事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

X仕様変更で報じられないブロック貫通コミュニティノート:偽情報・不正利益対策重視で政府も安心か

一番重要な点なのにね。

X仕様変更で報じられない偽情報へのブロック貫通コミュニティノート

X(旧Twitter)のブロック機能の仕様変更で、ブロックされた側が相手方の投稿などを見れるようになったことについて、弊ブログでその狙いと意義を書いてきましたが、各所がどのように報じたのか調べてみました。*1*2*3*4*5

そうしたところ、ブロック貫通のメリットについて少し言及していたのは以下の記事くらいでした。

【マジかよ】X(Twitter)、ついに「ブロック貫通」開始! - すまほん!!

強いて言うなら、情報流通プラットフォームとして見た時には、弊誌をブロックしている詐欺師への言及や引用リポストが目に入った時、元になっている詐欺師の詐欺投稿をログアウトせずに閲覧できるようになり、詐欺被害防止のための啓蒙啓発がしやすくなるのは少しだけ嬉しいです。

しかし、【ブロック貫通のコミュニティノートや通報が行えること】を指摘していたところは皆無でした。偽情報・不正の利益を得ようとしているアカウントが、検証をしそうなアカウントを先行ブロックしているような場合に効果を発揮するということは無視されています。

この傾向はX上でも同様で、「ネットストーカーなどの犯罪に利用される!」「AI絵の学習に使われる!」「未成年者が18禁の絵にアクセスできてしまう!」「イーロンはXをレスバで溢れさせようとしてる!」といった非合理的な反応が一定の共感を呼んでいる場面も見られました。*6

従前からサブアカウントやログアウト状態ならブロックは関係がなく、ネットストーキングをするような連中にとっては変わらない環境だというのは自明です。

AI学習などの絵師に関する話は存在し得ない状況を勝手に想像して被害妄想に走るような話です。

Xのイーロン・マスク氏は、そうした人らの「お気持ち」よりも、現実の問題に対処することの方が重要だと考えたのでしょう。

コミュニティノート付与の観点から見たブロック仕様変更前後の環境

コミュニティノート付与の観点から見た仕様変更前後の環境を説明します。

まず、ブロックされた場合=被ブロックの立場ならば、従来は投稿もプロフィール画面も見えませんでした。それが投稿が見えるようになったことで、通報やコミュニティノートを付与するタブが表示されるようになりました。

実際にこの機能でブロック後に提案されたコミュニティノートもあり、そこに被ブロック者が評価を付けることが可能であることを確認しています。

収益化をしている者でもノートが付いた投稿からは収益が発生しない仕組みなので、パクツイ・著作権侵害投稿など、虚偽情報では無いにしろ不正な利益を得る目的での利用者から不当利得を剥奪することができます

よって、以下のように「可能なのは、あくまで投稿を見ることだけ」というのは、厳密には誤った内容です。

https://archive.md/UQkPc https://archive.md/qtetU

次に、自分のタイムライン(TL)において、フォロワーが単純リポストした他者の投稿が流れてくることがありますが、その他者アカウントが自分をブロックしていたとしても、TLにリポストされた投稿が表示されるようになりました。

フォロワーなどが変なアカウントや妙な投稿を拡散してしまった場合、いち早く気づいて対処可能になりました。バズっていれば簡単に気づくでしょう。

従来の被ブロック時のプロフィール画面は以下です。右上のタブからアカウントそれ自体の通報はできていましたが、投稿単体毎にはできませんでした。

サンプルのアカウントが変わりますが、現在ではブロックされていても、ブロックをした主体のフォロワー関係が全部見れるようになっています

これによって、当該アカウントの交友関係の追跡が容易になると言えます。

多くの人にとっては不要な機能でしょうが、偽情報対策に取り組む人たち、コミュニティノートの協力者にとっては、「類は友を呼ぶ」じゃないですけど、似たような発信傾向のあるアカウントを同時に把握することが簡便になるのはありがたいことです。

また、鳩を飛ばす必要は無いですが、フォロワーが危ういアカウントをフォローしている場合に、それが監視目的でない場合に、拡散されてないか注意することができるようにもなると考えられます。

設計思想:偽情報・不正利益対策に全振り、ユーザーに治安維持の責任を持たせて政府も安心か

「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」 ワーキンググループ論点整理(案)

能登半島地震の際、虚偽の救助要請投稿とその転載が相次いだことに、政府はガチ切れしてます。既に、新型コロナ禍の際や自傷行為に関する検索をTwitter内で行った際には注意喚起の表示がされるなど、政府はプラットフォーム事業者、特にX(Twitter)側に対して要求し、一定程度を反映させてきた実績があります。

X側が政府と協調路線を取っているというのはなんとなく感じられるところです。他方でInstagram運営などのMeta社は詐偽広告に有名人の肖像が勝手に使われてるのに対処せず放置した結果、被害者らから訴訟提起されています。

やはり、今般の変更は、デマや不正の利益を得ようとする者へ『コミュニティノートの刑』にする事に全振りの対応だと感じます。

「ユーザーもSNS空間の治安維持・改善に協力してください」ということ。

日常生活に引き直せば、住んでいる近くでの落ち葉拾い、緑道の草木の剪定に協力して生活空間を快適にする一定の労力を払ってください、ということ。必ずしもやらなくとも良いが、それによって舞い散る埃を受けても文句は言わないでねと。誰が住んでる町をキレイにしてると思ってるの?と。

一個人でも無料で全世界に対して情報発信できていて、何もしなくてよい状況は奇跡なんです。【情報発信力の濫用の時代】で、個人が濫用者として暴れることが可能になっている現在、それに歯止めをかける方向に向かうのは必然でしょう。

コミュニティノートは無課金でも作成者や評価者になることは可能ですから、積極的に参加して頂きたいものです。今のところ、組織的なノート付与はほとんど功を奏してないように見受けられますから、悪用される余地は小さいはずです。

以上:はてなブックマークをお願いします