事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

毎日新聞のフェイクニュース「麻生氏が処分検討」訂正:取締役小川一Twitterは未だ訂正せず

毎日新聞の麻生処分検討訂正

毎日新聞3月21日東京朝刊

発信に責任を持たない取締役

毎日新聞が誤報を訂正しました。しかし、取締役の小川一は未だ当該ツイートを削除等していません。個人アカウントだが、それがなぜ問題なのかも含めて整理します。

毎日新聞のフェイクニュース「麻生氏が処分検討」訂正文

魚拓:http://archive.is/zPmxu

17日朝刊「麻生氏ぶれる説明」の記事で、佐川宣寿前国税庁長官処分に関して財務省の矢野康治官房長が「麻生氏から指示され、書き換えの可能性を含めて『決裁文書を国会提出した時の担当局長だった』ことも処分の理由にした」と答弁したとありますが、麻生氏が指示したのは決裁文書書き換えについての調査で処分の理由を起案したのは財務省事務当局でした。

衆院財務金融委員会での官房長答弁の確認が不十分でした。

「改ざんの疑いを事前に聞かされていなかったはずの麻生氏が、なぜ『改ざんの可能性も含めた処分』を指示したのか。また新たな疑問が浮上した」の部分は削除します。おわびして訂正します。 

この訂正について、紙面はわずかだがスペースを取って訂正している(これも不十分だと思うが)が、ネットでは新たに記事を建てて訂正してるのではない。なんと、元の誤報記事の下部に追加で「おわび」としているだけである。

この点も含め、ここでは毎日新聞の関係者によるSNSでの発信拡散はどうするの?という問題を論じます。

毎日新聞関係者のツイッターによる発信

取締役:小川一

小川一 on Twitter: "財務省官房長は「麻生氏から指示され、書き換えの可能性を含めて『決裁文書を国会提出した時の担当局長だった』ことも処分の理由にした」と答弁しました。すると改ざんの疑いを事前に聞かされていなかったはずの麻生氏が、なぜ「改ざんの可能性も含めた処分」を指示したのか。 https://t.co/SggsJiiZoU"

ツイッタープロフィール魚拓:http://archive.is/g9cbB

毎日新聞小川一未訂正

毎日新聞取締役という肩書は、ツイッターの認証アカウントのプロフィールに記載があるものである。上記は3月22日の午前3時36分。この時間になっても未だ訂正されていない。

また、このツイートにはリプライ欄に1つもツイートがついていないことから、このツイートに訂正ツイートをしていないことになる。他にも、訂正記事が発行されてからのツイートはいくつもあるが、訂正記事が発行されてからのツイートのリプライ欄に訂正記事が出たことを知らせるツイートがあるにもかかわらず無反応である。

実は、小川氏のツイートしているニュース記事のリンク先に飛ぶと、「ページ下部におわび」という記載がある。「ページ下部」である。

リンク先の下部に謝罪訂正文があるから、ツイートについて訂正削除等する必要がないとでも言うものなら、それは100%違う。見出しで訂正していないと、アウトである。普通の人はまさか過去にさかのぼって記事を見ることは無い。毎日のHPとyahooの社会、政治ニュース一覧を見ても、訂正の記事は無い。そうなると、ネットユーザーからすれば、訂正記事の存在には気づかないということになる。

それに、小川氏のツイートには未だ明確に誤報内容が記載されている。

このような「訂正」態度でよいはずがない。

他の総合アカウント、支社アカウント、個人アカウント

こちらについて私ができる限り調べましたが(50くらい)、該当する記事をツイートしているアカウントは存在していませんでした。ここは毎日新聞の担当部署は対応に苦慮したのだと思います。お疲れ様でした。

毎日新聞の個人アカウントについて

ドメインmainichi.jpのページにこんなページがあります。

魚拓:http://archive.is/BSy90

総合アカウント、支社アカウントに加え、個人アカウントも紹介されています。

個人アカウント ※ツイッターの内容は個人の立場での発言であり、当社の見解ではありません。

わざわざ会社HPに個人アカウントを載せている。認証アカウントと無認証アカウントが混在している。「個人の発言」というキャプションをうってはいるが、ツイッター利用者はこのサイトの存在なんて知らないので、発信は会社のものだと思うだろう。

小川一のツイッタープロフィールには『会社の発信とは関係ありません」などという記載はない。

このような状態は問題ではないか?

私は別に、新聞社に所属している個人の発信が新聞社の訂正にすべて対応すべきという事を言うつもりはない。そんなもの個人の勝手だろう。

しかし、小川一氏の場合は異なる。

  1. 会社HPにアカウントが紹介されている
  2. 自身のアカウントにも会社の役職を記載
  3. 会社の主張と個人の主張が異なる旨を小川氏は記載していない
  4. 誤報ツイートについて訂正していない
  5. 会社の謝罪訂正情報をツイートしていない
  6. 会社が謝罪訂正文を発表していることを知っている
  7. 上記を知ってから相当の時間が経過している

これだけの条件が揃っている状況の中で、誤報が発生しても対応する必要はない、などと言っていいのだろうか?

小細工ができてしまう

例えばである、今回の誤報があったとしても、多数の社員の個人アカウントが訂正前の誤報記事を拡散したとする。この場合どうするのだろうか?

また、英語で海外に発信された場合にどうするのだろうか?

「それは社内規約の問題であって外部がいちいち言うことではない」

という声が出てきそうである。一定程度までは正当な意見だろう。例えば謝罪訂正文の記事をツイートすれば、元の誤報ツイートまで削除するのは酷であろう。特に、数年前のものをほじくり返されるということもあり得るのであり、そこまでの義務を負わせるのは恐ろしいとまで思う。

しかし、上記で示したように小川氏は訂正ツイートで相当の対応を何ら行っていない。

「ここではひとりの記者に戻ってつぶやきます」などとプロフィールに書いているのであれば、なおさら小川氏のつぶやきは「自身のつぶやき」として誤報の責任を取るべきではないか?

会社の対応はどうすればいいか?

私の指摘は、会社の立場から考えるとちょっと困る。

小川氏に元ツイートの訂正・削除や訂正謝罪文のツイートを促すことはできても、それに小川氏が応じる義務は、おそらく法的には無い(取締役の任務懈怠とまで問えるか怪しい)。社内問題として、株主との関係も考慮して決めるという事になるのではないだろうか。

ただ、会社のコントロール下にない行動の社会に対する責任ということになろうが、そういうことは他の場面でもあるはずである。

今回の事例は、あくまで個人の問題であり、会社の問題として論じられるかは微妙な場面かと思われるが、仮に前者であったとしても、記者としての姿勢と情報発信の精度について、眉に唾を付けざるを得ない。

裁判官:岡口基一氏の場合

岡口判事はツイッターで「無惨にも殺されてしまった17歳の女性」などのコメントと2審判決を閲覧できる裁判所ウェブサイトのURLを投稿した。

岡口氏の場合、事実と異なる発信をしていたわけではない。

ツイッタープロフィールはブログの規約違反になるかもしれないので載せないが、裁判官という身分はプロフィール上には書いてない。(もちろん、彼が裁判官ということは名前とツイート内容から判別可能)。

しかし、裁判官という身分で不適切なツイートをしたということで処分を受けている。

彼は国家公務員であるため、あくまで参考にしかならない。しかし、組織に属する者、組織のネームバリューを利用する者としてのあるべき発信の姿勢というものがあるのではないか?

小川一はインターネットメディア協会(JIMA)の発起人

小川氏は「インターネットメディアの信頼性向上を目指す」ために「インターネットメディア協会」(JIMA)を立ち上げた発起人の1人です。

自社のフェイクニュースは放置しても問題ないという認識なんでしょうか?

JIMAという組織は2018年6月に正式発足するようですが、このままでは先が思いやられます。

毎日新聞の対応の問題点まとめ

  1. 紙面での訂正にかけるスペースが不十分
  2. WEBにおいて訂正のための記事が存在していない
  3. 訂正は誤報記事の下部にあり、そこまで目を通す者は少数
  4. SNS拡散によって未だに誤報の情報が存在する
  5. 取締役小川一への削除依頼が不徹底か?

以上