日本学術会議:任命拒否された岡田・松宮教授らが外国特派員協会でアピールにまい進していますが、もはや「チェリーピッキング」と言える内容で、単なる大衆煽動の政治運動でしかありません。
外国特派員協会で任命拒否された者らが会見
10月23日、外国特派員協会において、日本学術会議から推薦を受けながら任命拒否された者ら6名が記者会見を行いました。
ここでは行政法学の岡田正則教授と刑法学の松宮孝明教授の発言の問題について取り上げます。
岡田正則教授のチェリーピッキングと暴論
岡田 岡田正則と申します。私の専門は行政法学です。私の専門分野から今回の任命拒否問題を見ますと、次の3点で、違憲違法だと言わざるを得ません。
第一に、先ほど高山先生から指摘がありましたように、今回の任命拒否は学術会議の独立性を否定するものだという点です。学術に対して政治権力が距離を保つべきことを学術会議の組織的な独立性として学術会議法は定めています。会員の適否を政治権力が決められるということであれば学術会議の独立性は破壊されてしまいます。このような破壊行為は日本における学問の自由の制度的枠組みを破壊することになりますから、憲法23条違反です。
第二に、学術会議法7条と17条に違反しています。政府はこれまで任命拒否を行うことはできないという見解を国会で繰り返してきました。ところが今回突然、菅総理大臣らは憲法15条1項があるから自分たちは任命拒否をできるんだという説明をするようになりました。しかし、国民が学術会議法を通じて会員の選定罷免権を委ねているのは学術会議という組織体であって総理大臣ではありません。
第三に、今回の任命拒否は手続上の違法だということです。菅総理大臣は今回の任命決定にあたって学術会議から提出された名簿を見ていないと明言されました。そうしますと、今回の任命拒否は、学術会議からの推薦リストに基づかない判断であったということになります。これは学術会議法7条2項の規定に明らかに違反する行為です。
現状は会員の任命を99人にとどめるという総理大臣の職務懈怠によって、以上のような違憲違法の状態にあります。菅総理大臣は職務懈怠をやめて推薦に基づく6名の任命義務を履行をし、この違憲違法状態をすみやかに解消しなければなりません。
岡田正則教授の発言には【チェリーピッキング】が含まれています。
「菅総理らは突然憲法15条1項があるから任命拒否できると説明」の詭弁
「菅総理らは突然憲法15条1項があるから任命拒否できると説明した」というのは「今回突然」と言う部分と「15条1項があるから」の部分とが、本来必要な事実を隠して行われている説明です。
まず、任命拒否は今回が初めてではありません。
日本学術会議の委員は総理大臣の形式的任命という過去の政府見解についてでも指摘していますが、2016年の補充人事の際にも推薦候補が事実上拒否された事実があります。
「憲法15条1項」については、一部の根拠に過ぎません。
この文書は野党合同ヒアリングでも示されていましたが、ヒアリングの場では内閣法制局の担当者が憲法15条1項しか説明していなかったものの、文書としては憲法65条、72条の内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督権限も根拠であると書かれています。
しかも、順番としては憲法65条・72条の方が先に出されていることから、憲法15条1項は補助的に参照されているにすぎません。
しかし、このことはメディアと野党はまったく取り上げません。
そのような状況を利用して、岡田教授も「政府は憲法15条1項だけしか言っていない」というチェリーピッキングという詭弁の手法を用いているのでしょう。
学術会議の組織的な独立性の意味
日本学術会議に独立性があると言われているのは次の条項があるからです。
日本学術会議法
第三条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
二 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。
しかし、これは職務に関するものであり、この中に委員の人事権は含まれていません。
「特別の機関だから~」とか「所轄だから~」とか、「推薦に基づいてとあるから~」という理由から独立性を論じる者が居ますが、どれも的外れです。
ですから、基本的に憲法72条の指揮監督権があり、内閣法に行政の人事権があるということをベースに、どの程度狭められているのか、という話をするべき。
たとえば学術会議法には以下の規定が。
第二十五条 内閣総理大臣は、会員から病気その他やむを得ない事由による辞職の申出があつたときは、日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる。
第二十六条 内閣総理大臣は、会員に会員として不適当な行為があるときは、日本学術会議の申出に基づき、当該会員を退職させることができる。
これは委員任命後の話ですが、総理大臣の一方的な裁量では罷免させることができないこととなっており、法律の趣旨としても任命時の総理大臣の判断が一定程度拘束されるという根拠として論じるのは一応の正当性があると思います。
しかしながら、これだけをもって、総理の任命裁量が全く存在しないとまで導けるかというと、私はそうは思いません。その理由は既述の通り、憲法と内閣法の規定があるからです。
「このような破壊行為は日本における学問の自由の制度的枠組みを破壊する」について
日本学術会議は研究を行う場所ではない、以上。
日本学術会議の推薦に対する任命拒否に関する法解釈上の論点整理 - 事実を整える
総理が名簿を見ていないから推薦に基づいていないという無見識
学術会議委員に任命されなかった岡田正則教授、学識の無さをこれでもかと披歴していくスタイル|Nathan(ねーさん)|note
岡田教授の主張内容は要するに「菅総理は105名の名前が書かれた推薦リストを目視していないのだから、推薦が到達したことにはならず、よって、「推薦に基づ」かずに判断をしてる違法な行為である、というものです。
実際は杉田副長官が首相の決裁前に推薦リストから外す6人を選別。報告を受けた首相も名前を確認したという運びであり、口頭で説明を受けてるということ。105人のリストも決裁文書に添付されていたという報道があります。
目視しなければダメと言うなら盲目の人はどうなんでしょうか?
そんな細かいところまで総理大臣職にある者がすべて見る必要性はない。
官房長官は総理の、官房副長官は官房長官の職務を補助する権限がありますし、その者らがさらにスタッフに細かい作業をさせていたからといって職務権限の踰越とか懈怠とかは生じ得ません。社会常識の問題。
日本学術会議:杉田和博官房副長官が内閣府の提案に基づき菅義偉首相に口頭説明について|Nathan(ねーさん)|note
松宮孝明教授のチェリーピッキングとヒトラーでさえという暴論
松宮 官邸は憲法15条1項にあります国民の公務員選定罷免権を根拠にして、今回の措置は合法であると説明しています。これはおそろしい話です。内閣総理大臣は国民を代表しているからこれからどのような公務員であっても自由に選び或いは選ばないということができると宣言したということです。ナチスドイツのヒトラーでさえも全権を掌握するには特別の法律を必要としましたが、菅総理大臣は現行憲法を読み替えて自分がヒトラーのような独裁者になろうとしているのかというくらいこれは恐ろしい話なんです。
それから今回の問題を巡ってはいくつかの犯罪が行われている疑いがあります。代表的なのが自由民主党の国会議員による、学術会議が中国と軍事研究を協同しているというデマをツイッターで述べたということです。これは明らかに犯罪です。
それから、内閣総理大臣が任命する根拠となる学術会議の推薦名簿、105名の内から6名を黒く塗りつぶした書面が見つかっています。このように、公文書を勝手に塗りつぶすのは公文書を破壊する罪に当たります。これらの犯罪行為についてもこの後に予定されている次の国会で究明されることが期待されます。以上です。
ここでも憲法15条1項だけのチェリーピッキングが行われている上に、松宮教授はゴドウィンの法則丸出しの「ナチスドイツのヒトラー」論法を持ち出してきました。
犯罪でもないものを犯罪と言い張る刑法学者
「代表的なのが自由民主党の国会議員による、学術会議が中国と軍事研究を協同しているというデマをツイッターで述べたということです。これは明らかに犯罪」
条文は?罪刑法定主義は?
名誉毀損・侮辱というなら日本学術会議が法的保護の主体となるという構成でなければあり得ないのですが、内閣府傘下の行政組織にそんな理屈が通るなら、あなたたちがやっていることもすべて菅総理大臣への犯罪になるんですが…
公文書毀棄?
こんなことを言い出したら公文書のコピーにメモ書きをすることすら公文書毀棄になってしまいます。既述の通り、105人のリストも決裁文書に添付されていたのであって、黒塗りされていたものが「本体」なわけないでしょう。
学者の矜持も誠意も何もない
岡田・松宮教授は学者としての矜持も誠意も何もない、単なる大衆煽動の政治活動を行っているということが(既に明らかだが)明らかです。
日本学術会議が推薦したことの正当性が問われるべきでしょう。
なお、推薦は学業研究だけに基づいて行われているわけではないということは自明なので、松宮教授はその点についても虚偽の説明をしてきたのですから、彼の理論によれば、松宮教授も犯罪者です。こんな連中を任命してはいけない。
菅総理には過去に行ってきた行政改革を総理大臣の権限を駆使してさらに推し進めていただきたいと思います。
以上