事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

女性の暴力・性暴力被害の国際比較と暗数:龍谷大学のEUとの比較研究

 

フェミニストの論拠がまた崩れ去りました

女性の(性)暴力被害の国際比較と暗数:龍谷大学のEUとの比較研究

女性に対する暴力の実態把握と科学的妥当性・信頼性の高い被害者調査の創出

犯罪研究動向 女性の暴力被害に関する調査

女性の暴力被害に関する調査―主に『女性の日常生活の安全に関する調査』の実施を通じて― 津島 昌寛, 我藤 諭, 浜井 浩一

龍谷大学の社会学部教授である津島昌弘氏のグループの調査研究で、女性に対する暴力の調査と日本(近畿圏)とEU調査の比較結果が平成30年6月にまとめられていました。

本調査は最初からEU調査との比較をするために調査手法も踏襲したものになっており、直接比較が可能になるような方法が採られているのが特徴です。

近畿圏在住の18歳以上75歳未満の女性2,448人を対象に2016年10月1日~12月4日に面接調査が実施されました。

いわゆる暗数調査の一つと言えるものです。

日本はEUに比べ、女性に対する身体的暴力・性的暴力の割合が半数以下

  1. 15歳以降、パートナー・非パートナーから身体的・性的暴力を受けた女性の比率
    ⇒日本17%、EU平均33%
  2. 15歳以降、パートナーから身体的暴力を受けた女性の比率
    ⇒日本9%、EU平均20%
  3. 15歳以降、パートナーから性的暴力を受けた女性の比率
    ⇒日本2%、EU平均7%
  4. DVの被害にあった女性を知っている女性の比率
    ⇒日本23%、EU平均39%
  5. 15歳以降、パートナーから受けた最も深刻な暴力を警察に通報した女性の比率
    ⇒日本0%、EU平均14%
  6. 15歳以降、非パートナーから受けた最も深刻な暴力を警察に通報した女性の比率
    ⇒日本12、EU平均13%

EUとの比較円グラフが作られてる項目とその結果はこの通りでした。

日本はパートナー(配偶者や彼氏)からの暴力を通報しない傾向が顕著

女性に対する暴力の実態把握と科学的妥当性・信頼性の高い被害者調査の創出

重大な発見は、日本では、加害者が非パートナーの場合、一定程度の女性が被害を警察に通報しているが、加害者がパートナーの場合、警察に通報した女性は皆無であった(EUでは加害者がパートナーと非パートナーとでほとんど差がない)ことである。これは、日本では、DVや親密圏で起こった暴力は表面化しにくいことを示唆している。

本調査の結果について、日本の場合は、加害者がパートナーの場合には警察に通報した女性は「皆無」とまで書かれています。

確かにこの傾向は国連のInternational Violence Against Women Survey(IVAWS)と、これに参加する形で法務省総合研究所が2000年から4年ごとに実施していた『犯罪被害実態調査』の便宜的な比較結果と類似しています。

また、ICVSとほぼ同じ調査項目を用いる欧州犯罪・安全実態調査(European Survey on Crime and Safety:EU-ICS)との便宜的な比較結果とも傾向が似通っていると言えるでしょう。

参考として、法務省の研究部報告61「第5回犯罪被害者実態(暗数)調査 第3編 犯罪被害の申告及び不申告の理由では、被害の不申告理由も調べられています。

  • 「それほど重大ではない(損失がない,大したことではない)」を選んだ人
    ⇒性的事件で28人中10人
  • 自分で解決した(加害者を知っていた)を選んだ人
    ⇒性的事件で28人中4人
  • 捜査機関が取り扱うのが適切ではない問題だった(捜査機関は必要ない)を選んだ人
    ⇒性的事件で28人中1人
  • 代わりに別の機関に知らせたを選んだ人・家族が解決した・保険に入っていないので,保険請求のための通報の必要がなかった・被害に遭ったことを知られたくなかった(恥ずかしくて言えなかった) を選んだ人
    ⇒性的事件では0人
  • 捜査機関は何もできない(証拠がない)を選んだ人
    ⇒性的事件で28人中4人
  • 捜査機関は何もしてくれないを選んだ人
    ⇒性的事件で28人中4人
  • 捜査機関が怖い又は嫌い(捜査機関に関わってほしくない)
    ⇒性的事件で28人中1人
  • 仕返しのおそれからあえて届け出ないを選んだ人
    ⇒性的事件で28人中1人
  • 加害者の処罰を望まなかったを選んだ人
    ⇒性的事件で28人中3人

まとめ:日本では女性に対する暴力・性暴力は、EU平均よりも半数以下で、被害を捜査機関に通報しない傾向

これらの調査方法については、龍谷大学津島教授らの研究の背景と手法を提示した論文で以下の特徴・課題が指摘されていました。

女性の暴力被害に関する調査―主に『女性の日常生活の安全に関する調査』の実施を通じて― 津島 昌寛, 我藤 諭, 浜井 浩一

『犯罪被害実態調査』では,財産犯罪とともに暴行・脅迫,性的犯罪の被害の有無について聞いている.しかし,前者は設問にセクシャルハラスメントや痴漢といった性的被害が含まれていない.後者は,統一した内容の調査票を用いることで,国際比較の基礎資料を提供しているが,女性の暴力被害に特化した調査ではなく,暴力被害に関してかなり簡略化された設問となっている

 また,上記2つの調査は訪問留置調査を用いている.留置調査(自記式)は,面接調査(他記式)と比べると,回収率が高くなる傾向にあるからである.しかし,データの妥当性・ 信頼性の確保からは,回答時に調査員が介在する面接調査のほうが好ましい.

津島教授らの調査結果は、これらの調査とは異なる方法で為されたものの、日本では女性に対する性犯罪や暴力の暗数は、EU平均よりも半数以下のレベルで低いということ、女性が捜査機関に通報しない傾向にあるという傾向が、他の調査のものとほぼ一致しているということが示されたと言えるでしょう。

追記:EUによる暗数調査の実際の質問票の文言と構成についての評価と内閣府調査との比較

EU調査の実際の質問票の文言などについて画像を示しながら日本の内閣府の調査との比較をしているものがありました。

日本社会における「女性に対する暴力」は少ないのか? - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)2018/10/30

また、この時期にフェミニストが難癖を付けていたことの記録などは以下。

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