事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

遡及処罰柚木の憲法違反発言!「法律改正して重罪に問えるように働きかける」

柚木みちよし議員・法律改正して重罰とツイート

柚木みちよし議員が池袋自動車事故を起こした飯塚氏に関連して、とんでもないツイートをしました。

柚木みちよし議員「法律改正してより重い刑罰に問えるよう」

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とんでもないことを言っています。

重罪に問うてほしい」ならわかります。

しかし、柚木みちよし議員が行っているのは「法律改正してより重い刑罰に問えるように働きかけたい」です。

これは遡及除伐の禁止・刑罰法規不遡及の禁止に明確に反する言動です。

遡及処罰の禁止を定める憲法39条前段

〔遡及処罰、二重処罰等の禁止〕

第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

さて、憲法39条では「適法であった行為」「無罪とされた行為」「刑事上の責任を問われた同一の犯罪」を対象にしているのに対して、柚木議員は「法改正によって重い処罰を受けさせる」ことを主張しています。

飯塚氏の行った行為は犯罪行為であることは間違いないですが、無罪にもなってませんし、未だ刑事上の責任を問われていません(判決は確定していない)。

「これは遡及処罰の禁止には当たらないのでは?」と考える人が居るとすれば、それは完全に誤りです。

罪刑法定主義による刑罰法規不遡及の禁止の趣旨

刑罰法規不遡及の禁止は、憲法31条の罪刑法定主義から来る法理です。

罪刑法定主義が定められているのは、処罰対象たる行為の内容が予め刑罰法規という形で一般の人々に公示されることによって犯罪予防の効果が期待できるからです。

しかし、行為の後になって処罰対象になる行為が変わってしまうのであれば、人々は安心して行為できず、自由を過度に侵害することになるため、それを防止する必要性があります。これが刑罰法規不遡及の禁止の趣旨です。

そして、刑罰法規には「法定刑」が定められています。

たとえば過失運転致死傷罪なら【自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律】第5条に「七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金」が定められていますから、これよりも重い刑罰を科すことはできません。

仮に、現行の法定刑よりも重い刑罰を科すとすれば、それは行為時に存在していなかった刑罰法規によって罰することになります。

したがって、「法改正によって重い処罰をすること」は、遡って新たな刑罰を適用して処罰することになりますから、遡及処罰の禁止に反する行為なのです。

「法律改正」ごときでは不可能です。

まさか、柚木議員はこの憲法を改正する、とでも言うのでしょうか?

柚木議員は憲法尊重擁護義務を軽視している

さらに、柚木議員は国会議員ですから、上記ツイートは憲法99条の憲法尊重擁護義務に反した言動であるため、その適格性が問われます。

また、「#上級国民 は犯罪も減刑され」と書いてますが、現時点で減刑されたという事実はありませんし、国会議員である柚木議員が「上級国民」と言うことはおかしいでしょう。

このような人間が民間人の原英史氏を「公務員だったら収賄罪相当」と言って野党合同ヒアリングでデタラメの話をしているのですから、たまったものではありません。

以上