こちらも議論が尽くされていない
- 不同意性交罪・性交同意年齢引下げ・年齢差要件の刑事法改正案の成立へ
- 草津町冤罪事件=新井祥子狂言事件の概要と「セカンドレイプの町草津」事件
- 「レイプの町・セカンドレイプの町草津」タグを作った法務省法制審議会委員の山本潤
- 改正刑法・刑事訴訟法の謙抑的な解釈運用は行われるのだろうか?
不同意性交罪・性交同意年齢引下げ・年齢差要件の刑事法改正案の成立へ
性交同意年齢引き下げや年齢差要件を設けるなどの刑事法改正案=【刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案】が今国会に提出され、衆議院を通過しました。
参議院での成立には待ったなしの状況です。
その中で、この法案が提出されるに至った法務省の法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 の議事録が話題になっています。
近藤和久裁判官(最高裁刑事局第二課長)
— 橙⚡️ (@_0ranssi_) 2023年6月13日
「範囲が広範に過ぎるという懸念や、いわゆる司法面接的な措置が明確に定義されていないという懸念など、この部会において、裁判所の委員を含む複数の委員・幹事から繰り返し指摘されてきた問題点が、いまだ払拭されていないということを残念に思います」 pic.twitter.com/synpy2NPP7
山本潤(一般社団法人Spring代表理事)
— 橙⚡️ (@_0ranssi_) 2023年6月13日
「性暴力は許される行為で、よくあることで仕方な いことという認識が広まり、性暴力の不処罰の文化を形成してきた。それが、この社会で性 暴力が払拭されない原因だと考えています」
どこの日本に住んでるの???????? pic.twitter.com/UKT43GoRh3
引用されてるのは法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 第14回会議 議事録
以下の発言は、実に示唆的でしょう。
○金杉幹事 ~省略~
最後になりますが、2020年の性犯罪に関する刑事法検討会の段階から繰り返し申し上げてきたことを、もう一度述べさせていただきます。私自身も、性暴力はなくすべきだし、根絶したいという思いは共有しているつもりです。ただ、殊に刑罰権の行使については、一遍の誤りも許されないし、誤りが生じ得るような制度にならないように、最大限に謙抑的であるべきだと、そう考えています。性被害を訴える方は無謬で、性犯罪については、加害者とされる被告人の認識は常に誤っている、そういった結果を招来するような偏った改正とならないように、今後の法改正に向けて慎重な審議がなされることを期待するとともに、仮に本「要綱(骨子)案」のままの改正がなされた場合には、運用に際して、現実に処罰範囲が拡大することが決してないように、また、構成要件の不明確さゆえに萎縮効果が生じて、実際に性的行動の自由が制約されるといったことがないよう、適切かつ謙抑的な運用がなされることを、心から願っています。
「性被害を訴える方は無謬で、性犯罪については、加害者とされる被告人の認識は常に誤っている、そういった結果を招来するような偏った」
これ、最近の事件でありましたよね?
この議論には経緯があるので以下でまとめました。
法務省の法制審議会-刑事法(性犯罪関係)部会
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2023年6月14日
①平成29年刑法改正法附則第9条で今後3年の間に検討することとされ
②「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」
③「性犯罪に関する刑事法検討会」
そして、令和3年に本会が開催されるに至ったhttps://t.co/pkhhdIejFi
草津町冤罪事件=新井祥子狂言事件の概要と「セカンドレイプの町草津」事件
草津町冤罪事件=新井祥子狂言事件とは、群馬県草津町の新井祥子町議(当時)が、2015年1月に黒岩信忠町長から刑事罰相当の性被害を受けたなどと2019年11月に突如として虚偽の主張をし、虚偽告訴罪と名誉毀損罪で告訴・起訴され、更にはメディアなどで新井祥子側に立った主張が展開され「セカンドレイプの町草津」などと町の名誉も毀損された事件です。
その中で、新井祥子を擁護する者らにおいて、ハッシュタグ等で「レイプの町草津」や「セカンドレイプの町草津」といった、草津町全体を貶める内容の発信が為されていました。
こうした流れについて、著名な名誉教授や国会議員、フェミニスト議員連盟などの公職者や一部マスメディアの記者なども加担していました。
「レイプの町・セカンドレイプの町草津」タグを作った法務省法制審議会委員の山本潤
その中でも、最初に「レイプの町草津・セカンドレイプの町草津」タグを作ったのが法務省の性犯罪部会に委員として参加している山本潤氏です。
2020年12月4日のFacebookでの投稿があったのち、Twitterでも11日に同様の投稿がありました。※当該ツイートは削除されている。
山本氏自身も性加害の被害者ということで、情報が整理されていない時期に新井側に寄り添った対応をいったんは行うということについては殊更に問題視されるようなものでもないと思ったのですが、これ以降、2021年3月6日に以下の修正が為されています。
「真偽不明の段階で裁判を待たずに」「数の力で失職させた」という点をあげつらって「セカンドレイプ」と呼ぶ論法は、アエラドットの北原みのり記者やその他の擁護者の主張にも繋がってきますが、全く的外れです。
その事については前掲リンク先と以下の記事に書いています。
その他、何度も同様の投稿が為されていますが、未だこれらの投稿はそのままになっています。
「町全体でセカンドレイプ」などと言っています。
「ファーストは無いかもしれないがセカンドレイプだ」という主張も。
疑惑をかけられた当事者(黒岩町長・草津町)に対して「反論するな」と言う異常な主張が累次に渡って繰り広げられています。補助的に以下の論稿も書きました。
改正刑法・刑事訴訟法の謙抑的な解釈運用は行われるのだろうか?
閣法 第211回国会 58 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する修正案(自民、立憲、維新、公明、国民)
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する修正案
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則に次の二条を加える。
(検討等)
第二十条 政府は、性的な被害に係る犯罪規定が社会の受け止め方を踏まえて処罰対象を適切に決すべきものであるという特質を有し、また、その改正がそれぞれの時代の性的な被害の実態及びこれに対する社会の意識の変化に対応していること等に鑑み、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定及び性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第 号)の規定(以下「新刑法等の規定」という。)の施行の状況を勘案し、新刑法等の規定の施行後の性的な被害の実態及びこれに対する社会の受け止め方や社会の意識、とりわけ性的同意についての意識も踏まえつつ、速やかに性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
2 政府は、前項の検討がより実証的なものとなるよう、性的な被害を申告することの困難さその他性的な被害の実態について、必要な調査を行うものとする。
(周知)
第二十一条 政府は、新刑法等の規定が、性的な被害の実態及びこれに対する社会の意識の変化に対応して、刑罰を伴う新たな行為規範を定めるものであることに鑑み、その趣旨及び内容について国民に周知を図るものとする。
個人的には、これまで「暴行・脅迫」要件のハードルによって立件できなかった、法律が邪魔をしてきたわけで、こうした改正方向になることは仕方がないと考えています。
ただ、「美人局を利するような法体系・実務運用にしてはならない」「冤罪は避けなければならない」という思いは共通しているはずです。
その中において、真正面からの冤罪を生み出した者がずっと法案審議の場に居続け、その発信を未だに撤回していないというのは疑問が残ります。
以上:はてなブックマーク,ブログ,note等でのご紹介をお願いします