伊是名氏も社民党も、バリアフリーに興味ないでしょ。
- 「伊是名夏子はJR狙い撃ち」説の根拠と傍証
- 伊是名夏子は本当はバリアフリーに興味が無い?
- 無人駅の階段で騒ぐのになぜ暗渠の歩道の狭さを訴えないのか?
- 電動車椅子は車道も走れるが
- 来宮神社への迂回路
- 伊是名夏子らはどうやって来宮神社に行ったのか?
- ランチはどこでとったのか?
- 行きは暗渠を通ったのか?
- 伊是名氏の整合的な旅程
- 暗渠を通ってなくとも幅が狭く通行不適合だということは認識していた
- JRの案内は適切だった
「伊是名夏子はJR狙い撃ち」説の根拠と傍証
「伊是名夏子はJRを狙い撃ちした説」があります。
私はこの説は採らないと言っておきます。
それを支持する方向の傍証はあるので以下示しますが、私はむしろ「本当はバリアフリーに興味が無い」説を提唱します。
伊是名夏子は本当はバリアフリーに興味が無い?
来宮駅東側の来宮暗渠(あんきょ)
来宮駅から来宮神社にいくには、来宮暗渠を通るのが最短ルートです。
※北側出口は無い
しかし、この道の歩行者帯の幅は人が一人歩くだけで精一杯の大きさです。
横幅62cm超の伊是名氏が使う電動車椅子レル・ライトは通れないと思われます。
※追記:静岡県地理情報システムを見ると当該場所の歩道の幅員が75cmとおぼしき記述が。ただしガードレールと支柱により有効幅員は62cm未満になると思われるが、ギリギリ通れるのかもしれない。その場合でも向こうから人が来たらいずれかが引き返さなければならない。
※4月29日追記:来宮駅側と熱海駅側の暗渠の歩道とで幅が異なり、後者は若干広い気がします。熱海駅側のものを動画等で確認すると有効幅員は最も狭い所でも65cm以上は有りそうな気がしますが、それでも路面がガタガタであることなどから精密な操作が必要で、実際上は通行不能と評価して良いと思います。
無人駅の階段で騒ぐのになぜ暗渠の歩道の狭さを訴えないのか?
さて、無人駅の階段について駅員を派遣して運べと言ってバリアフリーだの障害者の移動の権利だの言っている人たちは、この道について何も触れていないのは、なぜでしょうか?
来宮神社に行こうとしている電動車椅子ユーザーに対して、JRが熱海駅からのタクシーやノンステップバスの利用を案内したことの正当性にかかわる話でしょう。
バリアフリーだの障害者の移動の権利だのは自身の要望を実現したり自分の主張の正当性を認めさせるために持ち出されているに過ぎず、バリアフリー施策なんて、実はこれっぽっちも考えていないんじゃないでしょうか?
なお、熱海市都市計画マスタープランでは、「主要公共施設や観光施設等から歩⾏者が歩いてアクセスしやすい歩道ネットワークの形成を図ります。」「 来宮駅周辺は、梅園や来宮神社への来訪者が多く訪れるにぎわいのある⽞関⼝として、歩道等の環境整備による連携・連絡の強化を図る」とありますから、来宮暗渠の歩行者用通路についても見直しの議論がなされていると思われます。
電動車椅子は車道も走れるが
電動車椅子は道路交通法上「歩行者」として扱われますが、歩道のない道路において車道を走行することは必ずしも妨げられていません。
道路交通法
第二章 歩行者の通行方法
(通行区分)
第十条 歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。
2 歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
一 車道を横断するとき。
二 道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。
来宮暗渠のガードレール内を「歩道」と言ってよいのか否か。
国土交通省の『歩道の一般的構造に関する基準』や、設計便覧 第3編 道路編 第 15 章 歩道及び自転車歩行者道を見ると、このような道は現在の基準に照らせば歩道に求められる基準を充たしていないことになりますから、来宮暗渠について、電動車椅子利用者がやむを得ず車道を走行しても違法にはならないハズです。
来宮暗渠の着工は大正時代で元々は水路だった
もっとも、ライトが無ければ後続車に追突される危険があり、非常に危ないです。
宇出津の電動車いす事故死受け 看板2基設置:北陸中日新聞Web
では、それ以外の道は無いのか?
来宮神社への迂回路
来宮駅から来宮神社への迂回路は、在る事にはあります。
しかし、それは坂を上って熱海梅園まで行き坂を下るという大回りをする必要があり、約1.5kmの距離を歩かなければなりません。平坦な道では無いので、通常よりもさらに時間がかかるでしょう。子供連れなら、1時間程度かかると思われます。
往復なら3.0kmです。
では、伊是名夏子らは暗渠を通ったのか、迂回していたのか?
伊是名夏子らはどうやって来宮神社に行ったのか?
伊是名氏らは、どこを通って来宮神社に行ったのでしょうか?
この点に一つの解を示す画像が伊是名夏子ブログにありました。
April 04, 2021 JRで車いすは乗車拒否されました
この道はどこでしょうか?
左に緩やかに湾曲した道、右側にある苔蒸した石垣、遠くに見える背の高い松の木、2つ以上重なって見える街灯…
この辺りに間違いありません。
しかし、この道、【熱海梅園から来宮駅方面に向かうあたみ梅ライン】なんですよ。
来宮暗渠(あんきょ)とは逆方向の、セブンイレブン熱海梅園店とJR伊東線が交差する手前あたりの位置なんです。
伊是名氏たちは、いったいなぜこんなところを歩いていたのでしょうか?
伊是名氏は「移動距離が少ない」「宿は駅から歩ける範囲」ということで来宮への旅行を思い至ったと書いています。
同時に①ランチ⇒②来宮神社⇒③宿泊地の順序の旅程であること、徒歩移動が3.0kmとなる徒歩に関して「疲れる」「子どもたちにもきつい」とも書いていました。
ランチはどこでとったのか?
ランチができる店舗は熱海梅園の周辺にもありますが、ならば「行き」に際してこの道を通っているハズ。しかし、写真は「帰り」の画像。
「ランチを熱海梅園で取って来宮神社に行き、帰りもまた同じ道を通った。」ならば3.0kmの徒歩(しかも急な坂道込み)となり、伊是名氏の事前の計画と矛盾しています。
そのため、「少なくとも帰りは迂回した」と考えるのが筋で、ランチは駅前でとったと考えられます。しかも当日は1時間遅れで到着しており、子どもらはお菓子があったから空腹で騒がずに済んだとも書かれていますから、徒歩で20分近くかけて熱海梅園でランチをとったとは考えにくい。
来宮駅から熱海梅園にはバスも通っているが、もしも利用を予定していたならバス会社に事前連絡をしているはず。その際、来宮駅の構造について話をしていたハズだし、そうでなかったならその点についても「不親切」としてブログに書いていたでしょう。
よって、そういうことは無かったんじゃないでしょうか。
宿泊地が線路を挟んで来宮神社側なのか、来宮駅南側なのかは不明ですが、いずれにしてもこの写真は「初日の来宮神社へ行った後に宿泊施設に向かう際のもの」或いは「2日目の宿泊施設から来宮駅に向かう際のもの」のいずれかでしょう。
※追記:みわよしこ氏の取材によれば(予約していたレストランに)「間に合ったのは、小田原駅から乗車した時点で1時間30分の余裕がある予定を立てていたから」とある。
行きは暗渠を通ったのか?
では、「行き」は暗渠を通ったのでしょうか?
- 電動車椅子で車道通行して行った
- 来宮駅から来宮神社まではタクシーで行った
- 行きも迂回した
これらの3パターンが考えられます。
1番は先述の通り、違法ではないが止めるよう要請されるべき非常に危険な行為です。
2番は「だったら熱海駅から行くのと同じだろ」と突っ込みを受けるものです。
※ランチの場所が来宮駅周辺のため厳密には一緒ではないが、ランチの場所は来宮駅から来宮神社に徒歩で行くことが前提として設定されていた
※バスは来宮駅から来宮神社に向かうものは無し。熱海梅園の少し先まで向かうものはあるが、ノンステップバスとは限らない
3番も、合理的な旅行者(通常の車椅子・電動車椅子利用者を含む)からは想定できない動きです。もっとも、子連れの旅行に合理性ばかり求めるのは野暮なのですが、「移動距離が少ない」の伊是名氏の来宮旅行に関する考え方からすれば矛盾した行動です。
※バスの利用は伊是名氏の当日の行動的にもその可能性は低いということは先述の通り。
結局、本人に聞かないと分からない話ですが、いずれのパターンも、「来宮神社を目的地とする電動車椅子ユーザーに対して熱海駅からバスやタクシーを利用するよう促したJRの対応」が適切だったということの証左でしかありません。
伊是名氏の整合的な旅程
伊是名氏の旅行に関する考え方(「移動距離が少ない」「宿は駅から歩ける範囲」)から整合的な旅程を考えると…
- 駅前でランチ
- 来宮暗渠を通って(歩道は無理なので車道を通った)来宮神社に行った
- 来宮神社側の宿泊地で泊まった(来宮神社と熱海梅園の間あたり)
- 帰りは熱海梅園の側を通って来宮駅へ向かった
或いは
- 駅前でランチ
- 来宮暗渠を通って(歩道は無理なので車道を通った)来宮神社に行った
- 熱海梅園の方面へ迂回して来宮駅近くの宿泊地へ向かった
後者は1日の移動距離が長いため(来宮駅に向かう分も相当歩いている)、最も整合的なのは前者の旅程でしょう。
ただ、暗渠を通っていない場合でも、次のことは言えます。
暗渠を通ってなくとも幅が狭く通行不適合だということは認識していた
伊是名氏は暗渠を通っていようがいまいが、いずれにしても「暗渠が狭くて歩行者帯を電動車椅子が走行できない」ことは必然的に認識したはずです。
迂回路は暗渠という最短ルートが使えないから選択するからです。
よって、伊是名氏が来宮暗渠の歩行者帯の狭さを都市のバリアフリー等の観点から論じないのは、伊是名氏がバリアフリーだとか障害者の移動の自由だとかにさほど興味が無いことの証左だと言えます。
また、私は否定しますが、これは同時に「伊是名夏子はJR狙い撃ち」説の傍証にもなるものです。
(決定づける証拠ではない。これだけでは「JR狙い撃ち説」などの計画的犯行説を導くには弱いと思う。なお、「手柄横取り説」を否定する側の証拠としては使える。この暗渠の点でも騒げば悲劇性は増すので)。
これは社民党も同様です。
JRの案内は適切だった
結局、JRの案内は適切だったということが改めて判明しました。
JRはなおも事前連絡を求めていますが、欧米でもそれは同じです。
本当に日本より充実?欧州鉄道のバリアフリー | 海外 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
本人らは「事前連絡の協力を要請」していることを無視していますが。
追記:バリアフリーを考えるなら以下の選択肢も提示していけばいいと思います。
These students just blew minds with their wheelchair prototype pic.twitter.com/qWr5enMjFl
— Mashable (@mashable) 2019年2月13日
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