なぜ他人事の態度ができるのか
- 北原みのり「草津町の新井祥子元議員が起訴、なぜこのようなことが起きたのか真実を知りたい」
- アエラドットでの北原みのり「町長に加害の事実がなかったとしても議会そのものが性暴力でミソジニー」
- 湯畑でのフラワーデモにも参加:参加者の中には「レイプの町草津」のプラカードも
北原みのり「草津町の新井祥子元議員が起訴、なぜこのようなことが起きたのか真実を知りたい」
群馬県草津町の新井祥子元議員に対して、11月1日に検察が虚偽告訴罪、及び、名誉棄損罪で在宅起訴しました。今後、裁判を通して真実が明らかになっていくことでしょう。なぜこのようなことが起きたのか、わたしも真実を知りたいです。引き続き注視していきたいと思います。
— 北原みのり (@minorikitahara) 2022年11月16日
北原みのり氏が「草津町の新井祥子元議員が起訴、なぜこのようなことが起きたのか真実を知りたい」とツイート。
「なぜこのようなことが起きた」?
あなたをはじめとする「支援者」らが騒いだからでしょう。
それによって海外メディアも実に日本を貶める文言を使って報じましたが、北原氏は海外メディアの報道を嬉々として紹介していたでしょう。
草津町のこと、ガーディアンが報じました
— 北原みのり (@minorikitahara) 2020年12月8日
草津町議会は、新井さんに原因を求めるのではなく、性被害を訴える声を裁判を待たずに、議会の濫用によって封じた自らの暴挙を反省すべき。
Japan town's sole female councillor ousted after accusing mayor of sexual assault https://t.co/77pS7dJQzH
このガーディアン紙はこう書いてます。
The reaction to Arai’s allegations has refocused attention on what campaigners say is Japan’s failure to properly investigate allegations of sexual violence. According to a 2017 government survey, just 4% of women come forward with sexual assault allegations.
「性暴行の被害申立ての適切な調査に関する日本の失敗」「女性性暴行の被害申立てをする女性はわずか4%」などと書いてますが、暗数調査は行われており、その理由も「それほど重大ではない」10+「自分で解決した」4+「捜査機関は何もできない(証拠がない)」4+「加害者の処罰を望まなかった」3+どうしたらよいのか分からなかった8+以外の理由は1人ずつ、と言った感じです。
政府側の問題と言えるのは「捜査機関は何もできない」といった理由でしょう。
Pressure on Japanese authorities to take rape allegations more seriously has increased since Shiori Ito, a reporter and symbol of Japan’s MeToo movement, accused Noriyuki Yamaguchi, a prominent TV journalist, of raping her in 2015.
やはり伊藤詩織の事案を持ってきています。彼女の事件後の行動からは刑事で事件化するのは難しい事案だと言えます。逮捕状が執行されなかったのは不思議ですが。
アエラドットでの北原みのり「町長に加害の事実がなかったとしても議会そのものが性暴力でミソジニー」
北原みのり氏はアエラドットで都合3度、草津町の新井祥子事件について記事を書いています。
私は、いったんは新井祥子側に立つ者が居てもそれは妨げられるようなものではないと思います。両者の主張が真っ向から対立している問題で、一方当事者の側に肉薄することで得られる情報もあると思います。
(※一方当事者の主張があまりにもおかしい場合、弁護士ですら受任しないことがあるが、ここではそうした視点からの非難は封印しておく。話題が散逸するので。「百歩譲って」の話)
しかし、そうであってもいわゆる「セカンドレイプ」などという、主張が対立する事実の存在を前提とするレッテルを真偽不明の状況で行うのはおかしいでしょう。
まるで現代の魔女狩り? 性被害を訴えた草津町議会女性議員へのリコール
連載 北原みのり 2020.11.25 16:00町長にたとえ加害の事実がなかったとしても、この議会そのものが十分に性暴力でミソジニーだった。「この議会の様子はYouTubeで世界に配信される!」と町長自身が動画内で言っていたので、自身の正しさを証明する機会として、新井議員をおとしめる発言を繰り返したのだろうが、「世界的」には完全にアウトなのは草津町議会そのものではないか。男性ばかりの歪な議会で、性被害を訴えた女性を「嘘つき」とののしる姿を世界にさらしてしまった。
この部分は被害を訴える女性の側に寄り添うという事を簡単に飛び越えて、被害事実が確定的にあるという前提の記述です。
加害の事実が無かったならば、新井氏が黒岩氏や草津町の名誉を貶めているのであって、あのような追及は実に正当であるはずでしょう。それを「女性が追及されることがあってはならない」という価値観で論じている。
他、以下の記事がありますが、町長や町に関する記述は比較的、落ち着いたものと言えるとは思います。が…
殺気だつ草津町傍聴席「犬だってしねぇよ」 セクハラを背中で浴び続けた気分になった
北原みのり 2020/12/03 16:00
性被害を告訴した元草津町議の女性が会見 会場の関心と#MeTooのズレに衝撃を受けた 2021/12/15 16:00 北原みのり
12月13日、新井さんは群馬県庁で記者会見を行った。私はライブ配信で視聴した。新井さんは刑事告訴に踏み切った思いを語り、事件当日の町長との会話を録音した音声を発表した。新井さんの弁護士は、「新井さんは苦しみ抜かれ、それでもやはり事実を明らかにしたいということから告訴を決意された」と今回の告訴について話した。
録音されていたのは、事件当日とされる日の町長と新井さんの会話だ。個人的なトラブルの相談について町長の言質を取るために録音していたという。褒められた行為ではないが、新井さんはポケットに録音機を忍ばせていた。
そこには親しげな会話が残されていた。会話からは、2人が前日に消防団の出初め式に参加していたことがわかり、そこで日にちが特定され、さらに午前10時を知らせるチャイムが鳴ったことから時間も特定された。
音声は性被害を証明するものではなく、事件があったと新井さんが主張する日時に町長と一緒にいたというだけの事実である。とはいえ、これは大きい。というのも、町長はこれまで「その日に2人では会っていない」「町長室のドアは開けっ放しにしていた」「新井議員を“祥子ちゃん”と呼んだことはない」などと議会で断言し、新井さんを虚言癖があると攻撃してきたからだ。ところが音声データには、ドアをノックし開閉する音、「祥子ちゃん」と呼びかける声も残っていた。少なくとも、町長にはこれまでの説明との矛盾を語る責任があるだろう。~省略~
現在の強制性交等罪は身体への男性器の挿入が問題になる。それに対し、指やアダルトグッズなどを使った行為も強制性交等罪として認められるべきであるという議論が重ねられてきた。被害者にとってみれば、男性器の挿入が問題ではなく、同意があったかどうかが問題だからだ。そのような基本的知識のない記者による、隙あらば矛盾を責めるという空気が記者会見場にできあがっているのが伝わってきた。
特に性被害が音声に残っていないことについては、嘲笑的で、時に攻撃的に聞こえた。
もともとやましい気持ちで録音していたことから、町長が近づいてきた時に「ばれた」と思い、新井さんは録音機の電源を切ったという。
「もし音声がとれていたとしても、私は消したと思います。振り返るのもつらいこと、聞くのは耐えられないからです」
2021年12月13日の群馬県庁での記者会見というのはこちらの動画。
当日の音声としていちいち聞かせておいて、被害に関する音声が無いというのは意味不明ですが、北原氏は記事でこのことに言及しています。もっとも、枝葉末節の事実関係について町長の主張のミスを指摘する記述もありました。
「隙あらば矛盾を責めるという空気」ですか、実に結構じゃないですか。客観的事実を明らかにしようとするならば、双方に対して矛盾は許してはならないはず。しかし、その事実の重み、意味を判定しなければならない。
北原氏は「被害者にとってみれば、男性器の挿入が問題ではなく、同意があったかどうかが問題だから」と書いてますが、新井氏が主張している被害実態は「町長が陰茎を押し付けて…」というもので、「指やアダルトグッズなどを使った行為」などという講学上の議論など本件では無関係であり、かつ、新井氏の主張の根幹部分なのだから、問題ではないなどとは言えない。余りに不可解な、新井氏側に寄り過ぎた言論でしょう。
それから「町長が近づいてきた時に「ばれた」と思い録音機の電源を切った」???
そんな動作をすれば録音機の場所ごと確定的に気づかれるわけで、バレたなら切ったところで録音機にあるそれまでの録音を聞かれて終わりだし、まったく意味不明な行動。
なお、草津町に関しては【地方議員コンパニオン宴会で露呈した日本のジェンダーギャップの要因【フェミニスト10大ニュース】北原みのり 2020/12/29 16:00】でも触れられている。
湯畑でのフラワーデモにも参加:参加者の中には「レイプの町草津」のプラカードも
草津でフラワーデモ 町長からの性被害訴え 失職した新井祥子氏を支援 | 週刊金曜日オンライン
新井祥子側に立った言説をしただけで問題視することはないと言ったものの、当事者以外に関する言及についてはさらに別です。本件は、草津町・草津町民の名誉にもかかわる話です。既に草津町が原告として新井祥子支援会の2名に対して民事訴訟が提起されています。
草津町の湯畑で行われたフラワーデモに、北原みのり氏も参加していました。
上掲記事のリンク先で画像がありますが、彼女の周囲の人間は「#セカンドレイプの町 草津」というプラカードを掲げています。
新井氏の被害回復をするためであるならば、このような町全体を貶めるような行動はしないだろう。いや、それが高じて暴走してしまったというなら、余りにも物事の考え方がおかしいのではないでしょうか?新井議員も中心に居ますが、草津町の議員として町全体を貶める活動をしていることに気づかない。
もっとも、北原氏は、周りが掲げてる問題の文言があるカードを掲げてない。これは意識的にやっていた可能性はある、ということは指摘しておきます。
以上:はてなブックマーク,ブログ,note等でのご紹介をお願いします