事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ICANフィン事務局長が核禁条約不支持の日本に失望⇒スウェーデンもスイスも署名批准せず、共産党が発効に歓喜

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核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の事務局長の発言を朝日新聞がありがたく報じていますので、この際に周辺情報の簡単な整理を。

ICANフィン事務局長が核禁条約不支持の日本に失望

核禁条約、不支持の日本に失望 ICANフィン事務局長 聞き手・松井健 2020年10月25日 10時42分 朝日新聞デジタル

核兵器禁止条約の批准国・地域が24日、50に達した。条約の採択を推進し、2017年のノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長(37)が、直前の21日にオンラインでのインタビューに応じ、条約の意義を改めて強調した。

中略

(原爆を投下された)日本の経験を考えると、日本が核兵器を合法のままにしようとしていることに失望している。日本は核兵器がどういうものかをよく知っている。条約を支持しないことで、政府は同じことが再び起きるのを許そうとしている。
 日本の人々が参加を強く支持していることは知っている。しかし、条約に加入しないならば選挙で選ばないと声を上げるなど、政府に要求する必要があると思う。

 ICANフィン事務局長が核禁条約不支持の日本に失望

核兵器禁止条約(TPNW)の署名・批准国

https://treaties.un.org/pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=XXVI-9&chapter=26

Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons

核兵器禁止条約の署名・批准国の一覧はこちらのページから。

2020年10月25日時点で署名国は84か国,批准国は49か国です。

条約の発効には50か国の批准が必要ということで、あと1か国で発効することとなります。

と、ここにきて50か国目の批准国が出るというニュースが。

核兵器禁止条約、来年1月発効 批准50到達、使用や威嚇を禁止―保有国は不参加:時事ドットコム

ICANのあるスイス、フィン氏の母国スウェーデンは署名批准せず

ICAN本部があるスイスや、フィン氏の母国であるスウェーデンは署名すらしていません。

フィン氏はICAN事務局長名義で取材に応じているのでそのあたりに関しては矛盾とまでは言えませんが、非常にモヤッっとしたものが残ります。

核拡散防止条約=核不拡散条約(NPT)

核兵器不拡散条約(NPT)|外務省

核兵器の不拡散に関する条約=核不拡散条約(NPT)、いわゆる核拡散防止条約については、日本もスイスもスウェーデンも締約国となっております。日本は1976年に批准。

こちらは1970年3月5日に発効しています。

NPTがありながらTPNWに批准するとどうなるか

ざっくり説明。

NPTは米、露、中、英、仏以外は核兵器を持っちゃダメ、というもの。

TPNWは全世界で核兵器の開発・保有や配備までをも禁止しましょうというもの(それだけに限らないが、さしあたって)。

しかし、チャイナ・北朝鮮、ロシアはTPNWに署名・批准していません。

この3か国は既に核兵器を持っています。

すると、それらの国が周辺にある日本国がTPNWに署名・批准したらどうなるか。

自明なわけです。

このように、共産党議員で喜ぶ人が居るわけです。

以上