不明だった点が明らかに
- 筑波大学市川政雄論文「高齢運転者の事故リスクは若年者よりも低い」
- 高齢運転者の死亡事故は運転当事者が多い事が明らかに
- 衝突相⼿が⾃転⾞や歩⾏者の事故リスクは、他の年齢層と⽐べ⾼齢運転者において相対的に⾼い
筑波大学市川政雄論文「高齢運転者の事故リスクは若年者よりも低い」
研究プレスリリース 高齢運転者が事故を起こすリスクは若年者よりも低い | 医療・健康 - TSUKUBA JOURNAL
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20231013143000.pdf
Revisiting older drivers' risks of at-fault motor vehicle collisions in Japan
(日本における高齢運転者の事故リスクの再検討)
2023年10月13日付で筑波大学医学医療系の市川政雄教授らの論文が、「高齢運転者の事故リスクは若年者よりも低い」というタイトルでプレスリリースされています。
主な結果は以下のようになっています。
- 事故リスク全般は、若年運転者と⽐べると、⾼齢運転者のリスクは低い
- 特に、衝突相⼿が⾞の場合に顕著
- 衝突相⼿が⾃転⾞や歩⾏者の事故リスクは、他の年齢層と⽐べ⾼齢運転者において相対的に⾼く、そのため相手方の死傷リスクも⾼い傾向
- 高齢運転者⾃⾝の死傷リスクも⾼い
- しかし、衝突相⼿全体の死傷リスクは、事故を起こした運転者の年齢層間で⼤きな違いはなかった
- 死亡事故においては運転者が⾼齢であるほど、単独事故により運転者⾃⾝が犠牲になることが多く、交通弱者(歩⾏者・⾃転⾞)が犠牲になるケースは少ない
なお、「高齢運転者の事故リスクは若年者よりも低い」ということは、既に警察庁の統計から明らかでした。
高齢運転者の死亡事故は運転当事者が多い事が明らかに
この論文では、高齢運転者の死亡事故は、運転者本人が死亡する単独事故が多い事が明らかになっています。
この内訳は警察庁の統計だけではわかりませんでした。
衝突相⼿が⾃転⾞や歩⾏者の事故リスクは、他の年齢層と⽐べ⾼齢運転者において相対的に⾼い
また、衝突相⼿が⾃転⾞や歩⾏者の事故リスクは、他の年齢層と⽐べ⾼齢運転者において相対的に⾼い、ということも指摘されています。
プレスリリースでは以下の文章がありますが…
高齢運転者には、免許更新時に高齢者講習と認知機能検査が義務付けられる一方で、免許返納が奨励されています。運転をやめれば、事故を起こすリスクはなくなりますが、移動手段が限られることで生活に支障を来し、健康を損なうリスクが生じます。従って、高齢運転者対策は、事故を起こすリスクと健康を損なうリスクの双方に配慮する必要があります。
まず、「高齢者が自動車の運転をしなくなって健康を損なうリスク」というのがよくわかりません。その分歩いて健康になるのでは?
また、高齢者が死亡事故を起こしても自分自身や同乗者が死ぬことが多いから、という理由で運転させても良い、という方向になるのはどうなのか?高齢者が他者を巻き込むリスクの量を軽視してはいけないと思われます。
なぜなら、高齢者の数はこれからどんどん多くなり、社会の中での比率も増えるからです。
いずれにしても、この論文の結果をもとに事故を減らすための方法論が議論され、アプローチの一種として若年者と高齢者に絞った対策が講じられるのは良いことだと思うので、活かしていただきたいと思います。
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