「韓国は法治国家ではない」と言われますが、本当にそうでしょうか?
韓国における「法」や「法律」が何かを見ると、むしろそれらに沿った行動なのではないかと言えるかもしれません。
法の支配と法治主義とは:自然法と法実証主義、韓非子の法治主義との違い
こういう虚偽に立脚した記事は国益に反します。
- 韓国における法の支配:日本国旗を踏みつけ、冒涜するも無罪の韓国
- 韓国が法治国家である理由:「外国国旗差別」の韓国刑法
- 慰安婦像に唾を吐いた者への侮辱罪
- 「杭テロ」では慰安婦被害者の名誉毀損で起訴
- 歴史の評価でも起訴有罪に
- まとめ:韓国は「反日無罪」の法治国家である
韓国における法の支配:日本国旗を踏みつけ、冒涜するも無罪の韓国
「国旗は尊重し、大切に扱わなければならない」
国旗は地面につけることすら怒られるように、神聖なものとして扱われます。
これは世界各国の共通観念であり、国際社会の「法」であると言えます。
しかし、韓国では異なるようです。
韓国の人気演劇に日章旗を毀損するシーン 監督が作品を通じて竹島問題に抗議 - ライブドアニュース
同作品は2009年から上演がスタートした『教授と女弟子』の第2作目。教授と教え子の禁断の愛を描いており、劇中には女性のヌードが登場することから以前から話題になっていた。今回問題となっているシーンは、女性の胸などに貼ってある小さな日章旗を、教授が破りながらはがすというもの。報道によると、教授は「独島を自分の領土だと主張する日章旗をなんで貼っているのかね」、「独島は韓国の領土だよ」などの台詞を言いながらはがしていくという。
もともと、作品に日章旗は登場しないのだが、監督が昨年の光復節(8月15日)に竹島(韓国名・独島)問題に抗議するため、このようなシーンを挿入した。
明文化以前の共通ルールである「法」と言われるものは、各文化圏ごとに異なります。
韓国においては、「反日は許される」という「法」があるということが伺えます。
ところで、そんな韓国刑法にも、国旗を冒涜する行為は禁止されています。
しかし、これは明らかに日本国を侮辱する目的で行われているにも関わらず、誰も逮捕・起訴されていません。なぜでしょうか?
韓国が法治国家である理由:「外国国旗差別」の韓国刑法
第109条 (外国の国旗、国章の冒涜) 外国を侮辱する目的で、その国の公用に供する国旗又は国章を損傷、除去又は汚辱した者は、2年以下の懲役若しくは禁錮又は300万ウォン以下の罰金に処する。
第110条 (被害者の意思) 第107条ないし第109条の罪は、その外国政府の明示の意思に反して公訴を提起することができない。
実は、韓国刑法では「公用に供する」外国国旗に対するものでなければ冒涜罪にはなりません。
「公用に供する」国旗とそうでない国旗とはどういうものかは定かではありませんが、通常の理解からすれば、大使館や競技場等に掲揚されている国旗であれば「公用に供する」ですが、民間の家で使用されているような国旗やラフ画で書かれた手製の国旗については「公用に供する」には当たらないと考えられているものと推察されます。
「公用に供する」という言葉は、韓国の国旗に関する規定にはついていません。
第3章 国旗に関する罪
第105条 (国旗、国章の冒涜) 大韓民国を侮辱する目的で、国旗又は国章を損傷、除去又は汚辱した者は、5年以下の懲役若しくは禁錮、10年以下の資格停止又は700万ウォン以下の罰金に処する。第106条 (国旗、国章の誹謗) 前条の目的で、国旗又は国章を誹謗した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮、5年以下の資格停止又は200万ウォン以下の罰金に処する。
韓国では自国の国旗優先であり、他国の国旗はどうでもいいという扱いなんでしょう。
ある意味で「外国国旗差別」と言えますが、韓国刑法の規定によれば「公共の用に供している国旗」に対するものではない冒涜行為は構成要件を充たさないので、当然の扱い、ということになります。
これに対して日本刑法は外国国旗に対する罪を規定するだけで、日本国旗に対する侮辱・損壊等については刑法には規定がありません。
刑法
(外国国章損壊等)
第九十二条 外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない。
日本の場合は「公用に供する」という文言はありませんが、「公用性のあるもの」を保護対象にするという解釈が学説・実務で取られています。
それにしても、日本は日本国の国旗に対してあまりにも保護が無さすぎると思います。
日本の外国国章損壊罪については以下で詳述。
慰安婦像に唾を吐いた者への侮辱罪
일본인이 소녀상에 침 뱉어"…용의자 잡고 보니 한국인(종합) | 연합뉴스
警察はAさんなどが唾を吐いた対象が人ではなく、造形物に該当するが、侮辱罪の適用が可能であると見ている。
少女像は慰安婦を称えるために建てられたもので、別の管理主体によって維持・補修されるため、それらの行為が少女像の管理主体、さらには慰安婦に対する侮辱とみることができると判断したからである。
警察関係者は、「過去の少女像に「杭テロ」を行った日本の極右に名誉毀損の疑いを適用して起訴したのと同じ概念だ」と語った。
韓国刑法
第311条 (侮辱) 公然と人を侮辱した者は、150万ウォン以下の罰金に処する。
② 公然と死者を侮辱した者も前項と同様にする。
第312条 (告訴及び被害者の意思) 第308条及び第311条の罪は、告訴があるときに限り、公訴を提起することができる。
② 第307条の罪(名誉毀損)は、被害者の明示の意思に反して公訴を提起することができない。
韓国刑法の名誉毀損・侮辱罪の規定は日本刑法とほぼ同じ規定ぶりなので、日本法の解釈で考えてみます。
「侮辱」は人に対する侮蔑的価値判断の表示*1です。
言葉だけではなく行為や態度によっても侮辱が成立するという見解がありますが、造形物に対して唾を吐いただけの行為が、慰安婦に対する「侮辱」というのは飛躍がありすぎます。なぜなら、侮辱は特定の法益主体に対するものでなければならないからです。
むしろ、だからこそ本人やその親族・子孫による親告罪となっていると言えます。抽象集団の中の極一部だけが告訴意思を持ち、大半はそうではないという場合には、いったいどうするのでしょうか?
このような理屈から考えれば、韓国においても日本と同様の解釈がなされなければおかしいでしょう。
今回の事案は、せいぜい少女像の管理主体が被害者になりえますが、それでも唾を吐く行為は管理主体の所在地に対して行われたものではないので、少なくとも日本刑法の解釈・運用では侮辱罪と捉えるのは無理があります。
韓国刑法が仮にこういった行為も侮辱と解釈するのであれば、『徴用工の多くは「応募工」であり、自らの意思で給料を得ており、待遇も日本人と変わらず、歩合給だった』と言うことすら元徴用工に対する侮辱になる可能性があります。
そもそも、今回、侮辱で起訴可能と判断しているのは過去の事例を参考にしているからですが、「杭テロ」は、さらに無理がある事例なのです。
こういう虚偽に立脚した記事は国益に反します。
「杭テロ」では慰安婦被害者の名誉毀損で起訴
慰安婦少女像「杭テロ」の日本人、6年間裁判に出席せず | Joongang Ilbo | 中央日報
韓国検察、慰安婦少女像への杭テロで日本人を起訴 | Joongang Ilbo | 中央日報
ソウル中央地検は17日、慰安婦少女像に“杭テロ”を行った極右派日本人鈴木信行氏を慰安婦に対する名誉毀損容疑で起訴した。
検察は昨年9月に鈴木氏が尹奉吉義士の殉国記念碑に“杭テロ”を行い、尹奉吉義士を「テロリスト」と侮辱したことに対し、死者名誉毀損容疑も適用した。
韓国刑法
第307条 (名誉毀損) 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮又は250万ウォン以下の罰金若しくは拘留に処する。
第310条 (違法性の阻却) 第307条第1項の行為が、真実の事実であり、専ら公共の利益に関するときは、罰しない。
まず、名誉毀損は「事実の適示」が構成要件ですが、そのような行為があったということは報道でまったく表れていません。
次に、 尹奉吉が「テロ行為」を行ったのは歴史的事実であり、裁判で判決が出て処刑もされています。韓国において法的に尹 奉吉の名誉が遡及的に回復されているという話は聞きませんから、テロ行為を行ったのは「真実の事実」でしょう。
(単にテロリストと言っただけでは具体的な行為の指摘ではないので「事実の適示」ではなく評価なので侮辱になるはずだが、そこは措いておく。なお、韓国刑法では名誉棄損罪は親告罪ではありません。)
歴史の評価でも起訴有罪に
“慰安婦”被害者を侮辱した順天大教授、法廷拘束 : 政治•社会 : hankyoreh japan
光州(クァンジュ)地方裁判所順天(スンチョン)支所は18日、「慰安婦被害者の名誉を傷つけた容疑で起訴された順天大学のS教授(55)に懲役6カ月を宣告し法廷拘束した」と明らかにした。
裁判所は「S氏は、大学教授として学生たちに虚偽の事実を指摘し、すでに大きな被害を被った高齢の被害者を侮辱し、回復しがたい傷を負わせた」として、起訴事実を認定した。続けて「自身の誤りに対し全く反省せずに、責任を回避しようとしており、これに相応しい処罰が必要だ」と量刑の理由を明らかにした。
S教授は昨年4月、順天大学物理教育学科の学生14人を相手に講義している間、「慰安婦」強制動員被害者を侮辱する発言をし、厳しい視線を浴びた。彼は「私が見るに、実はおばあさんたちはよく知った上で行ったのだ。日本に狂ったあの連れて行かれた女たちも、みんな芸があったからついて回ったんだ」と話した。
特定人の名前を出していたならともかく、「慰安婦」という非常に抽象的な集団に対する言及が名誉毀損と侮辱に当たるとされて判決まで出ています。
表現の自由、学問の自由などあったものではありません。
民衆が騒いだら、それに迎合した判決がなされるというのが韓国司法。
こうしてみると、「法解釈に無理があっても反日行為であれば拡張解釈してもOK」という、日本国で暮らす我々からすれば超法規的である判断が許されるという慣行が韓国社会にはあると言ってしまえるのかもしれません。
まとめ:韓国は「反日無罪」の法治国家である
韓国地検による産経新聞支局長名誉毀損起訴事件で加藤氏が勝訴した際も、裁判所は最後のところで食い止めていました。
しかし、その後の徴用工訴訟では「不法な植民地支配による反人道的不法行為」を根拠にするという国際法上ありえない、日韓請求権協定では不可能な判断をしました。
その上、日本関係の事案において刑法の適用・不適用が恣意的に行われている点で、もはや韓国は「日本国・日本人に対しては通常と異なる扱いをしてもだいたい大丈夫」「民衆が騒いだらそれに応じる判決を出すべき」という習慣が確立して運用されている法治国家なんでしょう。
それは国際的な観点からの法治国家とは程遠いですが、少なくとも韓国は法律の規定に基づいて解釈運用をしているので、むしろ「そのような法治国家」と呼んでしまった方が潔いのではないでしょうか?
以上
*1:刑法各論第六版 西田典之 123頁