事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します

泉佐野市が記者会見:ふるさと納税制度に異論、総務省に対して

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「ふるさと納税制度」について規定している地方税法が改正され、これからは当該制度に参加を希望する自治体が総務省に申請をして許可が出なければ、ふるさと納税による寄付金が控除されない仕組みに変わりました。

これに対して泉佐野市が異論を唱える記者会見を開きました。

泉佐野市がふるさと納税の新制度について記者会見

  • 今回の法改正は返礼品を実質的に排除することを狙い、大幅にふるさと納税を減少させる意思をもって確信犯的に制度設計をしている
  • その方法は姑息であり、問題点を広く訴えたい
  • 国がルールを設定するのであれば自治体と話し合ってからにするべきだ
  • 今回の規制はふるさと納税の発展性を阻害する
  • 税収が豊富な自治体とそうでない自治体の格差がまた広がるのではないか
  • ふるさと納税による寄附のうち、経費に使われる率(経費率)を50%以内にするという制限は達成困難
  • 返礼品は地場産品限定という要件はおかしい
  • 指定制度は総務省の恣意的な判断でふるさと納税制度に参加できるか否かが決まってしまうので自治体が顔色を窺わなくてはならなくなってしまった

動画内ではスライドで詳細に問題点を記載しています。

返礼品の「地場産品限定」要件については他の自治体も強く反対しているようです。

泉佐野市等がふるさと納税対象外の危険

泉佐野市、税制優遇対象外の公算 ふるさと納税規制で|全国のニュース|佐賀新聞LiVE

ふるさと納税を規制する改正地方税法成立を受け、総務省は28日、税制優遇の対象となる自治体の指定手続きを公表した。5月中旬ごろに、返礼品などの基準に全て適合した自治体に限って指定。昨年11月以降の寄付の集め方が適正だったかどうかも考慮するため、ネット通販大手「アマゾン」のギフト券を贈り、多額の寄付を得た大阪府泉佐野市などは対象外となる公算が大きい。

総務省は基準を(1)寄付募集の適正な実施(2)返礼品の調達費が寄付額の30%以下(3)返礼品は地場産品―に分類。4月1日に告示する

改正地方税法は6月1日に施行するにもかかわらず、総務省からは昨年11月以降の寄付の集め方も考慮するという方針が打ち出されています。

そして、4月1日に告示して5月中旬頃にふるさと納税制度が適用される自治体を指定するというのですから、ほとんど改善のための経過措置を取っていません。

もしも、これで泉佐野市が改善したにもかかわらず対象外となるとすれば、まさに事後法であるといえ、狙い撃ち、違法ではないでしょうか?

総務省石田大臣「2018年11月以降の取組みも考慮」

総務省|石田総務大臣閣議後記者会見の概要(平成31年3月29日)

しかしながら、近年この制度の運用の実態が、本来の制度趣旨から逸脱しているのではないかとの指摘が行われ、平成29年4月以降、度重なる見直しの要請をしてきたにも関わらず、一部の自治体が過度な返礼品を送付してきたことは、誠に遺憾なことであっただけに、今回の見直しにより各自治体が行う募集の方法について法律上一定の客観的なルールを設けることで、制度趣旨に沿った運用を実現し、全国の自治体と国民の理解を得ながら、この制度を健全に発展させていきたいと思っています。
 昨日、指定制度に係る申出の手続きや指定のための基準の案を、自治体の皆さんにお示ししました。これに基づき、来週以降、各自治体からの申出手続きがスタートします
 指定制度は、ふるさと納税の制度の趣旨を踏まえて地域活性化に取り組む自治体を支援するための仕組みとして導入するものです。
 ふるさと納税の対象となる自治体の指定に際しては、税制上の措置による支援の対象として相応しいかどうかを、各自治体の募集の取組実績等のできる限り客観的な情報を基に判断する必要があると考えています。

昨年11月以降の総務省から「過度な返礼品」と指摘を受けた自治体に、改正地方税法の内容について事前の説明はあったのでしょうか?

仮に昨年11月から、「改正後は2018年11月以降の取組みも考慮する」ということが自治体に説明していたのならともかく、そうでないとすれば、後付けのルールで泉佐野市に不利な判断をするということになります。

この点についても記者会見で説明していましたが、総務省からは何らかのほのめかしすらなかった、そういった事を伝えられた記憶は無い、地方税法の改正案を示されながら説明を受けた際にも無かった、と泉佐野市側は言っていました。

泉佐野市はふるさと納税制度を利用する自治体を指定するのであれば、今年の6月1日以降の取組を評価するべきと主張しています。

返礼品の規制

「返礼品は地場産品限定」という要件は、地場産品が豊富な一部の自治体にふるさと納税による寄附が集まってしまう事態が懸念されます。

泉佐野市側は、これはスタートラインから格差がある状況を固定化することであり、過去にも発生したことでもあると指摘しています。

泉佐野市は、アマゾンギフト券の2月3月のキャンペーンを行った理由は、例年3月には寄附が落ちこむため、予定されていたことを粛々と計画実行したに過ぎないと主張しています。

なお、総務省は2億円以上の寄付が集まった自治体で返礼品割合が3割以上のところには追加で膨大な書類提出を求めており、ほとんど嫌がらせ状態だそうです。

 

特別交付税からのふるさと納税分を考慮した減額措置

なお、特別交付税からのふるさと納税分の減額措置については、今回の地方税法の改正とは関係ありません。こちらは先月に総務省の告示を改正したものです。

そちらについての異議申立ての可能性については現時点では検討していないということでした。

地方税法の改正はふるさと納税の目的に反するのでは?

 

総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税で地方創生

第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。
第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。
それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。 

ふるさと納税の減額措置はなぜ悪質なのか - 事実を整える 

上記過去記事でも指摘しましたが、今回の地方税法の改正によって、総務省がふるさと納税制度に参加する自治体を許可するという仕組みになったのは、ふるさと納税制度に反するのではないでしょうか?

納税者が寄付先を選択する制度のはずが、総務省の指先一本で制度指定されない自治体が発生してしまうということになりますし、「自治体間の競争」を謳いながらかけられた規制は既存の格差を維持するようなものになっています。

税をいったん中央に集めて差配するという権力を増やしたい官僚の欲求が感じられてしまいます。

泉佐野市をはじめ、全国の自治体にはおおいに異議を唱えて頂きたいと思います。

以上