事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

北海道新聞の鳥潟かれん記者が建造物侵入で現行犯逮捕の悪質性

旭川医科大学への建造物侵入

北海道新聞の鳥潟かれん記者が建造物侵入で現行犯逮捕された件ですが、少し考えたら実名報道されても仕方がない悪質性があると判断しました。

北海道新聞の鳥潟かれん記者が建造物侵入で現行犯逮捕

 

北海道新聞の鳥潟かれん記者が旭川医科大学の建造物侵入で現行犯逮捕された事件。

新聞社が実名報道をしています。

しかしこの件について、記者らが非常識と無知をSNSでさらけ出しています。

記者らが逮捕の必要性がない、公益性があるから犯罪じゃないと暴言

記者らが逮捕の必要性がない、公益性があるから犯罪じゃないとSNSで暴言を吐いていますが、そのおかしさについては上掲記事で論じています。

以下はその後さらに見つかった別の記者らの問題発言。

魚拓  

オルタナ編集長の森摂氏は「前代未聞」などと言っていますが、記者が建造物侵入で現行犯逮捕される例は過去にもあります。

大口病院に無断侵入疑い 雑誌記者ら2人逮捕 神奈川県警: 日本経済新聞

魚拓

毎日新聞記者の松岡大地氏は「説明がほしい」とか言ってますが、まずは自社の記事を読めよと。あと旭川医科大学のHP。現行犯逮捕だから逮捕の必要性は推定されるので。

次項にあるように、旭川医科大学は一般的に学外者の立ち入りを禁止していた上に、同日午後3時50分ごろ報道各社にファクスを送り、新型コロナウイルスの感染防止措置として、記者団の取材に応じる午後6時ごろまでの間、記者を含めた学外者の立ち入りを原則禁止すると伝えていたと報じられているじゃないですか。

旭川医科大学は一般人も含めた入構禁止としていた

旭川医科大学に道新記者が建造物侵入

【重要】【ご来訪者の皆様へ】新型コロナウイルス感染拡大防止のための本学の対応について 2020年12月01日 旭川医科大学

旭川医科大学の昨年2020年12月のリリース。

学外者は原則立ち入り禁止であること、入構時は必ず事前連絡が必要であること、などが明記されています。

私も大学の図書館を利用することはありますが、新型コロナ禍では昨年から学外者は図書館内にとどまって資料を探すことが許されず、事前に検索して予約をして職員に入り口で渡されるという方法が採られています。

2021年6月現在、大学という場所においてはそのような一定の規制がかかっているという認識が一般的になっていると言えるでしょう。

そのため、「旭川医科大学が報道機関にFAXを送ったのが同日午後3時50分ごろで、鳥潟かれん記者が逮捕されたのは午後4時30分頃だから、彼女がそれを知る暇も無かったから…」などという言い逃れはできません。

さらに、医科大学という場所の特性上、新型コロナ禍において無断で立ち入ることの社会的な悪性についても考えなければなりません。

医療機関の感染予防、まん延防止の努力義務

  1. 憲法上、国には公衆衛生の向上維持の努力義務が課せられている
  2. 医療従事者等はさらに感染予防・感染症の発生まん延予防の努力義務が感染症法によって課せられている

感染症法

(国民の責務)
第四条 国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。

(医師等の責務)
第五条 医師その他の医療関係者は、感染症の予防に関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力し、その予防に寄与するよう努めるとともに、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な医療を行うとともに、当該医療について適切な説明を行い、当該患者等の理解を得るよう努めなければならない。
2 病院、診療所、病原体等の検査を行っている機関、老人福祉施設等の施設の開設者及び管理者は、当該施設において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない

感染症法上「病院、診療所、病原体等の検査を行っている機関、老人福祉施設等の施設の開設者及び管理者」に対しては、感染症の発生・まん延防止の努力義務が課せられています。一般の国民にも、一定の努力義務が課せられています。

福祉施設ですら求められているのですから、医科大学においても当然でしょう。

病院棟と事務棟や研究室のみの棟では多少異なる規律になる可能性はありますが、一般的に、医科大学・医学部内の感染対策は厳重にするべき必要性があるはずです。

感染症法逐条解説4訂版42~43頁には以下説明があります。

これらの施設において、入所者、利用者、従業員等に対する施設感染の危険性が指摘されており、施設感染を防止するためには施設管理者等の配慮が必要であり、その旨を入念的に規定したものである。また、病原体等の検査を行なっている機関において、病原体等を取り扱う者については、危険性の高い病原体等を取り扱うことに伴う責任、高度な注意義務を負うことから、当該病原体等に起因する生物テロや事故等による人為的な感染を未然に防止することが求められ、当該病原体等による感染症の発生及びまん延を防止するために所要の措置を講じる必要があることから、その旨を規定するものである。

勝手に医科大学内に入ってくる者のせいで新型コロナがまん延してしまっては問題だから、事前連絡、入構時のチェック等を敷いているにもかかわらず、それをスルーしているのですから、逮捕の必要性が無いとされることは無いでしょう。

鳥潟かれん記者の行為は、法令上求められている「義務」を果たそうとしている旭川医科大学の関係者らの努力を踏みにじるものでしょう。

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