事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

LGBT理解増進法でメディアが報道しない滝本太郎・森奈津子参考人の発言:参議院内閣委員会6月15日

市井からの重要な指摘

参議院内閣委員会6月15日:LGBT理解増進法審議

6月15日の参議院内閣委員会で、いわゆる「LGBT理解増進法」と呼ばれている【性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案】の審議が行われました。
※後述するが、「LGBT理解増進法」というのは俗称であり、多分にミスリーディングな表記です。

本稿ではメディアではほとんど報道されない参考人の発言に焦点を当てます。

衆議院内閣委員会での質疑の内容は以下。

女性スペースの会などの事務局長、滝本太郎弁護士

山谷えり子議員 さて、2021年に党内でLGBTの議論になったときに、私が米国で学校のトイレの使い方でPTA問題になったり、女子の競技に男性の身体で心が女性だからと参加してメダルをとったり、そういう不条理な事がある、社会運動家、政治運動化されると色んな副作用があるのではないか、慎重な議論が必要、とメディアに応えたところ、物凄いバッシングに遭いました。今しかし2年経って現実のものとなってきています。その当時か安心安全な女性スペースを、と訴えられてきた、女性たちやLGBT当事者の声を集め、問題提起をしてこられた「女性スペースを守る会」や当事者団体など4団体の調整役をされました弁護士の滝本太郎先生、参考人としてお越し頂いています。まず4団体についてのご説明としてこの問題についてどういう風にお考えですか。

滝本太郎参考人 「女性スペースを守る会」は賛同者3010人ほどで、内、730人ほどはレズビアンなどの性的少数者です。「性別不合の会」は、トランスジェンダー、特に身体違和のきついトランスセクシャルの方が集りです。「白百合の会は」様々な性的少数者が集まり、そして「平等社会実現の会」は40年間、現実に強姦被害者の救済をしてきた方々で、その女性たちの悲惨な事件とトラウマの重さ、その状態をよく知ってる方々です。認識については、一つ目としては女性トイレなどの女性スペース、これは多くの悲惨な性被害があり、先人の女性たちが血と涙を流して闘い勝ち取ってきたスペースであること、トイレの中では女性は決してマジョリティではなく、男性の身体の人が来れば体格も筋肉も身長も大きくマイノリティであること、ところが 「トランス女性は女性だ」のスローガンのもとに、その利用公認をさせようという運動の一環として法律を求められて来たという認識です。二つ目の認識は、先行した国では、ジェンダーアイデンティティで法的性別を変更できるという制度があります。これは本当に国民に知られてません。れを日本では止めなければいけない。性別、sexと時代と地域で異なるジェンダーを混同してはならないという認識です。三つめは、そのほか、更衣室、女湯、DVシェルター、病院、刑務所、女性専用マンションの問題、様々なあります。また、女性スポーツでの公平性、その他各所いわゆる女性枠の問題など多岐に渡るもので具体的な議論を国民的にした上で、ということで認識を強く訴えてきました。以上です。

山谷えり子議員が2021年に「慎重な議論が必要とメディアに応えたら物凄いバッシングに遭った」事例は以下のもの。

当時のツイート等を検索すれば、夥しい罵詈雑言が見つかります。一部メディアでも「差別」という文言を使って非難が為され、LGBT活動家団体らも同様の非難を浴びせて居ましてた。

この喧騒について振り返っているものとして以下が参考になります。

山谷えり子議員のLGBT発言は差別だったのか | アゴラ 言論プラットフォーム

滝本弁護士の言う「ジェンダーアイデンティティで法的性別を変更できるという制度」については、たとえばイギリスの"gender reassignment"という制度があり、性別適合手術を必要とせずに性別変更ができるものです。これは、日本の性同一性障害特例法で手術要件を定めていることとは異なります。

なお、トランスジェンダーの刑務所での扱いは、既に通達で対応が為されています。

LGBT理解増進法に疑義を呈するだけで懲戒請求

山谷議員 ありがとうございます。修正案で「差別」ではなく「不当な差別」としたことについて、4団体のみなさまは如何ですか。

滝本参考人 法律は理念法であっても影響は大きいのではと心配していました。疑問を述べるだけで「差別煽動だ」などと当職も懲戒請求される有様。ツイートを見れば、それを疑義を呈した女性らに対して罵倒が続いている有様でした。そのような差別というのを不当な差別と表現をすることによって活動家の一方的な「差別だ」「差別主義者だ」という糾弾闘争、差別糾弾闘争をできにくくしたものですから言論の自由が守られることとなりありがたいと考えております。

滝本弁護士に対しては、LGBTに関する言論に関して懲戒請求が為されていますが、綱紀委員会で門前払いされているものがあります

アイデンティティが揺らぐ思春期のLGBT教育の懸念

山谷議員 また、先程文科省の答弁もございましたけれども、「家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ」とそうした部分についてはいかがでしょうか。

滝本参考人 これは本当助かりました。これが無ければ子供が親の知らないままに性自認に食い違いがあると導かれ、やがて思春期ブロッカー、ホルモン治療、そして乳房切除や性別適合手術へ進んでしまう危険性があるものでした。先行国では、この教育が始まって以来、「男だったのではないか」と言う思春期の女子が格段に増えたという報告もあります。思春期は正常なる異常状態です。ですから、家庭などの理解を得つつ、それこそ慎重にしていかなければいけない。あとで後悔しても始まらないことですから、子供らの健康を守るために入れてくれて助かったと考えています。

ホルモン治療は身体違和のあるトランスジェンダー(特に他のトランスジェンダーとの違いを強調する場合にトランスセクシャルと呼ばれることがある)に対して日本でも行われている対処法ですが、極めて例外的な場合を除き、思春期の子どもに対して行うようなものではありません。

特に、思春期はアイデンティティが揺らぐ時期です。それを自らの意思で変更不能な性同一性の問題だと誘導・勘違いさせるような教育は、あってはならないでしょう。

イギリスなど先行国での正常化への揺り戻し

山谷議員 修正によりまして「民間団体の活動促進」を削除したこと。また、指針の策定で12条に「全ての国民が安心して生活できるように」を加えたことについてはいかがですか。

滝本参考人 民間団体の努力には敬服いたします。しかし善意で行動する中にいろいろなことがあります。職務を間違えば失うはずの資格も元々持っていないのに親を排除して子供に会い、ジェンダーアイデンティティのことを教育していく団体もありえます。責任を負える立場でもない者が実質、委託を受けてしまう可能性もある。これを削除したことは適切だったと考えます。指針についてはこの2年間先行した国々の混乱はいよいよ明白になり、イギリスでは昨年4月、正常化に舵を切ったことなども考えて女性や子供の安心安全も重要であるという趣旨を入れたわけですから、とても貴重な条項でありがたいです。また、全ての国民が安心して生活できるようにと一文を追加させたことで、警察が女子トイレなどの事件について萎縮する危険性が大きく下がったと思います。

「イギリスで4月に正常化に舵を切った」部分の根拠はボリスジョンソン氏の2022年4月6日の発言を指しているようです。

上掲ブログの魚拓

もっとも、イギリス社会全体からは既にそれ以前からトランスジェンダリズムの弊害も指摘されていました。例えば英国スポーツ評議会の報告書など。

他の国、例えば韓国でも「揺り戻し」が起きています。

ジェンダーレストイレの失敗と女性スペースの確保への終わらない闘い

山谷議員 法案が成立した場合、今後の課題について或いは要望についてお聞かせください。

滝本参考人 国においてはトイレなど女性スペースの維持と安心安全の確保、また女子スポーツの公平性の確保について法律を検討してほしいとお願いします。メディアは国民の知る権利、これに尽くしてほしい、言論の自由を守ってほしいと思います。そして、私たち市民としては先行した自治体の条例を含む様々な問題に取り組んでいくことになろうと思います。女性用トイレを作らず、この問題を避けるために全てオールジェンダーという共同便所にするのはやめさせたいです。また、例えば東京江戸川区では、付属委員は男女均衡にと言いつつトランス女性を女性とカウントできるという条例になっている、その逆もあるわけですが、本当にそれで良いのかいうことも議論すべきと存じます。以上です。

「オールジェンダートイレ=ジェンダーレストイレ=共同便所」は、東京都新宿区の東急歌舞伎町タワーの事案が分かりやすいでしょう。売春の温床になりトイレの前に警備員が警戒するなど無用なコストがかかり結局は廃止されたようです。

また、このような倒錯した現象が起きた背景には、LGBT活動家が企業に関してLGBTQへの取り組みについて指標を作り評価・表彰していることでそれに迎合した結果である可能性があります。

滝本太郎弁護士の質疑の最後の部分、「私たち市民としては先行した自治体の条例を含む様々な問題に取り組んでいくことになろうと思います」は重要だと思います。

議員や政府にまかせっきりではなく、この国の社会は我々自身で作り上げていくものなのだ、という意識が鮮明に表れています。

メディアが国民の知る権利に貢献せず、一定の方向の情報ばかりを伝えている現状で、本稿を書いていることそれ自体にもそういう効果があると思っています。

日本維新の会の高木かおり議員質疑における森奈津子参考人

次に、日本維新の会の高木かおり議員質疑における森奈津子参考人の発言を取り上げます。作家としてバイセクシャルを公言して活動してきた方です。

高木かおり議員 …「民間団体等の自発的な活動の促進」を削った、この点、どういった懸念点であるとか、メリットデメリットいろいろあると思いますが、その点についてご意見を伺いたいと思います。

森奈津子参考人 自発的な活動とは具体的にどんな活動であるかを定めてもいないのに促進するとなると、当然のことながらリスクが生じます。実際LGBT教育の中には、非常に先鋭的で、日本社会では受け入れ難いものも存在します。たとえば「私の性自認は女性」と主張する身体男性は、女子トイレや女湯を使って当然とする教育が挙げられるでしょう。このようなLGBT教育が自発的な活動として促進してもよいものでしょうか。それには疑問を感じますので私は削除は当然であると考えます。以上です。

「先鋭的なLGBT教育」については、たとえば、アメリカ社会に混乱を巻き起こしているトランスジェンダリズム=性自認至上主義については、その危険性を伝えようとする声がかきけされてきました。

Twitterではアメリカ在住のBlah氏(ブラー)がその様相を紹介しています。

日本においても、自治体の条例等で疑問符が付く形でLGBT教育が語られているものがありますが、そうした懸念は大多数のメディアは一切報じません。

全ての国民の安心を理想として何がいけないのか、それこそが理解増進の精神ではないのか

高木かおり議員 …こういったこの全ての国民が安心して生活がすることができることになるように留意をしていく。こういった理念というのが大変重要だと思っております。今のこの現実社会の中での現状等も踏まえまして、ご意見を頂きたいと思います。

森奈津子参考人 残念ですがLGBTに対する差別偏見は未だに存在します。LGBTに対し恐怖心を抱く人もいます。このような方々に対し、LGBTに関する正しい知識を身に着けていただくよう試み、全ての国民の安心を理想として何がいけないのでしょうか。それこそが理解増進の精神ではないのでしょうか。私はこの修正を妥当であると考えます。以上です。

維新国民案にあった内容が、自民公明原案に修正法案で追加された12条について、「マジョリティに認められないといけなくなる、差別強化の内容だ」とする評価をする活動家がいました。

改めて、12条の条文を確認しましょう。

第十二条 この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。

本法は、「性的マイノリティへの理解増進」ではなく、「性的指向又はジェンダーアイデンティティの多様性」の理解増進法なので、当然でしょう。

「性的指向又はジェンダーアイデンティティ」の中には、当然、「男が好きな生物学的女性」も含まれます。

あらゆる人間が、利害調整をしながら共存しているのが人間社会です。

そこに特定の集団のみに配慮すべきとする思想が紛れ込む余地は本来ありません。

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