事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「結婚式の加害性に気をつけてほしい」の元ネタと炎上ツイートと誤解

みんないったい何と戦ってるんだ?

「結婚式の加害性に気をつけてほしい」の元ネタ

「結婚式の加害性に気をつけてほしい」の元ネタはこのツイートです。

冒頭ツイートの「弁護士C」ですね。

しかし、彼自身がそう言っていたということではなく、「そういう趣旨のツイートを見た」ことを受けて自身の経験を述べるだけのものです。

このツイートの後に「結婚式の加害性に気をつけてほしい」という文言のみを取り上げて批判するツイートが為されてバズっているものが複数出現しました。

では、「みたいなツイ」は何なのか?

ここで、「火元」として特定・認識されるようになったものを見ていきます。

「結婚式…加害性」に関して触れるかえる氏の「火元」ツイート

結婚式の加害性元ネタとして炎上させられたかえる先生

https://twitter.com/72jailbreak/status/1540877139792109568

https://twitter.com/72jailbreak/status/1540880952141828096

魚拓1 魚拓2 魚拓3

結婚式…加害性」というワードを書いている かえる 氏の「火元」として炎上したツイート群がこちら。現在はアカウント削除状態になっています。

私の記事冒頭ツイートで言う「弁護士B」です。

確かに、「結婚式…加害性」というワードを使ったのはこちらが初めてです。

しかし、このツイートを注意して読んでいただきたいのですが…

「結婚式の加害性に気をつけてほしい」などとは主張していませんよね?

最後のツイートにあるように「その他祝賀行事には原理的にすべて加害性がある」ことを前提に「だれも傷つけないように中止するのは不可能なのだから覚悟を持てよ」と言っているだけです。

決して「加害性があるから配慮しろ」などと遠慮することを押し付けているものではないわけです。

細かい認識に関しても現代における事務処理実態から離れた結婚式招待の影響の分析という趣旨のツイートなので無視できる。

「加害性」などと結婚式に対して表現することが気に入らない、という主張は理解できますが、それは【自らの気持ちを他者による加害のせいだという責任転嫁のためにそういう用語法をすること】が許せないのであって、かえる氏はそういう目的で使っているのではない。

他にもたとえば「独り身に対するクリスマスの加害性」などと表現することも可能で、それはクリスマスを満喫する行為者への非難としてではなく、『そのような行為ができない、必然的に受け身になる者にとっては「周りが楽しんでいるのに自分だけは孤独であるのは情けない」というような心情になるのは理解できる』という程度の意味として使う分には許容できるでしょう。
(もちろんあまり好ましくない用語法ではあるとは思う。「加害性」という単語では、言外にどうしても行為者への非難というニュアンスが出てくるので。)

このツイートも、【自らの気持ちを他者による加害のせいだという責任転嫁のために「加害性」というワードを使用している】ではない。

さて、かえる弁護士は「結婚式に同性愛者の友人を読んだら傷つけてしまうかも…」という発言に対して論評を加えるツイートを出発点にしていました。

その元ツイートが存在します。

佐藤倫子弁護士「法律婚ができない同性愛者の友人を結婚披露宴に呼んで祝ってと言うのは恥ずかしい」

https://archive.ph/4aYyK https://archive.ph/lJYtO

佐藤倫子弁護士は、現行法では法律婚が認められていない同性愛者に関して、「同性愛者の友人を結婚披露宴に呼んで祝ってくださいなんて言える?私は自分が恥ずかしい」という趣旨のツイートをしていました。

私の冒頭ツイートの「弁護士A」です。

かえる弁護士のツイートの言及対象はこのツイートであるとしか思えません。

そして、これはかえる弁護士のツイートとは異なり、「結婚式の加害性に気をつけてほしい」という趣旨のツイートであると言い得る内容です。

しかし、「結婚式…加害性」という単語は用いられていないため、このツイートが元ネタであるとして騒がれたわけではありませんでした。

ただ、これは6月20日の同性婚訴訟大阪地裁判決を受けてのツイートであり、「同性婚を法的に認めろ」という主張が先にあり、「同性愛者同士の法律婚ができない同性愛者にとっての加害性」を論じているものであり、「法律婚が可能な異性愛者をも含めた婚姻(披露宴)の加害性」に関する指摘ではない。

少し話が本題から逸れるが、佐藤弁護士の主張に対しては以下が指摘できる。

「法律で認められてるから結婚を祝う空気がある」のではないですからね。

夫婦が共同生活を営むこと=結婚を祝う慣習があるから法律で保護を与えたわけで、順番が逆なんですよ。明治憲法以前は法律婚なんてなかったでしょと。

「結婚式の加害性」ツイートの炎上に関する誤解まとめ

  1. 佐藤倫子弁護士による「同性愛者同士の法律婚ができない同性愛者にとっての披露宴に呼ぶことの加害性」ツイート⇒「結婚式の加害性に気をつけろ」と言っているツイートとして選ぶなら本来はこちらの方、ただし言及対象が限定されている
  2. 佐藤弁護士のツイートを受けたかえる弁護士による「結婚式その他の祝賀行事には原理的に加害性がある」が「だれも傷つけないように中止するのは不可能なのだから覚悟を持てよ」ツイート⇒「結婚式の加害性に気をつけてほしい」の元ネタとして認識され、ツイート内容を盛大に誤解されて攻撃を受ける
  3. いずれかの言及か不明だがピピピーッ弁護士による「結婚式の加害性に気をつけてほしい みたいなツイ見た」ツイート⇒先にワードが認知され拡散されたのはこちら

「結婚式の加害性」ツイートの炎上に関する誤解をまとめるとこんな感じです。

先にワードが認知され、後で「結婚式の加害性に気をつけろと言ってる元ツイートが特定された」と思い込まれたが、実際の趣旨は異なる(むしろ真逆と言い得る)内容のツイートであるにもかかわらず、盛大に燃やされてアカウント削除に至った、ということです。

おそろしいですね。

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