事実を整える

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山添拓「国民民主党の年収の壁・控除額引き上げは高所得者優遇で不公平」⇒共産党「高所得者優遇は誤り」記事削除

ケストフエール

山添拓「年収の壁、所得控除引き上げは高所得者優遇で不公平」

日本共産党の山添拓議員が「「年収の壁」引き上げは高所得者ほど減税効果が大きく不公平」という旨の投稿をX(旧Twitter)で行いました。

他方、山添議員の投稿では「国民民主党の案」に触れている上、引用している記事中には以下の内容があります。

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算 共同通信

国民民主党が主張する「年収の壁」の103万円から178万円への引き上げのため、仮に所得税と住民税の基礎控除を現行より75万円引き上げた場合、国と地方の合計で年約7兆6千億円の税収減になる見通しであることが30日、政府の試算で分かった。納税者にとっては減税となり、税金が高い高所得者ほど効果が大きいとの試算も判明。納税者の手取りが増える恩恵の一方、公平感や税収減を補う財源などを巡り議論を呼びそうだ。

所得控除としての基礎控除(48万円)と、給与所得控除(55万円)を合わせた103万円を超える収入があると所得税がかかるため、俗に「103万円の壁」といわれています。*1
(※2019年度までは38万円+65万円だった*2

そのため、山添議員は「103万円の壁」についても言及していることになります。

ところが、山添議員の論は、過去に共産党が否定していたことが発掘されています。

過去の共産党「所得控除引き上げで高所得者優遇は誤り」記事削除

過去の共産党が「所得控除引き上げで高所得者優遇は誤り」という記事を書いていたことが発掘されていました。

元URL:ttps://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/12/post-662.html

2014年 総選挙各分野政策 8、税制 消費税大増税を中止し、富裕層と大企業を優遇する不公平税制をただします 2014年11月

「所得控除は高額所得者ほど減税額が大きくなり、金持ち優遇だ」という議論がありますが、これは誤りです。所得税・住民税の配偶者控除を廃止した場合、年収500万円なら7.1万円の増税で、対年収比で1.4%の増税ですが、年収1億円なら18.5万円の増税で、対年収比では0.185%にしかなりません。

ところが、この事が話題になった後に、当該記事は削除されました。WEB魚拓を見ると、11月1日の日本時間9時頃までにはまだこのページは残っていたことが分かります。

検索エンジンでも、共産党の当該記事の痕跡が残っています。

どうやら2013年の政策でも同様の主張をしていたようです。

元URL:ttps://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/06/2013-20.html

2013年参議院選挙各分野政策 8、税制 消費税大増税を中止し、富裕層と大企業を優遇する不公平税制をただします 2013年6月

2014年の主張と同じものが見つかります。

共産党宮本徹が国会でも指摘していた基礎控除+給与所得控除引上げ

第192回国会 衆議院 財務金融委員会 第5号 平成28年10月28日

○宮本(徹)委員 ~省略~

先日、この課税最低限が年金受給者と給与所得者で逆転している、世代間の公平から公的年金控除縮小みたいな議論がありましたが、私は逆でして、現役世代の控除が低過ぎる、現役世代の控除を引き上げる、基礎控除の引き上げあるいは低所得者の給与所得控除の引き上げなどによって全体の課税最低限を引き上げる、このことによって所得再分配機能の回復を図るというのが大事だと思いますが、その点については、大臣、いかがでしょうか。

共産党の宮本徹議員が平成28年=2016年に国会でも基礎控除+給与所得控除引上げの必要性を指摘していました。

「高所得者ほど減税効果が大」は2021年に指摘も不公平とは書かず

2017総選挙/各分野の政策 7、税制―消費税、不公平税制、中小企業税制、タックス・ヘイブン問題 消費税10%増税を中止し、富裕層と大企業を優遇する不公平税制をただします 2017年10月

──1995年以来20年以上も据え置かれている基礎控除の引き上げをはかります。現行の38万円を2倍に引き上げれば、サラリーマンの所得税の課税最低限は、単身者で現行の121.1万円から168.9万円に上昇し、ヨーロッパ(イギリス147万円、ドイツ141万円、フランス238万円)並みの水準となります。財源面などの制約から基礎控除の大幅な引き上げがすぐにはできない場合には、1989年以来28年間も据え置かれたままとなっている給与所得控除の最低額(現行65万円)を引き上げます。これは、低所得者だけの減税で、富裕層には恩恵が及びませんから、財源はわずかで可能です。少なくとも、最低賃金(全国平均)で労働者の平均所定内労働時間(年間1600時間程度)働いた場合(年収136万円程度)には所得税が課税されないようにするため、12万円程度の引上げをはかります。

2017年には「給与所得控除の最低額(現行65万円)を引き上げます。これは、低所得者だけの減税で、富裕層には恩恵が及びませんから」と、むしろ若干逆のことを書いていました。

26、税制 消費税減税・廃止、富裕層と大企業を優遇する不公平税制をただし、格差を是正します 2021年10月

引き下げられた所得税・住民税の税率を元に戻します
――消費税が創設されたばかりの1990年代の所得税などの最高税率は、所得税50%、住民税15%で、あわせて65%でした。自民党政権のもとで99年に37%と13%に引き下げられ、地方への税源移譲後は所得税40%、住民税10%となりました。その後、所得税は2015年に45%に引き上げられましたが、これは、もともと民主党政権で提案されたもので、自公政権が自ら言い出したものではありません。対象も課税所得4000万円超(5万人程度)に限定され、税収も600億円足らずしか増えませんでした。99年の引下げ前の税率水準に戻せば、1兆円以上の増収が見込めます。

――所得税の人的控除や社会保険料控除などは、所得控除のため、同じ額の控除をした場合でも、適用税率が高い高所得者ほど、減税効果が大きくなります。将来的には、不平等が生じない税額控除に切り替えることも選択肢に入れつつ、当面、諸外国で実施されているような所得制限の導入や上限額の設定を行います。社会保険料控除は、社会保険料の標準報酬の上限引き上げとあわせ、控除額の上限を定めます。

2021年には、高所得者ほど減税効果が大きく不平等は生じるが、当面は上限額を引き上げるべき(「諸外国で実施されている上限額」というのはそういう意味)、という主張をしていました。*3

なんか、選挙の度に若干過去の主張とブレが出て整合性が採れていないような気がしますが…

日本国民の生活を良くしていくのではなく、与党攻撃・自党の議席を増やす目的か

そもそも仮に高所得者ほど減税効果が大きくなるとして、それは直ちに悪いことなんでしょうか?人手不足の世の中で103万円の壁というほぼ誤解があることで稼働を控える者が出現することの経済活動全体への損失との衡量で判断されるべきものでしょう。

こうして共産党の動きを見ていくと、日本国民の生活を良くしていくためではなく、与党攻撃・自党の議席を増やす目的で国民生活は二の次、という姿勢が伺えます。

国民民主党の玉木雄一郎代表が「対決より解決」「政策本位」を掲げていることと対比すると、戦後の国政の停滞の原因がどういうモノにあったのか、共産党という存在に限らずその正体が浮き彫りになるような一幕だったと言えるのではないでしょうか?

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