ポプテピピック最終回12話のTHE AGE OF POP TEAM EPICの隠しネタ考察です。
隠しテーマは「クソゲー・クソマンガ×名作」「巡る」「ステマ」。
デスクリムゾン
OPの表現は全て1997年に発売されたエコールソフトウェアの「デスクリムゾン」。「クソゲー界のキング」などと呼ばれる。エンドロールを見れば分かるが、エコールソフトウェア自身が制作に協力している。
ちなみに所在はぶくぶ先生の出身と同じ「兵庫県西宮市」
新出ワードのオンパレード
委員会のセリフで意味不明な用語が出てきたので解説。
英語、フランス語、ギリシャ語、専門用語があったので大変でした。
エヴァンゲリオン的な用語
委員会がオマージュしている名作アニメ「エヴァンゲリオン」の作中では意味深な用語が連発されていたことから中二病表現の典型としてネタ扱いされていたりする。監督の庵野自身が後に「衒学的」と自評したように、知ったかぶりの用語使用が連発される様を皮肉った描写。エヴァ以降、クソゲー・クソマンガによくある要素として、或いはそのような展開があるとクソマンガという認定がされることとなった。
最近だと名作RPGファイナルファンタジー13の「パルスのファルシのルシがコクーンでパージ」が有名。初めて聞く横文字の設定用語が複数出てくる点でエヴァよりもたちが悪い。
用語の具体的な意味
覚える必要は全くないですが、中には重要な用語があるので一応調べました。ここから妄想がはかどる人がいるのかもしれません。
ポワゾンモルテル
poison mortel(フランス語)猛毒、致命的な毒
ニヒリティファース
nihility face(faceはフランス語読みnihilityはnihilitéとなる):虚無の顔、無価値な顔
ミソロギア
μυθολογία(mythologia):神話
シュリンカーセデーション
shrinker sedation:精神鎮静
アルケー
αρχη(arkhē):根源
暗闇はなく、無知があるのみ
シェイクスピアの小説「十二夜」に登場する道化の台詞" there is no darkness but ignorance,"の和訳。ポプテピピックの宣伝文句としても使われた。名作のオマージュにクソゲークソマンガのパロディにというクソを被せてくる暴挙だと思います。
作中の意味は固まってませんが、概ねの理解としては「暗闇というのは無知であることから生まれるのであり、知識・知恵を得ることが人を救う」というような意味だと思います。
更に、ここではもう一つの意味も含まれていますが、それは後ほど触れます。
アペイロンスポーン
Apeiron spawn:アペイロンとは限定されないもの、無際限無限定な量のこと。アナクシマンドロスが紀元前6世紀に提唱した宇宙論の中心的概念。スポーンとは卵、ゲームなどで再び生まれてくる(リスポンなどと言われる)・生成されるという意味。よって、アペイロンスポーンで無限生成、という意味っぽいです。
シュロム
surhomme(仏):超人
レアキング
「学習」という意味であるという指摘があるが未確認。
マクベスレコード
マクベスというシェイクスピアの戯曲があるので、それについてのレコード(記録、記憶)なのでしょう。
デコヒーレンス・ザナドゥ
Decoherence Xanadu:ザナドゥはこの場合、桃源郷(理想的な地)という訳が適切か。デコヒーレンスとは、量子力学において「量子力学的重ね合わせ」と呼ばれる状態が外的要因によって破壊され、量子上の情報が失われる現象のことである。
平行励起した
parallel excitationの和訳。多分物理学か量子力学用語と思われる。
ハムレットの死神
シェイクスピアのハムレットが元ネタ。作中に死神が出てくるという表現がある事からと思われる。
心の大樹と天使にラブソングを
挿入歌「心の大樹」は、手拍子のリズムや神妙な調子からのポップな曲調への変化、「こーろーすーぞー」の音から、名作「天使にラブソングを(原題:Sister Act)の"Hail Holy Queen"のオマージュ。
この映画はとにかく「あらゆるモノを超えたナニか」なので、必見だと思います。
そんな名作にあの歌詞を被せるという暴挙。
巡る
最終回ではピピ美が石化した世界から時間を巡って再度挑戦することでハッピーエンドとなりました。この「時間を巡る」という要素は前回予測でも考察しました。その他の予測も当たったものが含まれています。
プッチ神父の「メイドインヘヴン」
そして、この要素が最も表れているのが再放送Verでキングレコードに攻め入った際のピピ美のセリフ「メイドインヘブン」。元ネタは荒木飛呂彦原作、ジョジョの奇妙な冒険第6部「ストーンオーシャン」のエンリコ・プッチ神父の能力(ピピ美が石化したのはブゥ編のベジータかと思いきやここからという面もあるかも)。再放送の声優である速水奨さんは、『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』、中田譲治さんは『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』でいずれもプッチ神父の役を演じています。
メイドインヘブンは「時間を極限まで加速させることで宇宙を一巡させる」というとんでもない能力です。実際にジョジョの世界では宇宙が一巡しました(な、なにを言ってるかわからねーと思うが…略)。
蒼井翔太のセリフは「時を自由に行き来することができる」であって、「時をさかのぼる」ではありませんでした。向かった先は過去ではなく、一巡後の世界ということも考えられます。だからこそ再放送Verの展開が基本的には同じであるのに、ところどころ異なるという現象が起きているのだと思われます。この辺りはセリフ回しが相当練られています。
これは、単なるループ(時が巻き戻ってもう一度同じ経験をする)というものとは異なり、「時が加速した結果、一巡した世界を経験する」という別の意味なんだろうとおもいます。
……どうでもいいわ。
蒼井翔太
衣装は日本武道館でのライブ『NANA MIZUKI LIVE GATE 2018』にて水樹奈々と共演した際のもの。
蒼井翔太さんは、巡り巡って10年という歳月を隔ててキングレコードに戻ってきたという経歴の持ち主です。
蒼井さんは2006年に「SHOWTA.」としてキングレコードから歌手デビューするも、自身の夢であったアニソン歌手・声優を目指すため事務所を辞めフリーに。その後、アーティスト・声優事務所の「S」に所属し芸名を現在の「蒼井翔太」に改めました。11年に声優デビューし、アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪」美風藍役などで人気を得ると、13年にはブロッコリーのレーベル「b-green」から再度歌手デビューを果たしました。蒼井さんが移籍するのはキングレコードの再編により今年新設された「キング・アミューズメント・クリエイティブ本部」。前身のキングレコード「第三クリエイティブ本部」と「スターチャイルド」が統合された部署
「戻ってくる」という要素を表すために、蒼井翔太さんは最も適任であったということになります。そして、視聴環境によっては、Aパートの終了後にちゃっかり宣伝もしていました。(「いや、それステマどころかダイレクトなんですが」というところまでがテンプレート)
蒼井翔太実写出演→(Aパート)エンディング→蒼井翔太新曲CM
— みるく (@utaprirodeo0811) 2018年3月24日
この流れはなかなかエグい(笑)#ポプテピピック #蒼井翔太 pic.twitter.com/kmrtoXLMlg
長野せりな
そして、少女B役の「長野せりな」さんも「戻ってきた人」です。
元は女性アイドルグループ「アイドリング!!!」で芸能活動をしていたのですが、卒業後に声優を目指し、修業期間を経て表舞台に戻ってきたという経歴があります。
「暗闇は無く、無知があるのみ」
この原義は既にふれましたが、アニメ・ポプテピピックでは別の意味があります。
それは「一見意味不明な表現であっても、全てに意味がある。意味不明だと思うのは元ネタを知らないと言う無知のせいであり、隠し要素を知らないという無知のせいでもある」という意味。何気ない描写などにも元ネタや隠し要素があるということです。それはポプテピピック制作陣への取材記事などでも垣間見えます。また、本当に元ネタが不明であっても、「原作が元ネタ」と言うこともできます。
翻って、それはこのブログでポプテピピックの「隠しネタ」を考察してきた根拠でもあります。「一つ一つの具体的な元ネタ」は確かに存在します。しかし、それだけではパロディの羅列になってしまう。それでは面白くない。そこで「なぜそのネタ(或いは描写)が用いられているのか?」について考える必要があるのではと思いました。
実際に検討してみると、一つ一つの元ネタには特定の要素と関係しているものが含まれていることがわかりました(必ずしも全てではないですが)。そして、その要素の点と点を繋ぎ合わせれば線になり、それが面になるという現象がありました。
もちろん、これらは具体的な元ネタがベースであることには変わりありません。
私以外に元ネタを収集していたブロガーのみなさんが居なければ、隠しネタに気付くこともなかったと思いますので御礼申し上げたいと思います。
ステマ:円盤買えよ
蒼井翔太さんがAパート終了後に新作のCMを打たれていたように、ポプテピピック自体がCMになっているという事に気づきます。視聴者の中にも「ポプテピピックの元ネタを追っているうちに、元ネタにどっぷり漬かってしまった」「元ネタグッズを買ってしまった」という人も居たことでしょう。
「委員会」の再放送時のセリフでも「円盤売上初週4000枚」というセリフがあったように、円盤というワードを視聴者に刷り込む意図ががプンプン伝わってきます。
さて、速水・中田が配役をしていたこともあるプッチ神父の能力は元々は「ホワイトスネイク」。相手から能力を奪い、自分の物とする際に描写されるのはDISC。つまり円盤。
要するに、速水・中田のメイドインヘブン要素は「ポプテピピックの円盤買えよ」という壮大なステマだったという事だと思います。
神代文字が登場するアニメ#ポプテピピック pic.twitter.com/fhyjkO5HvO
— 40Nix (@40Nix) 2018年3月25日
自分が何のアニメ見たかわかっとんのか……
わかっとんのかー!!
円盤買えよ……
円盤買えよ!!