「イギリスで中国から輸入の検査キットが新型コロナ汚染」の発信源となっているサイトと、元のソースをまとめます。
デマでした。
- 看中国=VISION TIMESが「ジョンソン首相の怒り」と煽動
- CD Mediaではなく英テレグラフ=Telegraghの記事がソース
- ユーロフィンズというルクセンブルグのメーカーの検査キット:「中国から」という記述は無し
- ファクトチェックサイトもフェイク認定「イギリスで納入も使用もされていない」
- 「イギリスで中国から輸入の検査キットが新型コロナ汚染」はフェイク
看中国=VISION TIMESが「ジョンソン首相の怒り」と煽動
4月15日に「看中国=VISION TIMES」というサイトが「ジョンソン首相の怒り=輸入検査キット、中共ウイルスが付着 故意か」というタイトルの日本語記事を書いていますが、常習的なデマサイトなので気を付けましょう。
ビジョンタイムズ看中国は先月に単なる事故を反乱が起きたと言い張ってる、そういう煽動サイトという事。 https://t.co/LnJgS7hmUs https://t.co/VneLlEmu8h
— JSF (@rockfish31) 2020年4月16日
「イギリスで中国から輸入の検査キットが新型コロナ汚染」ということは直接的には書いてませんが、「中共ウイルス」というタイトルと中国人評論家の「中国より輸入された検査キットは中共ウイルスを携帯するので非常に恐ろしい」というコメントが紹介されていることからそのように受け取る者が後を絶ちません。
CD Mediaではなく英テレグラフ=Telegraghの記事がソース
記事内では「英メディア『CD Media』の報道によると」としていますが、3月31日に掲載されたその記事はインドのRepublic Worldというサイトを引用しており、その元ネタは3月30日に掲載された英テレグラフ=Telegraghの以下記事です。
Coronavirus testing effort hampered by kits contaminated with Covid-19
そこには「中国から輸入」などという文言は存在していません。
また、ジョンソン首相が怒りを示したという記述もありません。
ユーロフィンズというルクセンブルグのメーカーの検査キット:「中国から」という記述は無し
詳細はテレグラフの有料部分に書かれているのですが、他のメディアが引用している記事によると、ユーロフィンズというルクセンブルグを拠点とする企業の検査キットの部品に付着していたということだけが書かれています。
Coronavirus testing kits heading to the UK found to be contaminated with Covid-19
そして、更に注意すべき点があります。
ファクトチェックサイトもフェイク認定「イギリスで納入も使用もされていない」
「ジョンソン首相の怒り」と題した、華僑系メディア『看中国』による日本語記事が拡散していますが、それが(リンクなしで)引用している英CD Mediaの4月1日付の記事は、国際ファクトチェックネットワーク(@ICFN)加盟機関@AfricaCheckによって「誤り」(false)判定が出ています。https://t.co/ICw1B81l8E
— 小宮貫太郎 (@KantaroKomiyaJP) 2020年4月15日
「イギリスが輸入した新型コロナ検査キットは中国から来ていて、汚染されていた」という話はファクトチェックサイトのAfrica Checkも否定しています。
Huawei doesn’t produce Covid-19 test components, UK not pulling out of 5G contract | Africa Check
大要、「ユーロフィン社のキットに含まれていた『他国から提供された部品』が具体的に中国製だったという事実はなく、ユーロフィン社が中国を名指ししたこともなく、さらにこれらのキットはイギリスで納入も使用もされていない(※注:汚染された特定のキットについて。イギリスからユーロフィン社にその種類の検査キットが注文されたのは事実としている)」と結論づけられています。
このファクトチェック記事を掲載したAfrica Checkは南アフリカに拠点を置く機関で、国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)に2017年から認証を受けた信頼できるソースです。https://t.co/Xu80uM5vKW
— 小宮貫太郎 (@KantaroKomiyaJP) 2020年4月15日
「イギリスで中国から輸入の検査キットが新型コロナ汚染」はフェイク
この@AfricaCheckのファクトチェック記事(https://t.co/ICw1B81l8E)は、CD Mediaの同記事"Boris Johnson To Pull Out ..."を引用したインドの別のフェイクニュースについて検証したものですが、CD Media記事それ自体の信憑性も疑わしいと結論づけています。その根拠は(以下抄訳)↓ pic.twitter.com/FDkiBA0ioN
— 小宮貫太郎 (@KantaroKomiyaJP) 2020年4月15日
- 3月30日にテレグラフがルクセンブルクのユーロフィン社の検査キットが新型コロナウイルスに汚染されていた例を報道
- 実際にはその検査キットはイギリスに納入も使用もされていないとファクトチェックサイトが認定
- 3月31日にCD Mediaがこの事案を取り上げた中で(引用したのはなぜかインドの記事)「中国由来」を仄めかす記事を掲載
- なぜか4月15日になってからデマ常習サイトの看中国=VISION TIMESがCD Mediaの記事を引用してさらに「中国由来」を仄めかす記事を掲載
「イギリスで中国から輸入の検査キットが新型コロナ汚染」はフェイクと断定されます。
以上