事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

立憲民主党「安倍の国葬反対!追悼演説させろ!」⇒甘利明氏になったのは衆院ルールに基づく明恵夫人の意向でした

こんなのが野党第一党だという現実

立憲民主党西村幹事長「安倍氏追悼演説は立民が行うべき」

安倍氏追悼演説 西村幹事長反発「立民が行うべき」 - 産経ニュース

立憲民主党の西村智奈美幹事長は26日、8月3日召集の臨時国会で、自民党の甘利明前幹事長が安倍晋三元首相の追悼演説を行う方向で同党が調整に入ったことについて「追悼演説は他党の議員が行うのが通例だ。自民党のための追悼演説なのかと言わざるを得ない。再考してもらわなければならない」と反発した。党本部で記者団に語った。

西村氏は「通常でいえば野党第一党である立憲民主党から追悼演説者が出たのではないか」と述べ、立民議員が追悼演説を行うべきだとの考えを示した。また「選ばれる方が『政治とカネ』をめぐる問題のある甘利氏だとすれば、何重もの意味で故人の弔い方としてはよくない」とも語った。

立憲民主党の西村幹事長が「安倍氏追悼演説は立民が行うべき」と主張しています。

ちょっとこの主張はおかしいだろう。

なぜ追悼演説は甘利明氏に?衆議院理事会の申し合わせと明恵夫人の意向

昭恵夫人が「盟友」の登壇希望…安倍氏追悼演説に甘利氏 : 読売新聞オンライン

党関係者によると、安倍氏の事務所が昭恵夫人の意向を確認したところ、甘利氏の登壇を希望したという。衆院議院運営委員会理事会は1998年1月、「遺族の意思を尊重」して演説者を決めると申し合わせている。

追悼演説は、現職議員が死去した際に行われる。中選挙区時代の首相や首相経験者が亡くなった場合には、野党第1党の党首が演説を読むことが通例だった。一般の議員についても、同じ選挙区の他党議員が行うことが原則とされていた。いずれも党派を超えて哀悼の意を表するためだ。

 小選挙区制に移行すると、一つの選挙区から選出される議員は1人となり、他党の議員は比例選で復活当選した場合を除けば、いなくなった。このため、同じ政党の議員が追悼演説を読むことも多くなった。2018年から今年までの5年間に衆院本会議で行われた追悼演説は5回。21年に亡くなった竹下亘・元復興相の追悼演説を小渕優子・元経済産業相が行うなど、いずれも死去した自民議員への演説を自民議員が担当した。

 今回、自民が党内で候補者を探したのは、このような事情に加え、立憲民主党が安倍氏の「国葬(国葬儀)」に反対していることも念頭にあったとみられる。高木氏は26日、立民の馬淵澄夫国対委員長と国会内で会談し、追悼演説を8月5日に行いたいと提案したが、馬淵氏は「国葬について政府の説明責任が果たされていない中で行うのは筋として通らない」として受け入れなかった。

  • 衆院議院運営委員会理事会が1998年1月依頼、遺族の意思を尊重して追悼演説者を決めると申し合わせをしていた
  • 今回、明恵夫人が安倍晋三氏の盟友の甘利明氏を追悼演説者にする意向を示した

これらが安倍元総理の追悼演説者が自民党所属の衆議院議員である甘利明氏になった理由とされています。

どうやら「追悼演説者は野党第一党議員が行う慣習」とやらは中選挙区制の頃の話のようで、「同じ選挙区の他党議員が」という事だったようです、小選挙区制になってからは変化があり、同じ党所属の議員による追悼演説も多くなったということですが、実際にそのようです。

追悼演説 - Wikipedia

なお、参議院では2012年には民主党の大石尚子議員の哀悼演説が同党の輿石東議員によって行われたケースが確認できます。

泉健太代表など立憲民主党幹部らは「安倍の国葬反対!」と言っていた

立憲民主党の泉代表や西村幹事長などをはじめ、幹部議員らが「安倍の国葬反対!」と言っていたことは、自民党議員による追悼演説が行われることについての納得感が増す事情と言えるとは思います。

葬儀の形態をどのようにするかということと臨時国会を召集しての追悼演説をどうするか、という話は、理屈の上では別々の問題です。

しかし、国葬儀ではなくグレードダウンさせた形態で行うべきだという主張をしている者らが追悼演説を行いたいと申し出るというのも奇妙な話でしょう。

他党議員が演説する方が国会としての意思を示す意味ではより望ましいということを説明したのかどうかは気になりますが、衆議院のルールに基づいて遺族の意向を確認した以上は、それを尊重すべきでしょう。

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