朝日新聞が「写真の撮影者・撮影日時が特定できなかった」として記事を削除した原因を作った西谷文和氏ですが、なんと謝罪文に法的措置を匂わす記述をしていたので、詳しく検証しました。
※本記事で西谷文和氏のツイートに添付されている画像など、問題の画像の表示が為されているものがありますが、「写真が盗用されていた」「時系列詐欺に使われていた」事実を検証するためのものであり、日本国内の著作権法上では「時事の事件の報道のための利用」ないし「引用」として適法とされるものとして扱っています。私に問題となる画像の著作権は無いため、利用には十分注意してください。
- ※この記事を読む方への注意事項
- 朝日新聞掲載写真につき西谷文和氏が謝罪も盗用を否定
- 北部のクンドゥズで老人を担いで逃げるアフガン軍兵士の写真
- 「盗用」とパブリックドメインとクリエイティブコモンズライセンス
- 他の西谷氏の写真の入手経路としての「盗用」疑惑
- 「戦車」の写真もロイターのものだった
- 「アフガニスタン大統領府にタリバン旗が掲揚」は加工された虚偽画像
- 西谷氏の写真の利用方法として「時系列詐欺」の前科
- まとめ:西谷氏が時系列詐欺の常習者なのは明らか
※この記事を読む方への注意事項
「盗用」「盗作」などの用語にはご注意を。
西谷氏が「盗用」というワードに対して法的措置を匂わす内容を記述しています。
なので、各写真において「盗用」と表現することが真実性・真実相当性があると判断される場合にのみ、そう表現するのが無難だ、ということは言っておきます。
西谷vs常岡の事案という過去がありますので。
(「身代金ビジネス」と記述した事案)
私、常罔浩介は、自らのツイッター等において、西谷文和氏のジャーナリストとしての資質や人格を誹謗する文言を書き込み、同氏の名誉を著しく毀損しました. この名誉毀損行為につき、西谷文和氏に深く謝罪いたします。
— ☪常岡浩介☪元容疑者 (@shamilsh) 2018年3月18日
:西谷氏との和解条項に従った投稿です。2018年3月19日から3月25日まで啓示します
安田純平さんの妻も激怒 自称ジャーナリストが勝手に身代金交渉を行う | デイリー新潮
朝日新聞掲載写真につき西谷文和氏が謝罪も盗用を否定
朝日新聞の記事公開終了とカブール陥落後のSNSにつきまして(お詫びと今後の決意)
nishitani (2021年8月18日 15:28)
- 朝日新聞に掲載された空港における写真⇒撮影者不明、通訳のアブドラ提供
- それ以外の8月15日から一連のツイートに掲載した大部分のものは、通訳のアブドラが直接撮影したものである
- その中には彼が友人からもらったものが含まれており、ロイター社等に迷惑をかけた。特に19年8月にロイター通信で使われた写真は誤解を与えてしまった
- 8月10日に北部のクンドゥズで老人を担いで逃げるアフガン軍兵士の写真については、アブドラの友人が撮影したもので、許可を得てそれを送付してくれた
ということを主張。
また、「8月15日以前のツイート」に関しては上掲ブログにて言及が無いのですが、8月10日の「北部のクンドゥズで老人を担いで逃げるアフガン軍兵士の写真」以外については、特に反論が無いという事実があると言えます。
ここでは、「北部のクンドゥズで老人を担いで逃げるアフガン軍兵士の写真」についても詳しく論じていきます。
それにしても「通訳のアブドラから」を超えて「アブドラの友人から」というワードが飛び出るとは
北部のクンドゥズで老人を担いで逃げるアフガン軍兵士の写真
歩けない老人(父親か?)を担いで逃げる兵士。 pic.twitter.com/fBbAqUoCrp
— 西谷文和 (@saveiraq) 2021年8月15日
また8月10日に北部のクンドゥズで老人を担いで逃げるアフガン軍兵士の写真については、アブドラの友人が撮影したもので、許可を得てそれを送付してくれたのですが、この写真はかなりの人に共有されて現地で回っていたものですから、これも「盗んでいたのでは?」などの投稿がありました。現在はアフガンでもネットが発達して、こうした情報が瞬時に回りますので、朝日の記事は、その後から出さざるを得ず、あたかも「順番が逆」のように捉えて、やはり「盗んでいる」などの投稿がありました。
まず【①パブリックドメインではない画像について②報道機関に掲載されているにもかかわらず③他の者・媒体において既に使われている画像につき④適切なクレジット表記が無いものは「盗用」と言われても仕方がない】。
この写真が「盗用」と言われたのは朝日新聞の記事に掲載された時点ではカブールがタリバンに包囲された後の記事の中に掲載されたからです。
(朝日新聞の消された記事中の当該画像のクレジットには「タリバンが北部クンドゥズに迫り」という表記があるが、記事の主題とはズレがある時点で読者に誤認を誘発させ、それ自体が不適切な画像の使用です。)
そして、8月15日の西谷氏のツイートの文脈⇒https://archive.is/7JJlw
これを見れば、当該写真は西谷氏が「カブールがタリバンに包囲・陥落される様子」について伝える中で出てきた画像であるというのは明らかなので、10日の北部クンドゥズの写真を何らの注釈もなしに出しているということは
- 写真の入手経路はまったくの盗用で意図的に時系列詐欺をしている
- 入手経路は盗用ではないが意図的に時系列詐欺をしている
- 入手経路は盗用ではないが撮影日時を確認せずに誤って使用している
のいずれかです。
で、西谷氏のブログでは当時も「8月10日に北部のクンドゥズで撮影されたものだ」という認識でいたというのが分かります。
にもかかわらず、なんらの注釈も無しに「カブールがタリバンに包囲・陥落される様子」を伝える連続したツイートの間に挟めて発信しているということは、「撮影日時を確認せずに使用している」などという生易しいものではないということが明らかです。
したがって、この写真について「時系列詐欺」という評価が下されることには、【西谷氏が弁明のブログを書いた現時点でも】真実性が認められます。
さらに、「アブドラの友人が撮影した」と言いながらその友人の名前が不明であり、クレジットに表記されないというのはいささか不可解ですが…
「盗用」とパブリックドメインとクリエイティブコモンズライセンス
写真の「盗用」という場合、それは一般的には①パブリックドメインではないものについて、②著作権者の許可なく、③-A適切なクレジット無しで、乃至は、③-B著作権法上の適法要件を満たさずに、掲載する行為、というような用語法がなされていると考えられます。
商業媒体の場合「友人から許可を得たから…」という言い訳は通用しないでしょう。
必ず「じゃあその友人は誰なんだ?」という話に。
文章も同じじゃないでしょうか?
なお、パブリックドメインでもないが著作権者の許可が無くても利用できる方法についてはクリエイティブコモンズライセンスというものがあります。
これは、著作権者(真の権利者の場合)が事前に許可不要の場合の条件を明示した上で、その条件に従った利用が為される場合には何ら違法では無くなる、という効果のあるものです。
なお、この条件に従わない場合であっても著作権法上の適法要件に該当する場合があり得ます。
他の西谷氏の写真の入手経路としての「盗用」疑惑
#西谷文和
— 徳本 (@tokumoto0) 2021年8月18日
朝日以外にも無断転載疑惑の画像があった。
①毎日新聞2018/12/7記事「西谷文和さん提供」として掲載された空撮画像https://t.co/rHT14Fj0Tt
②クルド地域スレイマニア県webサイト2018/9/7付けページの写真。ページ下部に同県が全権利を有すという著作権表記あり。https://t.co/Z1CC5PcNas pic.twitter.com/sidbwYX2ld
続・西谷流地球の歩き方:難民キャンプを空から見る | 毎日新聞(魚拓)
http://slemani.gov.krd/mobile_so/newsDetail.php?newsID=910(魚拓)
2018年12月7日の毎日新聞「難民キャンプを空から見る」という記事に掲載されている画像に「西谷文和さん提供」とある空撮画像がありますが、スレイマニア県に著作権があるという表示があるページがあります。
これについて西谷側が「盗用」を逃れられる事実としては
- スレイマニア県に著作権があるという表示の方が虚偽である
⇒この場合に西谷氏は他の者から写真の提供を受けていた(西谷氏自身が空撮できたとは考えにくいため) - スレイマニア県から使用を許可された写真の提供を西谷氏が受けていた
この可能性がありますが、果たしてどうなることでしょうか。
ちなみにGoogleでは上掲の2つの記事しかHITしませんので、スレイマニア県に著作権が無いという筋は薄いと考えられますが…
「戦車」の写真もロイターのものだった
パクリ写真の上に画像の何処にも「戦車」は見当たらない。四輪車のハンヴィーは写ってるけど、旧式車両でとっくにアメリカではもう作ってない。不要になった中古の余剰を譲渡した供与でどうやって軍事産業が儲かるのか理解できない。 https://t.co/eC5RMVzPzN
— JSF (@rockfish31) 2021年8月17日
軍事車両の写真はロイター通信でした。BBCに以下クレジット表記とキャプションが。
Taliban attack US aid group's office in Kabul - BBC News
REUTERS
The attack sparked a gunfight with security forces
これも「盗用」とならない場合は
- ロイターに写真を提供した者が西谷氏本人
- ロイターと何らかの契約によって利用許可を得た
- ロイターに写真を提供した者から西谷氏が利用許可を得た(と認識)
- ロイターに写真を提供した者から西谷氏が著作権を得た(と認識)
という場合が考えられますが…
西谷氏はツイートを削除しているので1・2番はあり得ないと考えるのが自然で、3・4番もこの状況下では考えにくいとするのが通常なため、仮に今後、西谷氏が利用の権利を有していたとする情報があったとしても、少なくとも現時点で「盗用」の真実相当性が認められます。
「アフガニスタン大統領府にタリバン旗が掲揚」は加工された虚偽画像
「アフガニスタン大統領府に8月16日の日本時間12時51分時点でタリバンの旗が掲揚されている」とする以下のツイート。明らかに旗の見た目がおかしいのですが…
朝日新聞の記事公開終了とカブール陥落後のSNSにつきまして(お詫びと今後の決意)nishitani (2021年8月18日 15:28)
あるいは「大統領府にあがったタリバンの旗」についても、「コラージュだろう」と決めつけた投稿も多数見られます。しかしこれは実際に掲げられた旗です。
なんと、本人は「本物だ」と言い張っています。
しかし、Twitter社からも公式に虚偽認定されています。
これは既に世界中のメディアから虚偽認定されているものですから当然でしょう。
Fake photo of 'Taliban flag raised' over Presidential palace in Kabul circling social media. pic.twitter.com/CA3Nfmhs80
— Insider Paper (@TheInsiderPaper) 2021年8月15日
A tweeted photo that appears to show a Taliban flag atop the Afghan presidential palace is fake -- it was digitally altered to add the flag. Get the facts about this image. https://t.co/Zu3y6wBDJk
— AP Fact Check (@APFactCheck) 2021年8月17日
We can find the original image in several publications on social media from early 2020, such as this tweet from March, 8:https://t.co/gSJnf3wiub
— Info ou Intox 🔎 - France 24 (@InfoIntoxF24) 2021年8月16日
フランス24が引用リツイートしているツイートは2020年3月のもので、既にこの時点で当該画像は存在していたことが分かっています(これが「元画像」かというと、画面の両端が切れているので分からないですが)。雲の形や飛んでいる点のような光の様子から、同一の場面を映したものと言えます。
画像の形で分かりやすく掲載されているのはShamshad TVの7月26日の投稿です。https://www.facebook.com/shamshadtv.tv/posts/4198017553612214
https://www.facebook.com/shamshadtv.tv/photos/pcb.4198017553612214/4198011116946191/
「西谷氏は加工された虚偽の画像を本物のように発信した」は真実性が明らかに認められます。発信者情報開示請求も絶対に通りません。
西谷氏の写真の利用方法として「時系列詐欺」の前科
コロナで国連をはじめとする人道支援機関が機能していない。キャンプでは慢性的な食糧不足。1日1回食事できればいい方 pic.twitter.com/X37TGAH6RF
— 西谷文和 (@saveiraq) 2021年5月13日
西谷氏が2021年5月13日に投稿したツイートでは「コロナで…」という文言がありますが、この写真は2017年6月26日にCGTN(China Global Television Network)がYouTubeに投稿した"Assignment Asia: Life for Afghan returnees"という動画のサムネイル画像でも使われていたものであり、「新型コロナウイルス禍」のものではないことが確定です。
動画の説明内容も「都市部に人が集まるようになったもののリソース不足で…」という文脈であり、感染症とは全く関係ありません。
動画の一場面なので写真というわけでもないはずですが、まぁ、権利関係については無視しておきましょう。
しかし、少なくとも西谷氏が「時系列詐欺」を働いたことは明らかであり、そう指摘することに真実性が明らかに認められます。発信者情報開示請求も絶対に通りません。
まとめ:西谷氏が時系列詐欺の常習者なのは明らか
前回記事で指摘したツイートや今回のツイートに加え、まだまだ紹介しきれていない「時系列詐欺」のツイートは沢山あります。
したがって、西谷氏が写真を用いた時系列詐欺の常習者なのは明らかであると言えます。
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