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朝日新聞『兵庫百条委の報告書案で元県民局長の処分撤回を提言』奥谷委員長『懲戒処分の妥当性は審査外』

奇妙な情報

朝日新聞『兵庫百条委の報告書案で元県民局長の処分撤回を提言』

https://archive.is/ejrZ4

2月18日、朝日新聞が『兵庫百条委の報告書案が判明、元県民局長の処分撤回を提言』という内容の記事を出しました。

あくまで「」であり、「報告書の内容が固まる3月上旬まで曲折が予想される」と記事でも書いていますが、これは従前の百条委員会の姿勢からは奇妙です。

奥谷委員長『懲戒処分の妥当性は審査外』百条委員会で明言

兵庫県議会】令和6年12月25日 文書問題調査特別委員会(百条委員会)

兵庫県百条委員会の奥谷委員長は、『懲戒処分の妥当性は審査外』と、12月25日の百条委員会の片山元副知事への聴取の際に、片山元副知事の発言を遮る形で述べています。

したがって、朝日新聞が報じた内容が本当に百条委員会の公式の方針として出されるのか?については、甚だ疑問と言わざるを得ません。

百条委員会の調査権限の設定方法は法定されており、兵庫県の百条委員会=文書問題調査特別委員会では、当初は「告発文書の7項目の事実関係の真偽」が調査事項でしたが、後の9月の兵庫県議会にて、「公益通報者保護に関する事項」が調査事項に追加されました。

懲戒処分の撤回ということは3月12日付の文書を「公益通報」と認定するということであり、当該文書の記述の具体性の無さからはあり得ない決定でしょう。東京高裁の裁判例では、相談したことによって業務改善に繋がったが、それは情報提供にとどまり公益通報ではないとしたものすらあります。さらに、公益通報だとしても記述が曖昧不明確なのに匿名で接点が無い場合には、探索禁止義務の例外が法定指針に書いてあります。

なお、県の財務部が昨年12月に公表した公益通報結果は4月に内部通報窓口に対して実名で行われた県独自の制度としての公益通報に関するものなので、懲戒処分とは切り離して考えることになります。

ちなみに、百条委員会の報告書に関しては、1月にMBSが「パワハラ認定へ最終調整」と書いたところ、奥谷委員長から「事実と異なる」として「訂正報道が無い限りは百条委員会の記者会見から出禁にする」、と述べるに至った事件がありました。

【事前リーク報道】とかいう民主政に寄与しないエンタメ言説:リーク経路特定の手段の可能性は?

朝日新聞がどういう意図であの記事を書いたのかは知りませんが、まず、『事前リーク報道』という性質の代物そのもののくだらなさについて再認識する必要があります。

市民が公式見解が出る前に事前情報を得ることで、何か有意義なことってあるのでしょうか?有権者の「知る権利」に資するのが報道であり、それは公権力側のやっている行いをチェックし、判断するためのもの。

MBSの報道とは異なり、朝日新聞の報道は、結論が断定されておらずその途中経過を報じるものだから、有意義だとするべきなのか?

また、従前の経緯からは、今回の報道は『リーク経路特定の手段』として行われた可能性はないのか?という疑問すら出てきます。既に奥谷委員長が懲戒処分の結果は争わないと発言している中で、百条委員会側が観測気球を出す意味が無いからです。

それとも、「懲戒処分の妥当性は審査外」という発言を撤回して、公益通報と認定した上で懲戒処分の取消しをするんでしょうか?

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