川崎フロンターレがアジアチャンピオンズリーグの試合にて旭日旗を掲出したことがAFCの規定違反とされた事件。
AFCのソース付きで詳細についてまとめました。
- 川崎フロンターレの旭日旗事件とは
- AFCの懲罰倫理委員会と不服申し立て委員会の決定
- 川崎フロンターレは「差別的」規定の挑発的・政治的・差別行為の禁止に違反とされた
- AFC Disciplinary And Ethics Code(懲戒及び倫理規定)の58条と65条
- フロンターレは挑発的・政治的・差別的のいずれに当たるとされたのか?
- いずれにしても「韓国において」「韓国に対して」の判断
- 韓国人が不服申立委員会に居るという事実
- 浦和レッズが済州の被害者なのに罰金
- まとめ
川崎フロンターレの旭日旗事件とは
2017年4月25日(火)、AFCアジアチャンピオンズリーグの韓国の水原サムスンブルーウィングズとの水原での試合において、試合開始直前に一部のサポーターが川崎サポーターエリアスタンド内で旭日旗を掲出したのを見た水原三星のセキュリティオフィサーが旗を没収。試合終了前後に30人程度の水原三星のサポーターが、川崎サポーターエリアに侵入。両サポーターのつかみ合いに発展するも、セキュリティや川崎フロンターレスタッフが止めに入りにらみ合いとなる。川崎フロンターレスタッフ、警察立会いの下、代表者同士の話し合いにより、一旦収束。ただ、スタジアムの外に水原三星サポーターが待ち構えているため、川崎サポーターを外に出すのは危険と判断。警察が介入し、安全に帰らせるための方法を考案・実施。
このような経緯で、フロンターレ側に対して旭日旗を出したことがAFCの規約上の処分対象となるとされた事件です。
AFCの懲罰倫理委員会と不服申し立て委員会の決定
2017年5月3日に懲罰倫理委員会="Disciplinary Committee"で「川崎フロンターレは58条と65条に違反した」とされました。
Three clubs found guilty of discrimination and spectator misconduct
これに対して川崎フロンターレが不服申し立てをしました。
2017年7月20日、不服申立委員会="Appeal Committee"で「川崎フロンターレが提出した控訴は完全に却下されました」という決定が下されました。
(メディアリリースは確認できず)
川崎フロンターレは「差別的」規定の挑発的・政治的・差別行為の禁止に違反とされた
・Discrimination(Art 58, AFC Disciplinary and Ethics Code)
・Liability for spectator conduct(Art 65, AFC Disciplinary andEthics Code)
この二つの条項に違反したと判断されたことが書かれています。
旭日旗を掲げたことが、韓国人や韓国出身の人に対するcontemptuous,discriminatory or denigratory action(挑発的、差別的、中傷的行為のいずれか)に該当する政治的意見や国家の起源に関する言論である、としています。
AFC Disciplinary And Ethics Code(懲戒及び倫理規定)の58条と65条
AFC Disciplinary And Ethics Code(懲戒及び倫理規定) (2017 Edition)
懲罰倫理委員会や不服申立委員会の決定内容上の文言は、AFCの懲戒及び倫理規定の文言を用いているのが分かります。
さて、両委員会の決定内容上の文言では、フロンターレが挑発的・政治的・差別的のいずれに当たるのか?がよく分かりません。
フロンターレは挑発的・政治的・差別的のいずれに当たるとされたのか?
川崎F「旭日旗問題」AFCに反論理由書を提出 - ACL : 日刊スポーツ
5月4日にAFCから処分が出され、クラブは同12日に処分理由を尋ねる書面を提出。7月4日にAFCから回答がきた。クラブの藁科義弘社長は「今回の理由の中で正しく理解されないもの、根拠がはっきりしないものがあったので、再度はっきり主張することが大事だと考えた」と経緯を説明した。
AFCからの回答では「インデペンデントリサーチ(独立した調査)をしたところ、旭日旗はいくつかの国の人や地域において掲出することは差別的であると考えられている。現在でも一部の政治的思想を持つ団体によって使用されている旗であるということが断定された」「旭日旗を韓国において韓国チームに向かって掲出したことは攻撃的であり差別である」の2点が主な理由として挙げられていた。
クラブはAFCの回答に対し「インデペンデントリサーチは、だれが調査しまとめたものなのか、その調査の中立性はだれが決めたのか」「一部の地域や相手によって(差別だと)断定されることは不本意であり、おかしい」と反論の理由を送付した。また、アウェー水原戦で、川崎フロンターレのサポーターが水原のサポーターに取り囲まれる騒動に対し、水原の大会運営の責任問題が何も触れられていないことも合わせて主張した。藁科社長は「旭日旗が政治的、差別的でないという主張は続けていく」と話し、今後は、上訴後のAFCからの回答を受け、対応を検討するという。
日刊スポーツの7月14日の記事ではAFCから「攻撃的・差別的である」という回答を得ています。
いずれにしても「韓国において」「韓国に対して」の判断
波紋広がる川崎フロンターレ「旭日旗」処分、AFCの「挑発的行...|レコードチャイナ
AFC規律委員会によると、処分の根拠となったのは「挑発的・差別的行為の禁止」規定。旭日旗は日本の軍国主義を象徴すると東アジアではみなされており、禁じられる「攻撃的、挑発的な内容を含んだ横断幕や旗」に該当すると判断した。旭日旗が軍国主義のシンボルかどうかは関係なく、それ以前に相手に対する挑発的行為になるとされた。
5月の段階でのレコードチャイナでは、旭日旗の意味内容に触れずに「挑発的行為」という報道がなされています。
しかし、最終的なものとしては、日刊スポーツやフロンターレのページに書いてあるように認識されているようです。
アジア・サッカー連盟による当クラブへの処分について | KAWASAKI FRONTALE
『今回、私たちとしては、旭日旗に政治的又は差別的なメッセージは一切ないとお伝えしてきただけに、正しい認識が得られず残念です。引き続き理解が得られるよう努力していきたいと思っています。 省略
いずれにしても、川崎フロンターレの事案では「韓国において」「韓国に対して」旭日旗の掲出が行われたことが政治的・差別的なメッセ―ジであると認定されたということであって、一般的に旭日旗の性格が認定されたものではないと言えるでしょう。
そして、この委員会については気になる点が2つあります。
韓国人が不服申立委員会に居るという事実
ちなみにこの時のAFCの不服申立て委員会には韓国人が居ました。裁判体を構成する要員になっていたのかは分かりませんが、規約を見れば見えてきそうな気がします。https://t.co/yfeBLg5JCd
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) September 4, 2019
※現在は構成員がじゃっかん変わっている。
2017年当時のAFCの不服申立委員会には韓国人の委員が居ました。
韓国人の委員が合議に入ったのかは分かりませんが、水原のサポーターが川崎サポーターエリアに侵入したことについて何らお咎め無しだったというのも不可解です。
さらに、この時期、もう一つの事件があったことを覚えている人は居るハズです。
浦和レッズが済州の被害者なのに罰金
浦和レッズ、罰金220万円で質問状 AFCの乱闘処分に「何が倫理規定に抵触したのか」 | ハフポスト
【サッカー】ACL浦和戦の乱闘で済州選手を出場停止6カ月 浦和にも2万ドルの罰金 AFCが処分発表 - 産経ニュース
こちらもACLの試合中ですが、同じく韓国のチームである済州ユナイテッドの交代要員の選手がわざわざピッチの反対側に来て浦和の選手に肘鉄を喰らわせた上に、試合後にも因縁を一方的につけてきたというおぞましい事件です。
試合終了後にスタッフが「乱闘に加わった」こと(おそらく動画の5分くらいの行為)が浦和側の処分理由とされていますが、明らかに選手を守ろうとした行為であるにもかかわらず浦和にも罰金処分が下っているという理解不能な事態です。
これも冒頭で示した不服申立委員会のファイルに載っています。
まとめ
- フロンターレによる旭日旗掲出は「政治的・差別的」とされた
- ただし、韓国において、韓国人に対して行われた旭日旗掲出行為が対象
- 一般的な旭日旗の性質について述べたわけではない
この時期、立て続けに発生した川崎フロンターレと浦和レッズに対する「攻撃」と不可解な裁定があったこと、韓国人の委員が居たというのは何かの符号なのでしょうか。
懲罰倫理委員会や不服申立委員会のファイルではフロンターレの試合が「4月26日」と、1日遅くなっているなど雑な所が目立ちますが、元々このような裁定だったのでしょうか?あまりにも不可解であり、一般的な通用性のある裁定であるかは疑問です。
以上