together. Such inclusivity is even more important in otherwise deeply divided societies.
バッハ会長の趣旨としては、スポーツの一般的な健康増進と社会経済的役割について説明したものであり、スポーツをすることで直接的にウイルスを克服することを企図したものではありません。
コロナによる身体へのダメージのリスク
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2021年6月22日
健康な人<<<<<<<基礎疾患のある人・肥満体の人
これは真実
もちろん、健康な人でも感染するし重症化し得るし、死亡し得るが、その割合は低くなる
バッハ会長の発言を詳細に聞けば、そういったことは踏まえた上でスポーツの役割・効果を述べているのがわかる
普段から健康上の問題を抱えている者はウイルス感染すると重症化しやすく、死亡しやすい、というのは、科学的な事実です。
スポーツが一般的な健康に良い影響を与えるという効果も、一定程度実証されている科学的事実です。
だから、スポーツをして健康体になれば個人のウイルス防護にとって一定の効果がある。
これも否定できない事実でしょう。
バッハ会長は慣れない英語でスポーツについて"important to combat to the virus and to overcome"と大げさにみえる表現をしていましたが、全体の趣旨としては決して「安易にスポーツやって免疫つければコロナなんて怖くない」などというものではありません。
スポーツと感染拡大対策
多分、日本語記事にもあるように「アクティブな生活を過ごす人ほど」という部分が、感染拡大対策とは相容れないもののような印象になっているのが、医師らが反応した原因だろうと思われます。
が、これは個人にとっての話であって、「社会において集団が接触機会を増やす」ことを意味しない趣旨でしょう。
もっとも、「スポーツする」となれば、社会全体を考えると集団スポーツはもとより施設を使う運動も社会全体で接触機会が増えるのは確かです。
ある範囲での一定の時期、感染対策でスポーツ活動を休止せざるを得ないことはあるだろうが、それが全くない生活がずっと続くこともまた問題でしょう
感染拡大防止の政策論と相反しないようなスポーツの社会実装を模索していこう、そのために医学とスポーツは議論をしていくという方向性は間違ってない。
スポーツ界と医学界の分断を煽るようなエンタメにするのはやめたらどうか。
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