驚愕の事実
- 木村響子さんが誤って捏造ツイート画像で開示請求
- 「家族のアカウントではなくIPアドレスの改竄・不正アクセス」が主張
- ログイン時IPアドレスがなぜ家族側のものとされたのか?
- 「捏造・改竄」の主張は具体的にしなければならない
- 見た目が怪しいツイート画像の捏造を見抜けなかった落ち度
木村響子さんが誤って捏造ツイート画像で開示請求
プロレスラーの故・木村花さんの母である木村響子さんがツイート画像の内容が権利侵害だとして開示請求をして通ってしまったが、開示された家族側から損害賠償請求訴訟において捏造ツイート画像によるものだとして不当訴訟の反訴を受けてしまった事案。
本件は木村響子さんもツイートで事情を説明していました。
反訴されている件に
— 木村響子🌸🌸🌸🦍 (@kimurarock) 2023年6月22日
つきまして
今回のことは裁判中であり
言えないことも多々ありますが、当時の状況を私の視点から できる限りでまとめました。
デマや誹謗中傷は
おやめください
最終的な裁判結果が出ましたら
改めてご報告いたします
ご心配おかけした方々、
申し訳ありません pic.twitter.com/p0DjadedXk
が、裁判記録を三尊チャンネルの山口三尊氏が閲覧して来た内容がUPされ、驚愕の事実が明らかに。
「家族のアカウントではなくIPアドレスの改竄・不正アクセス」が主張
木村響子さん誤爆事件+はあちゅう1万1000円勝訴事件|山口三尊
アクセスプロバイダーであるジェイコムウェストへの開示請求段階では、ジェイコムウェストから家族側に対して意見照会・回答が為されていました。
報道内容からは意見照会への回答が無かったのではないか?と目されていたが違ったことに
そこでは「画像にあるアカウントは家族のアカウントではなくIPアドレスの改竄・不正アクセスの可能性がある」という旨が主張されていました。
これは「ツイート画像が捏造」というものではありません(それは開示後の訴訟で初めて主張された)。
これらは読売新聞の報道や響子さんのツイートではわからず、そこにある事情から更にひとひねりある事案だったということです。
IPアドレスの改竄・不正アクセスの主張は、「身に覚えが無いから抽象的にその可能性がある」とだけ主張されており、その文章も本人が書いたようで、代理人弁護士による調査と文章構成を経たものではありません。
そのため、裁判所からは以下判示され主張が排斥されています。
また、被告は、本件IPアドレスの契約者が、その家族を含めて本件アカウントを管理しておらず、インターネット接続サービスに対する不正アクセスやIPアドレスの改竄の可能性も考えられると回答していることを指摘するが、そのような不正アクセスや改竄の可能性があることについて具体的な根拠に基づいて主張するものではないから、上記認定説示を左右するものではない。
ログイン時IPアドレスがなぜ家族側のものとされたのか?
開示された家族側の主張を信じるとして、本件の中心的課題は【家族のものではないアカウントのログインIPが家族契約のものとされたのはなぜか】という点。
三尊氏の動画では原告が「令和2年5月23日から令和2年5月25日午前3時47分」の投稿であるとしていますが、通常は秒単位で特定が求められるもの。
Twitterは投稿時のIPアドレスは保管しておらず、ログイン時のIPアドレスを保管しているためそれを利用するのが実務上通例となっています。投稿よりも後の時刻でのログイン時のIPでもOK、という運用になっているようです。
そういう事情が何か関係するのか、それとも家族側が主張するようにIPアドレスの改竄・不正アクセスなのか。
「捏造・改竄」の主張は具体的にしなければならない
本件、IPアドレスが開示された時点で「当該IPアドレスの契約者は当該家族であり、そこから当該アカウントにアクセスされていた」ということがコンテンツプロバイダーのTwitter社(現:X Corp社)への開示請求で認定されたことが前提になっています。
なので、デフォルトの段階ではそれは当然のこととして扱われるため、それと異なる主張を家族がするならば、相当の立証をしないといけないことに。代理人弁護士をつけずに主張するのは難しいでしょう。
「不正アクセス」の主張は、「家族らが契約していたIPから当該投稿はされていた」ことを前提として「その投稿の主体は自分らではない」という主張になっています。
「IPアドレスの改竄」の主張は、それだけではよくわかりません。「本来はまったく別のIPからの投稿のはずが家族契約のIPが偽装された」というものなのかなんなのか。
原告の響子さん側からすれば当時は「何をしらばっくれてんだ」という感覚になっていたとしても不思議ではないでしょう。
三尊さんの動画内では、別の訴訟の話として、はあちゅう(伊藤春香)に開示請求された方が自分の投稿ではないと強硬に主張していたが実は息子が回線を使って投稿していたことが発覚した、ということが語られていましたが、開示請求訴訟において「身に覚えが無い」というのは主張されがちではあるが、それだけでは「ほんとぉ?」と思われるようなものだということ。
携帯やスマホなら、まだいいけど。
— えきなんロー🕊 (@ekinan_lawyer) 2023年6月28日
家のWi-Fiって、本当、鬼門だよ。
最近のWifiルータって、家庭内LANはパスワードや暗号化で守っても。
お客さん用のwifiは別回線で、パスワードフリーの電波飛ばしてたりするから…
ただ、一つ言えるのは、極めて特殊な事案だということ。
安易な一般化で不安を煽るようなのは、やはり慎むべき。
見た目が怪しいツイート画像の捏造を見抜けなかった落ち度
三尊さんによれば証拠として提出されたツイート画像(本記事冒頭のABEMAでも取り上げられた投稿)の見た目だけでも色々と不審点を指摘できたハズが、その指摘すら無かったようです。URLや投稿日時の記載が無いというのは従前の報道の通り。
開示請求段階でも主張できたハズが、「そもそも自分らの投稿ではない」という点に意識が持っていかれたために気づかなかったのか、それを主張するのは投稿自体は認めたことになると思ってしまい、良くないこと(そんなことはない)だと思ってしまったのかわかりませんが。
ただ、読売報道にある内容では「投稿に使われたアカウントは非公開で、5か月前に開設されてから投稿は2回しかないことがわかった。一般的に著名人らを中傷する投稿者は積極的に情報発信する傾向にあり」という主張が掲載。
こうした主張は、普通は代理人をつけなければ難しい。
裁判所は、弁論主義が妥当する開示請求訴訟では、当事者が具体的に反論しないとその結論を採用することは難しい。
弁護士らの間では「響子さん側の代理人弁護士が気づくべきだった」とする指摘が圧倒的に多いです。
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