事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

濃厚接触者の定義とは:医学用語ではなく明確な定義はないが疾患毎に記述

濃厚接触者の定義は疾患毎に異なる

濃厚接触者の定義とは何でしょうか?

検索してもハッキリと書かれている所が無いのでここでまとめます。

「濃厚接触者」の定義とは:医学用語ではない

「濃厚接触者」とは「医学用語ではありません

そのため、明確な定義はありません。

参考:新型肺炎患者の「濃厚接触」とは? 厚労省に定義を聞くと... : J-CASTニュース⇒厚労省の結核感染症課が「明確な定義はない」としている。白鴎大学の岡田晴恵教授も「ひるおび!」1月29日の放送で「医学用語ではない」と発言していた。

しかし、症例毎に厚労省が記述することがあります。

新型肺炎コロナウィルス対策においても一応の定義が書かれました。

具体的に見ていきましょう

新型肺炎コロナウィルスSARS-Cov-2感染症の患者等における濃厚接触者の意味

※記事執筆時点のものをそのまま残してあります。

※現在は次項の追記を参照してください。

濃厚接触者の定義:新型肺炎コロナウィルス

厚生労働省:新型コロナウイルスに関する検査対応について(協力依頼)

【厚生労働省健康局結核感染症課 新型コロナウイルスに関する検査対応について(協力依頼)】という文書には、新型肺炎コロナウィルスnCoV対策における濃厚接触者の定義が記述されています。

そこでは濃厚接触者について【「患者(確定例)」が発病した日以降に接触した者のうち、次の範囲に該当する者】としています。

  1. 世帯内接触者:「患者(確定例」と同一住所に居住する者)
  2. 医療関係者等:個人防護具を装着しなかった又は正しく着用しないなど、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」の診察、処置、搬送等に直接係わった医療関係者や搬送担当者
  3. 汚染物質の接触者:「患者(確定例)」由来の体液、分泌物(淡など(汗を除く))などに、必要な感染予防策なしで接触した者
  4. その他:手で触れること又は対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と接触があった者(患者の症状やマスクの使用状況などから患者の感染性を総合的に判断する

追記:国立感染症研究所が用いるCOVID-19の濃厚接触者の定義

濃厚接触者の定義、国立感染症研究所

国立感染症研究所 感染症疫学センター 令和2年2月6日版

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省を見ると、濃厚接触者の項で国立感染症研究所のページが紹介されています。

要するに、現時点ではこちらが公的機関が「正しい情報」としているものです。

そこではとくに項目建ててあるわけではありませんが、以下の資料において濃厚接触者の定義が書かれています。

新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年2月6日暫定版)魚拓

https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/2019nCoV-02-200206.pdf魚拓

●「濃厚接触者」とは、「患者(確定例)」が発病した日以降に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。
・ 新型コロナウイルス感染症が疑われる者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
・ 適切な感染防護無しに新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を診察、看護若しくは介護していた者
・ 新型コロナウイルス感染症が疑われる者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い
・ その他: 手で触れること又は対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と接触があった者(患者の症状やマスクの使用状況などから患者の感染性を総合的に判断する)。

厚労省のページとの違い

  1. 同居のみならず「長時間の接触」のみで該当し得るよう追加された
  2. 体液等の汚染物質に直接触れただけでなく「その可能性が高い者」が追加された

定義が更新されているようですが、基本的には同じです。

その延長線上で、より広く濃厚接触者として把握しようと試みているのが分かります。

物理的に肌が触れなくとも濃厚接触になり得る

上記定義を見ても分かるように、物理的に肌が触れなくとも濃厚接触になり得ます

また、上記の厚労省の文書は「新型肺炎コロナウィルスに対するもの」という断りが付いており、定義の4には「患者の感染性を総合的に判断する」と書かれています。

このことから、上記定義は凡そ一般的なものではなく、疾患毎に一応定められたものであるということが分かります。

最大公約数的な意味内容としては国立感染症研究所において

・医療従事者や家族、または同様な状況で、症例の世話をした者。

・症例に症状があった時期に同じ場所に滞在(同居、訪問等)した者。

このように書かれている内容であるとざっくりと理解可能でしょう。

ただ、これだけだと誤解が生じることもあると思いますので、あくまでも目安という理解をするべきだと思います。

「濃厚接触」とは疾患相対的な概念

新型コロナウイルス どれぐらい警戒したらいいの? 感染症のスペシャリストに聞きました BuzzFeed

ーー「濃厚接触」とよく言われますが、その定義は?

数字での定義はありません。また疾患によって、定義が変わることがあります。ハグは濃厚接触と考えてもいいと思いますが、1回軽いあいさつで握手したぐらいではそうは言わないでしょうね。

触れていないとしても、このインタビューがこの部屋の中で半日続けば濃厚接触だと思います。同居している方の場合などは、まったく生活の場が切り離されていない限りは濃厚接触と考えても良いと思います。

強い飛沫感染であれば、カウンターで接客した場合も濃厚接触に入ってくるでしょう。様々な状況の中で感染のリスクが高まるような近距離とある程度の時間の接触を「濃厚接触」と言います。

このインタビューでは川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦氏が答えています。

「疾患によって定義が変わる」とあるように、「濃厚接触」という言葉は疾患相対的な概念だということが分かります。ここではどのような疾患であっても概ね妥当するような公約数的な理解が示されていると考えるべきなのでしょう。

インフルエンザや結核などの濃厚接触者の定義

そのため、同じ厚労省の定義であっても、結核やインフルエンザの場合の濃厚接触者の定義は、今回の新型肺炎に際して定義された文言とは少し異なるものになっています。

新型インフルエンザ(パンデミックフェーズ 4 以降)における積極的疫学調査のガイドライン

改正感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き(2007年7月 改訂2版)

まとめ:感染症の種類によって定義が違う用語だった

  1. 「濃厚接触」は医学用語ではない
  2. そのため、明確な定義はない
  3. ただし、公約数的な意味内容については共通理解がある
  4. 感染症疾患毎に厚生労働省が定義することがある

「濃厚接触」という用語は記述内容が一致しなくて混乱する人が多かったと思います。

それは、感染症の種類によって定義が違う用語だったため、ということでした。

以上