ネオ同和事業の懸念
- 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律
- 民間に委託して支援費用を「支弁しなければならない」
- 「ネオ同和」事業の懸念:需要の無い事業を補助金漬けで創出
- 特定のNPO等団体のみの意見を重視し他は排除する手続の瑕疵:AV規制法との共通点
困難な問題を抱える女性への支援に関する法律
令和四年法律第五十二号 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が令和6年4月1日に施行されます。
この法律をベースに、従来は売春法の枠組みで行われていた種々の女性支援事業(DV被害・性被害・困窮等被害者支援や心身の健康・居場所の確保など)について、下位法令案や方針案が困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議|厚生労働省にて議論されています。
が、そもそもの困難女性支援法の内容には問題があると言えます。
民間に委託して支援費用を「支弁しなければならない」
(都道府県及び市町村の支弁)
第二十条 都道府県は、次に掲げる費用(女性相談支援センターを設置する指定都市にあっては、第一号から第三号までに掲げる費用に限る。)を支弁しなければならない。
一 女性相談支援センターに要する費用(次号に掲げる費用を除く。)
二 女性相談支援センターが行う第九条第三項第二号の一時保護(同条第七項に規定する厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行う場合を含む。)及びこれに伴い必要な事務に要する費用
三 都道府県が置く女性相談支援員に要する費用
四 都道府県が設置する女性自立支援施設の設備に要する費用
五 都道府県が行う自立支援(市町村、社会福祉法人その他適当と認める者に委託して行う場合を含む。)及びこれに伴い必要な事務に要する費用
六 第十三条第一項の規定により都道府県が自ら行い、又は民間の団体に委託して行う困難な問題を抱える女性への支援に要する費用
2 市町村は、市町村が置く女性相談支援員に要する費用を支弁しなければならない。
3 市町村は、第十三条第二項の規定により市町村が自ら行い、又は民間の団体に委託して行う困難な問題を抱える女性への支援に要する費用を支弁しなければならない。
都道府県と市町村の義務規定として、困難女性支援に要する費用を「支弁しなければならない」とあります。
この中には公的機関が設置する施設やそこでの設備・事務費に関するものがあり、委託して行う場合に費用を出すのは当然です。
しかし、一部の項目には「必ず民間が関与する」「それによって発生した費用は支弁しなければならない」という意味にしか取れない規定があります。
それが20条1項6号の規定です。そこで参照されてる13条1項は以下の条文です。
(民間の団体との協働による支援)
第十三条 都道府県は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体と協働して、その自主性を尊重しつつ、困難な問題を抱える女性について、その意向に留意しながら、訪問、巡回、居場所の提供、インターネットの活用、関係機関への同行その他の厚生労働省令で定める方法により、その発見、相談その他の支援に関する業務を行うものとする。
2 市町村は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体と協働して、その自主性を尊重しつつ、困難な問題を抱える女性について、その意向に留意しながら、前項の業務を行うことができる。
「民間の団体と協働して、その自主性を尊重しつつ~行うものとする」という記述。
事業そのものの必要性を吟味する要素がありません。
既定路線として恒常化させる狙いがあるのでしょう。
「その他の支援に関する業務」という広い書き方が為されており、しかも「厚生労働省令で定める方法により」とあるが、これを決めようとしている者には、既に類似事業の委託を都から受けている民間の事業者、すなわちColabo、ぱっぷす、若草、BONDプロジェクトなどが含まれています。
「ネオ同和」事業の懸念:需要の無い事業を補助金漬けで創出
確かにこれはネオ同和ですね
— 神奈川県人権啓発センター(公式) (@K_JINKEN) 2022年12月19日
憲法89条で「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業」に公金出してはいけないんですが、あの条文は空文化してます
同和事業でタガが外れたんですね https://t.co/5Dr3ZdPldt
困難女性支援法には「ネオ同和」事業の懸念があるという指摘があります。
- 外国人生活保護の迂回路的な機能を働かせることも可能になってしまう
- 性自認に基づいて男性を女性として扱う実績作りに利用される
- 外国人男性が「性自認が女性である」と称する+元々の生活圏の外側の施設に入る+施設そのものを秘匿+行政に繋がない、という合わせ技の懸念とチェック体制の不存在
- 相談人数や保護人数は低下傾向にあるのに予算は急拡大している
困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議|厚生労働省
若年被害女性等支援モデル事業
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2022年12月7日
⇒令和4年3月29日通知で若年被害女性等支援事業に
150億から令和2年で220億円に…
そして令和4年は補正含めて343億円…
なんだこれは。こんな短期間に倍増すべき社会的需要あったか? pic.twitter.com/PCe2A9woYo
特定のNPO等団体のみの意見を重視し他は排除する手続の瑕疵:AV規制法との共通点
困難女性支援法案が提出される経緯として厚労省の検討会やワーキングチームでの議論がありました。
「婦人保護事業等における支援実態等に関する調査研究」「婦人保護施設における性暴力を受けた被害者に対する支援プログラムに関する調査研究」報告書(平成30年3月)
この中で、同種の支援事業を行ってる団体からの広範なヒアリングを行った形跡がありません。
唯一、平成30年の報告書においてBONDプロジェクトとアフターケア相談所ゆずりは に対してヒアリングしているくらいです。
たとえば、同種の事業を行っているNPO団体の代表は以下のような感覚のようです。
→ うちは寄付金は毎月6万円しかないけど、でもこうして若者を笑顔にすることは出来てます。
— 小杉沙織(岡田)NPO法人若者メンタルサポート協会理事長 (@saorin0212) 2022年12月18日
お金は必要だけど、国から毎年何千万も貰わなくても出来る事はいくらでもある。
むしろそうした子の存在を利用して利権や椅子取りゲームをする一部のNPOの仕組み自体を変えないと、こうした若者は減らせない
また、困難女性支援法に関して厚労省からパブリックコメントが出されていません。
もっとも、現在進行中の困難女性支援法をベースとする有識者会議は、政省令・告示案について来年1月中旬にパブリックコメントを実施する予定となっています。
なお、困難女性支援法は令和4年3月に厚生労働委員長から参法として提出し、成立していますが、全会派が一致して賛同しているもので、提出者はあまり重要ではない気がします。
パブコメの期間、2週間しかないのだろうか?
広く民間からの現実的な意見を聞かずに、ごく一部の団体の意見だけを聞いて成立したことで被害が生じているAV規制法と、成立背景が似ている気がします。
この団体たちの意見で法律ができて
— 月島さくら✿ (@sakuratsukisima) 2022年12月19日
私たちは辛い思いをたくさんした。。
足立さんは私たちのヒアリングを一番最初にしてくれた衆議院議員さん。 https://t.co/8SBWEpkChe
東京都から若年被害女性等支援事業の委託を受けている4団体が名を連ねています。
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