異常な社説
- 朝日新聞社説「朝鮮人追悼碑 知事は撤去を中止せよ
- 群馬の森追悼碑設置期間更新不許可処分取消等請求控訴事件
- 朝日新聞「その後は碑の前の集会自粛、10年問題は起きていない」
- 朝日新聞「司法は撤去まで求めてはいない」⇒訴訟物に無いから当然
- 朝日新聞「憲法が保障する表現の自由への悪影響・目配りに欠ける」
- 群馬の森朝鮮人追悼碑まとめ:朝日新聞では認識が狂うだけ判決文は正確な実態が把握できる
朝日新聞社説「朝鮮人追悼碑 知事は撤去を中止せよ
<山本知事は今からでも、碑を残す道を探るべく、あらためて団体と話し合うべきだ。県がやるべきは、過去の歴史について開かれた議論ができる環境を整えることであり、みずから議論の場を封じることではない>
— 小池 晃(日本共産党) (@koike_akira) 2024年1月30日
(社説)朝鮮人追悼碑 知事は撤去を中止せよ https://t.co/suyH43pARE
群馬県の群馬の森における朝鮮人追悼碑の撤去に関して、朝日新聞が「朝鮮人追悼碑 知事は撤去を中止せよ」と題して社説を書いていました。
この社説はあまりに異常な認識に満ち溢れていますが、法的な関係や判決文の理解が必要なため整理します。
群馬の森追悼碑設置期間更新不許可処分取消等請求控訴事件
この話の事実関係は前橋地裁の判決文で書かれてますが、朝日新聞の社説は認定された事実(原告からも争いが無い)からしてあまりにもおかしい事を書いています。
◆1審:平成30年2月14日平成26(行ウ)16 群馬の森追悼碑事件
◆控訴審:東京高等裁判所令和3年8月26日判決平成30(行コ)88
なお、高裁の判決は最高裁が原告の上告を棄却したことで確定しています。
朝日新聞「その後は碑の前の集会自粛、10年問題は起きていない」
政治的行事を禁じた設置条件に違反があったと県は主張する。「強制連行の事実を訴えたい」などの発言があったことは団体側も認めている。しかし、その後は碑の前での集会を自粛するなど対応しており、この10年ほど「問題」は起きていないという。
当たり前。
追悼碑設置許可時に碑文の文言などに条件を付けたのに、平成18年及び平成24年の追悼式で団体側が政治的争点に係る発言をした事実があります。この事実は争われていません。
それが原因で問題が発覚し、その結果、平成26年7月22日付けで更新不許可処分を受けたという経緯なので、それ以来、本来は利用できないはずなのだから、令和6年までの直近の10年に問題が発生してないというのは正当化理由になり得ません。
朝日新聞「司法は撤去まで求めてはいない」⇒訴訟物に無いから当然
設置許可の更新を拒んだ県の判断の妥当性については裁判で争われた。一審は県が裁量権を逸脱し違法としたが、二審で県が逆転勝訴。最高裁で確定した。知事は最高裁の判断に従うという。
しかし、司法は撤去まで求めてはいない。
裁判所が撤去を求めていないのは当たり前
この訴訟は碑の設置許可を受けた者の承継人たる原告が①更新不許可処分の取消しと②更新許可の義務付けを求めた訴訟です。
被告たる県からは裁判所に対して何らの請求がありません。つまり、裁判所が判断するべき訴訟物に「碑の撤去」が無いから言及がないだけです。
これは判決文の冒頭を見ればわかります。
碑の撤去は、県の行政財産たる敷地を碑が無権原占有してるのに撤去しないから、県が行政代執行法に基づいて代執行しただけです。この代執行は裁判所の判決が必要ということは無いので、群馬県が原告となった訴訟提起は為されていません。
地方自治法に基づく沖縄県に対する国の代執行訴訟とは事案を異にします。
令和6年1月という時期では、沖縄の「代執行」がフォーカスされた後なので、読者はこれとの混同が生じる懸念があり、朝日新聞記事はその混同を惹起していると言えます。
朝日新聞「憲法が保障する表現の自由への悪影響・目配りに欠ける」
また、二審判決は形式的なルール違反を過大に重要視する一方、憲法が保障する表現の自由への悪影響に対して目配りに欠けており、承服しがたい内容でもある。公園で「強制連行」を語ることを一律に禁じるべきなのかも疑問が残る。
勘違いも甚だしい。
裁判所は「本件追悼碑の設置の方法によって本件公園において表現活動をすることを許可したものではない」としています。
原告が法律上、本件追悼碑を設置し利用する権利を有しているということはできないので、本件更新不許可処分が原告の表現の場を奪うものとして原告の表現の自由を侵害する旨の原告の主張は、前提を欠くということになります。
また、団体側には「強制連行」だけでない政治的発言があり、「「強制連行」を語ることを一律に禁じ」というのは認識がおかしい。具体的には以下の発言がありました。
- 「アジアに侵略した日本が今もアジアで孤立している。」
- 「このような運動を「群馬の森」から始め広めていこう。」
- 「日本政府は戦後67年が経とうとする今日においても,強制連行の真相究明に誠実に取り組んでおらず,民族差別だけが引き継がれ,朝鮮学校だけを「高校無償化」制度から除外するなど,国際的にも例のない不当で非常な差別を続け民族教育を抹殺しようとしている
- 「日本政府の謝罪と賠償,朝・日国交正常化の一日も早い実現」
群馬の森朝鮮人追悼碑まとめ:朝日新聞では認識が狂うだけ判決文は正確な実態が把握できる
群馬の森朝鮮人追悼碑の撤去についてまとめると『団体側が約束を破ったのに逆切れした』というものになります。
朝日新聞なんか読んでると認識が狂うだけです。
公開されている判決文の方が正確な実態が把握できる。
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