事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

石垣のりこ「憲法秩序と相入れない人物に発言の機会は与えられない」⇒これ自体が憲法秩序に反してます

石垣のりこ議員、高橋洋一さんをレイシスト・ファシスト扱い

石垣のりこ議員ツイッターから引用して改変

石垣のりこ議員が高橋洋一氏に関して「憲法秩序と相入れない人物に発言の機会は与えられない」とツイートしました。

この発言自体が日本国憲法の秩序に反してます。

石垣のりこ議員 高橋洋一氏に「レイシズム」「ファシズム」

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発端となったツイートでは、石垣のりこ議員が高橋洋一氏を名指しして「レイシズム」「ファシズム」には加担しないと言っているものです。

当然これに対しては高橋氏本人から抗議と根拠の明示が要求されています。

「憲法秩序と相入れない人物に発言の機会は与えられない」

「憲法秩序と相入れない人物や組織に発言や正当化の機会は与えられない」

石垣のりこ議員のこの見解は、要するにそのような発言をした者は一般の者とは違って原則的に不自由であり、口をつぐんでいろ、ということを意味します。

この発言自体が日本国憲法の秩序と相入れません。

日本はドイツのような「たたかう民主制」 の立場ではない

たたかう民主制(たたかう民主主義)とは、一般に民主主義そのものを否定するような自由・権利までは認められないとする考え方を指します。

たとえばドイツ連邦共和国基本法18条では「憲法が保障する権利を、自由で民主的な体制を破壊するための闘争に濫用する者は、これらを制限される」と規定されています。

日本国憲法の場合は憲法尊重擁護義務があるのは公務員等であり、一般国民は直接的な法的義務を課されているわけではありません。

国民も一定の場合には公共の福祉による制限を受けるとされていますが、それは主張の種類が憲法秩序破壊であるか否かによって変わるものではなく、すべての場合に共通したものです。

ドイツでは共産党(KPD)の組織が禁止された

政党の内部秩序は民主制の諸原則に合致していなくてはならない(基本法21条1項)

この規定に基づき、暴力主義革命を主義主張としていたドイツ共産党(KPD)は違憲判決を受け、解体されました。何らかの暴力による攻撃の事実があったのではなく、単にそのような主義主張であった、ということだけで違憲とされました。

なお、後継団体(公式には後継ではないとされているが)であるドイツ共産党(DKP)は現在でも存在しているが、政治的な勢力は弱く、連邦憲法擁護庁からは左翼過激派・反憲法的組織として監視対象になっています。

日本共産党の暴力革命の主張も日本国憲法では表現の自由がベース

日本共産党の暴力主義革命の主張も(現在は表立って主張していないが、完全否定もしていない)、日本国憲法下では一応は表現の自由の範疇であり、そのような主張をすること自体が違憲・違法になるとはされていません。

石垣のりこ議員の「憲法秩序と相入れない人物や組織に発言や正当化の機会は与えられない」という見解は、日本共産党もその主張自体によって解体されるべきということになるが、それでよいか?

まとめ:石垣のりこ議員の発言自体が憲法秩序と相入れない

普通はある意見の表明に対して、なんらかの批評や相手方からの反論など意見の流通が為されることで何が真理であるかが明らかになるのであり、それが(少なくとも日米式の)民主主義社会の基本です。

つまり「間違った意見だから」という理由で国家が表現を規制してはならないのです。

ところが、国会議員という権力者側にある石垣のりこ議員は、「反論を封じる」ことでまさにそれをやっていることになります。

「たたかう民主制」を採ってない日本においては、このような態度自体が憲法秩序と相入れないものです。憲法尊重擁護義務(憲法99条)違反であるともいえるのではないでしょうか?

そして、当然ながら、高橋洋一氏が「ファシスト」「レイシスト」と評価されるような言動をしたという事実はありません。

以上