事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

世田谷区中野区が同性カップルの住民票続柄欄に「夫・妻(未届)」:総務省が大村市に遠慮中に既成事実が…

違法な既成事実が積み上げられていく…

世田谷区中野区が同性カップルの住民票続柄欄に「夫・妻(未届)」

同性カップルの住民票「夫・妻(未届)」に 世田谷区中野区|NHK 首都圏のニュース 11月01日 17時09分

東京・世田谷区と中野区は、1日から希望する同性カップルに対し、住民票の続き柄の欄に、事実婚の夫婦に用いられる「夫(未届)」や「妻(未届)」と記載する対応を始めました。

世田谷区の古谷光枝さん(48)は、15年ほど前から一緒に暮らす同性のパートナーとともに区の窓口を訪れ、パートナーの続き柄に「妻(未届)」と記載された住民票の写しを受け取りました。

東京都の世田谷区と中野区が、同性カップルの住民票続柄欄に「夫・妻(未届)」と記載する対応を始め、実際に同性パートナーに対して「妻(未届)」という表記の住民票が発行されたとする報道が11月1日にありました。

これは長崎県大村市で同様の事案が発覚して総務省が問題視していた事案の延長線上ですが、国がトロトロしてる内に、ついにこんなことになったか、と。

仙台市や行橋市は明確に否定した運用方法の続柄記載

大村市や世田谷区・中野区のような方法は、既に仙台市や行橋市は明確に否定した運用方法です。これについては上掲記事で整理していますが、議事録が出ているので引用します。それぞれ、ひぐちのりこ議員、小坪慎也議員の質疑への行政答弁があります。

仙台市議会 市民教育委員会 本文 開催日: 2024-06-21

66: ◯ひぐちのりこ委員
  ~省略~
 さて、このパートナーシップ宣誓制度が導入された際の、宣誓となった方々の住民票での続柄の表記についてお伺いいたします。長崎県大村市、京都府与謝野町、栃木県鹿沼市、鳥取県倉吉市、そして東京都世田谷区、また東京都杉並区などでは、未届の夫、未届の妻などとしているところもあるし、また導入の方向が示されております。本市の考え方、この住民票での続柄の表記についてどういうふうにお考えなのか、今の時点でのところをお答えいただければと思います。

67: ◯戸籍住民課長
  本市における住民票の続柄の表記につきましては、国の定める住民基本台帳事務処理要領にのっとり取り扱っておりまして、夫未届または妻未届への表記につきましては、法律上婚姻することが可能な場合で、かつ内縁関係にある旨の申出により記載する取扱いとしておりますことから、同性パートナーの場合は未届の表記は行っておりません。
 住民票は様々な場面で利用されておりますことから、全国共通での取扱いが望ましく、今回の他市区町村の事例を受け、国においても状況の確認や対応を検討するものと承知しておりますことから、まずはその推移を見守るべきものと、このように考えております。

行橋市  令和 6年 6月 定例会(第2回)  06月18日-03号

◆13番(小坪慎也君) 
 平成30年度6月8日の衆議院法務委員会の議事録について、お伺いいたします。
 この中におきまして、委員から住民票の続き柄の今の記載について、同性パートナーについては、どのようになっていますか、と質問をされております。大臣政務官として総務省の見解が示されておりますが、僅か2行ですけど、答弁をお願いします。

◎市民部長(辛嶋智恵子君) 
 お答えいたします。同性パートナーにつきましては、戸籍制度では、同性結婚は認められておりませんで、親族関係があると言えないため、世帯主との続き柄につきましては、同居人と記載することとしております。このように答弁がされております。

◆13番(小坪慎也君) 
 では、行橋市は事務処理要領及び、また衆議院の法務委員会、実際そのものズバリが聞かれておりますから、この後に制度が変更されたとは私は伺っておりませんけれど、事務処理要領にのっとっていけば、この場合、同性の方が住民票を発行していただきたいと来た場合に、続き柄欄には何と記載するのか、答弁をお願いします。

◎市民部長(辛嶋智恵子君) 
 行橋市におきましては、同性事実婚の方の場合、世帯主からの続き柄は、同居人との記載となります

◆13番(小坪慎也君) 
 これは新たな判断ではなく、現在の衆院の会議録、また事務処理要領にのっとったもので、何か判断したというよりは、事務処理要領にのっとった手続きはこうなるという話だと思いますが、その理解でよろしいでしょうか。私は何か新しい判断をしたのではなくて、単に事務処理要領を普通に読み解いたと思っているんですが、それで間違いないですか。

◎市民部長(辛嶋智恵子君) 
 間違いございません。

◆13番(小坪慎也君) 
 これ、法の下の平等について問います。あのですね先ほど答弁いただきましたが、厚労省所掌分だけでも健康保険の被扶養者、また国民年金の第3号被保険者、公的年金制度の各種給付、育児・介護休業法に基づく介護休業等々、また労災保険給付の遺族保障年金、これ合算で102件だと。これは法的保護があまりにも一気に広がると、それは、私はおかしいと思うんですね。
 おかしいというのは、LGBTの方や同性カップルの権利拡大を邪魔するという意味ではなくて、こんなに一気に変えちゃっていいんですかと。なぜかと言えば、住民票の続き柄なんて、公に示すと書いて公証関係に示すことができるんですが、事実婚という公証を与えることによって、これだけの制度を急に与えるようにできてしまうと。
 事務処理要領で、これ同居人とするか、夫(未届)とするかはですね、各自治体の自治事務だという方もおられるんですが、それ広げた後の波及効果について、私はお考えいただいているんだろうかと。
 つまり、ある自治体、またこれA自治体ですね、では事実婚の公証となる夫(未届)と発行され、ある自治体では発行されないと。そうなると同性カップルの方は、前述の代表的な制度の利活用との結果としてですね、行政サービス、法的保護を受けられるかどうか変わってくる。ストレートに言います。金の問題があるんです。お金をいただけるかどうか、そこのところが自治体ごとに大きく差異が出てきたら大変な問題じゃないかと。そもそも事務処理要領にのっとって普通にやっていけば同居人になると。それは当たり前のことなんです。
 あえてそれを聞かないといけない状況がちょっと不思議だなと思いますが、行橋市におかれましては、市以外の各種制度の波及も鑑みまして、慎重に動いていただきたいと言いますか、これを自治体の裁量の範囲内だと強弁して突破するのは、非常に乱暴なことだと思いますので、その点については、くれぐれも慎重にあっていただきたい。
 これは別に危ない質問じゃないから大丈夫ですよ。市長も挙げかけたけど挙げなくて大丈夫です。ちゃんとヒアリングしていますから。
 法の下の平等をですね念頭に答弁をお願いします。住民票の発行業務というのは、実は何と書くかで実は使える制度が目茶目茶変わりますから、しっかり仕事をしていただきたい。法の下の平等を念頭に答弁をお願いします。

◎市民部長(辛嶋智恵子君) 
 今まで答弁をさせていただいたように、その記載内容によっては、使える制度もあるということになりますので、窓口での取り扱いといたしましては、あくまでも事務処理要領にのっとりまして、記載をするというふうに取り扱いをしたいと思います。

◆13番(小坪慎也君) 
 ちょっと最後のやつが時間ギリギリになってきたので、4番目を次に回してもいいんですけれど、最後、ちょっと結論部分になりますが、行橋市においては、事実婚の公証となる住民票の発行をパートナシップ宣誓制度の方とかが来られて求められたとしても、応じられないというか、市の事務手続きとしては同居人になると、それを発行しないという見解でよろしいでしょうか。

◎市民部長(辛嶋智恵子君) 
 そのとおりでございます

総務省は大村市に最高裁判決を示すも技術的助言に留まる

総務省は9月27日に大村市へ送った文書で「(住民票は)できる限り統一的に記録が行われるべきもの」という1999年の最高裁判決を引用し、大村市の記載は「最高裁判決と異なる認識を前提にしている」と指摘し、「改めてご判断をいただきたい」と求めていました。これは「技術的助言」として扱われるものです。

最高裁判決とは【最高裁判所第一小法廷平成11年1月21日判決 平成7(行ツ)116 集民第191号127頁】であり、住民基本台帳事務処理要領が定められているので、「各市町村長は、その定めが明らかに法令の解釈を誤っているなど特段の事情がない限り、これにより事務処理を行うことを法律上求められてい」る、としました。

つまり、長崎県大村市や東京都世田谷区・中野区の運用は法令違反であって、国は自治事務であろうが「是正の要求」をすることができるということです。

地方自治法

(是正の要求)
第二百四十五条の五 ~省略~
2 各大臣は、その担任する事務に関し、市町村の次の各号に掲げる事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該各号に定める都道府県の執行機関に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすることができる。
一 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する事務(第一号法定受託事務を除く。次号及び第三号において同じ。) 都道府県知事
~中略~

5 普通地方公共団体は、第一項、第三項又は前項の規定による求めを受けたときは、当該事務の処理について違反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。

(市町村の不作為に関する都道府県の訴えの提起)
第二百五十二条 第二百四十五条の五第二項の指示を行つた各大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、同条第三項の規定による是正の要求を行つた都道府県の執行機関に対し、高等裁判所に対し、当該是正の要求を受けた市町村の不作為に係る市町村の行政庁(当該是正の要求があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。次項において同じ。)を被告として、訴えをもつて当該市町村の不作為の違法の確認を求めるよう指示をすることができる。

しかし、総務省は大村市に対してもそれを行ってきませんでした。

そうしている内に、世田谷区・中野区が既成事実を作りに来たということになります。

大村市には地域事情から強く当たれなかったとしても、世田谷区・中野区にはそんなの無いのでは?

「実態を伴わない記載」に厳しい世の中にするのではなかったか?

確かに表面上は住民基本台帳事務処理要領にある「夫(未届)」という記載方法から、字面の上では逸脱した記載をしたわけではありません。

しかし、それは男女の事実婚を念頭に置いた記述であることは明らかであり、勝手に男と男の同性の事実婚カップルに対して「夫(未届)」という記載をすることは、実質を伴わない記載であり、【虚偽記載】であると言えます。

しかも、この記載は、各種の行政サービス、法的保護を受けられるかどうかに関わってくるものであり、実体の無い記載から金銭的な利益等を得ることにも繋がってくる話です。

この点、政治資金収支報告書上の記載が実態と乖離(虚偽記載とも言い得るが、この場合は字面に比した悪性は無い)していたことや不記載があったことが、議員らは違法とまでは言えなくとも倫理的に好ましくないとして非難されてきました。

しかし、これらは資金源が公金ではないし、当該収入自体は実体のあるもので、ただ政治資金収支報告書における政治資金規正法上の扱いが問題となったにすぎませんでした。

政治家は非難され、なぜか同性カップルは法令違反なのに問題が放置されている

こんな世の中はおかしいでしょう。

国は慎重に手続を踏んで司法からも理解を得られるようにしているのだと思いたいですが、そうしている内に現実が活動家らによって侵蝕されていくのを見ているのは、国柄が毀損されているようでいたたまれません。

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