事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

自民党が皇位継承の在り方に関する所見を提出、主要政党の意見書が出揃う:他党の意見書振り返り

そのための「黄金の3年間」であったはず。

自民党が皇位継承の在り方に関する所見を提出

安定的な皇位継承の在り方に関する所見 | 政策 | ニュース | 自由民主党

令和6年4月26日、自由民主党が「安定的な皇位継承の在り方に関する所見」を衆参議長に提出しました。

所見ではまず「秋篠宮殿下、悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」「悠仁親王殿下の次代以降の皇位継承については、今後の経過を踏まえつつ、静謐な環境の中で議論を深めていくべき」としました。

その上で、政府の報告書に示された三つの方策のうち、「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること」「皇統に属する男系男子を皇族の養子とすること」について必要な方策だとしました。

「皇統に属する男系男子を法律により皇族とすること」については、上掲の目的を果たせなかった場合の方策として位置付けるべきだとしました。

皇位継承の在り方に関する意見書は先だって公明党も提出しており、これで与党が揃って提出したことになります。

皇族数確保へ「意見書」 | ニュース | 公明党

なお、自民党が「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持できる案」について検討をしたとの報道があった際には「『女性宮家』を認めるのか!許せん!」という反応がSNSでは見られましたが、何重にもに誤った認識があったので以下で整理しています。

主要政党の意見書が出揃う:維新・国民・立憲・NHK、有志の会も

さて、皇位継承の在り方に関する意見書は既に日本維新の会国民民主党立憲民主党NHK党*1、が提出しており、主要政党の意見書が出揃ったことになります。有志の会も意見書を提出していました。*2

これらのうち、NHK党と有志の会による意見書の内容が充実しており、単に「皇位継承者の確保」に留まらない今後の皇室の安定的継承に視野が向いている提言が為されているので、以下で確認すると良いでしょう。

主要な意見書の内容の振り返り:警備・教育・誹謗中傷対策・予算等

自民党の意見書の内容は、これまで各党が提出した内容の公約数的なものと言えるので、ここで改めて解説等をするまでもないと思います。

他方で、NHK党や有志の会による意見書の内容には、「皇族数や皇位継承者の確保」の枠にとどまらない見るべき事項があるため簡単に振り返ります。

まずNHK党は悠仁親王殿下の警備強化・(東宮)御学問所の再興・皇室バッシングに政府が対応・内廷費の見直し・皇室会議の構成への要請なども要望として強く求められています。

有志の会はより根本的な、皇室議論における心構えを説いており、皇室や皇位継承の在り方を勝手に決めつけてはならぬ、立法府の議論は皇室の選択肢を増やすために行うものである、といった主旨の提言をしていました。

私は、「皇室の選択肢」に関しては、皇族女子の意向に関して鮮明になると予想しています。一般人との婚姻後も皇族の身分を保持する案も検討対象とする政党がありますが、これは和宮親子内親王の徳川家茂との婚姻の際の先例があります。

旧皇族の男系男子との婚姻のみを念頭に置いた制度や方針よりも、こうした選択肢が用意されることで、伝統・先例から踏み外さない範囲で合意を形成し、皇室制度への非難を減らす意義があると言えます。

今国会での皇室典範の法改正は成立するのか?「黄金の3年間」の役割

皇族数確保めぐる有識者会議2案、自民「妥当」…5月連休前後にも各党協議入り : 読売新聞

自民幹部は「皇族数の確保が喫緊の課題であることは与野党の共通認識だ。今国会中の法整備も不可能ではない」との考えを示す。

自民党、皇位継承巡り男系維持へ旧皇族の復帰容認 意見集約へ - 日本経済新聞

公明党の北側一雄副代表は3月28日の記者会見で「自民党にもとりまとめをできるだけ早くしてもらいたい。皇族数確保の2つの方策は今国会中に与野党の合意を得たい」と強調した。

公明党の北側一雄副代表が今国会中の与野党の合意を得たいと意欲を示し、読売報道でも自民党幹部が今国会中の法整備を視野に入れていることが報道されています。

皇位継承施策を実現するには皇室典範の改正が必須なので、国会で議論が進められ、法案提出・可決承認が必要になります。

政権支持率や大手野党の権力争いの関係で議論が停滞するおそれもぬぐいきれないため、早期に実現していただきたい。そのための「黄金の3年間」であったはずです。

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*1:提出当時の正式党名は「みんなでつくる党」

*2:他、衆参両院合わせて、れいわ新選組、日本共産党、教育無償化を実現する会が存在。なお、有志の会は院内会派名であって政党ではない。