事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

青野慶久「自民党は弁護士の声を無視し続けた結果、何が起きたか認識せよ」⇒オウム真理教への破防法適用に反対した弁護士組織の声とは?

サイボウズ青野慶久

日本国民の主権・生命身体財産を脅威に晒そうとする【弁護士の声】など無視すべき。

サイボウズ青野慶久「自民党は弁護士の声を無視し続けた結果、何が起きたのか認識せよ」

サイボウズの青野慶久 氏が「自民党の国会議員は弁護士たちの声を無視し続けた結果、何が起きたのか認識した方がよい」とツイート。

「いったい何が起きたのか」の意味するところはこのツイートでは明らかではありませんし、Twitterアカウント上の発信を遡ってみても良くわかりません。

この発言は東京弁護士会が安倍元総理の国葬反対撤回を求める会長声明をシェアする同会のツイートを引用してなされていますが、東弁の主張は政治的主張に過ぎず粗雑なものであることについては以下で書いています。

オウム真理教への破防法適用に反対した弁護士組織の声を聞いた結果⇒勢力を再拡大

それにしても「弁護士の声」とは何でしょうか?

オウム真理教への破防法適用による解散指定処分に反対した弁護士組織として日弁連や自由法曹団がありますが、彼らの声を聞いた結果、いったい何が起きたのか。

アレフやひかりの輪など後継組織が今でも活動しており公安の調査対象になる程度には趨勢を保っています。宗教法人オウム真理教の解散命令によって勢力が縮小したかに見えましたが、破防法適用による解散指定処分がなされなかった結果、勢力が回復しました。

第145回国会予算委員会第二分科会第1号平成十一年二月十七日

○横内分科員 自民党の横内正明でございます。
 私は、オウム真理教の問題について御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 あの日本を震撼させたオウム真理教事件が発生して約四年たつわけでございまして、この一連のオウム真理教事件によって殺害をされた死者は二十六人、そして現在でも五百名から六百名の人がいわゆるサリン中毒の後遺症で苦しんでいるというふうに言われております。
 その事件があった後に、教祖の松本智津夫を初めとして実行犯である信者四百二十八名が逮捕されまして、裁判に付せられております。また、教団に対して破産の手続が進行して、ほぼ完了しているわけでございまして、そういういろいろな教団に対する手続が進みましたから、一時期は国民だれしも、これでオウム教は力が低下していくであろう、問題はなくなるであろう、そういうふうに思ったわけでございます。しかしながら、案に相違しまして、その後教団は再び復活し、特にここ一、二年は大変に活動的に勢力を拡大してきているという状況でございまして、全国各地に約三十数カ所あると言われておりますが、全国各地に進出をして、その地域の住民とか地元とさまざまなトラブルを生じているという状況でございます

~省略~

○木藤政府委員 お答えを申し上げます。
 オウム真理教は、平成九年一月の公安審査委員会による規制請求棄却直後から、着実に組織や施設の拡充強化を図っておりまして、現在、長老部などの十五の中央部署を擁しておるほかに、これら中央部署などを配置した拠点施設や支部、道場などを次々と増設しておりまして、教団施設は十七都道府県三十四カ所に及んでおるのでございます。
 こうした教団施設をめぐりましては、各地において、周辺住民らとの間で紛争がますます活発化するという様相を呈しておりまして、これら三十四施設のうち合計十六の施設におきまして、訴訟の提起や施設に反対する住民組織の結成など紛争事案が発生しておるところでございます。
 こうした背景には、教団が合計十八の関連企業の事業収益から多額の活動資金を得て財政基盤を強化しているということがあると認められるのでございますが、中でも、資金獲得の中心的役割を果たしておりますのがパソコンの販売事業でございまして、これによりまして、昨年一年間において総売り上げが七十億円を超えるものと推計されております。それによって、教団側は相当額の収益を得ているものと思われるところでございます。
 一方、活動面におきまして、五百人以上の出家信徒と多数の在家信徒の活動が認められておりまして、これら信徒が全国各地で布教宣伝活動ないしは資金調達活動に携わっておるところでございます。
 また、平成七年三月の地下鉄サリン事件など一連の事件で逮捕、送検された四百人を超える信徒のうち、これまでに百七十人が教団に復帰したという事実も確認しております。
 このように、オウム真理教は着々と組織再興を図って活発な活動をしておる現状にあるわけでございます。

日弁連や自由法曹団は破防法の規定そのものが違憲だと主張していた

【声 明】自由法曹団 オウム真理教に対する破防法の適用棄却に関する声明

二 自由法曹団は、今回の破防法の適用を認めるか否かは、わが国の自由と民 主主義の将来に対し、きわめて重大な影響を持つものであるとの認識に立って、 反対運動を行ってきた。 公安審査委員会が、結論として、適用請求を棄却した ことは当然とはいえ、審査委員会の委員諸氏が法の厳格な適用として正しい結論 に達したことを評価するものである。 同時に、違憲の破防法を、なにが何でも 適用すべく、申請を強行した村山前首相、法務省及び公安調査庁の責任が厳しく 問われなければならない。
破防法の適用を許さなかった要因として、第一に、破防法制定時の反対運 動の大きな盛り上がりによって、適用条件が厳格に制限されていたことがあげら れる。 第二に、わが国の民主主義の成熟により、その政治的立場にかかわらず 、公安審査委員が、厳格に要件を検証しその適否を判断した結果であること。 第三に、何よりも、オウム真理教による様々な犯罪の存在にかかわらず、自由法 曹団をはじめとした多くの個人・団体による署名・集会・申し入れ等の地道な運 動の成果である。
今回の決定で「団体性」や「政治目的」が肯定されていることは大きな問 題である。これらは安易な拡大解釈であって、とりわけ「政治目的あり」とした ことは、戦前の治安維持法裁判の歴史的な教訓に背を向けるものである

~以下省略

まず自由法曹団は破防法制定時の議論において、解散指定処分の適用要件が厳格になるよう申し入れ等をしており、オウム真理教に適用されなかったのはその成果だ、とまで言っています。

「要件が厳格」というのは、破防法7条の「暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれ」の「明らかなおそれ」の部分です。

結局公安審査会は棄却決定にあたって、摘発が進まないと危険性は高いままだが証拠が集められない、しかし、摘発が進むと証拠が集まっても危険性は薄まってくると評価されるような判断を示しました。

公安審査会の棄却決定の理由を見ると、自由法曹団や日弁連の「声」を聴いた結果だということが分かります。

しかも自由法曹団は「団体性」や「政治目的」の認定にも文句を言っています。

「団体性」とは、「団体の活動として…暴力主義的破壊活動を行い、若しくはその実行に着手してこれを遂げず、又は人を教唆し、若しくはこれを実行させる目的をもつて人をせヽ んヽ動して、これを行わせた団体」です。

それが充足していない、というのは、地下鉄サリン事件のオウムの責任を無いものとする主張です。

日弁連 破防法適用棄却決定に対する声明

ところで、当連合会は、破防法に基づく団体規制の適用には、憲法上の観点から今後とも反対するものであり、従って今回の決定が実体審理に基づく棄却の決定であることは不十分なものであり、法適用を否定し、請求自体を却下すべきであったと考える。

日弁連は「オウム真理教への破防法の(解散指定処分の)適用」ではなく「解散指定処分という手段があることそれ自体」に反対しています。

つまり、どんなに組織的にテロ行為を行って国民を殺した団体であっても、解散させる(団体に法的な主体としての権能を認めない)ことはいかなる場合にも反対する、という主張をしているということです。

国民の生命身体財産を外国勢力の脅威に晒そうとする東京弁護士会

安倍晋三元内閣総理大臣の「国葬」に反対し、撤回を求める会長声明|東京弁護士会魚拓

4 当会は、安倍元首相の在任中に行われた教育基本法改正、イラク特措法の延長、教育三法改正(以上第一次安倍内閣)、特定秘密保護法制定、労働者派遣法改正、集団的自衛権行使を容認する閣議決定、安全保障関連法の制定、共謀罪の制定、検察庁法の改正(以上第二次安倍内閣)等について、立憲主義及び憲法の基本理念に反するという立場から反対する旨の会長声明等を繰り返し発出してきた。特に集団的自衛権の容認と安全保障関連法の制定については、当会を含む全ての弁護士会が一致して明白に違憲として反対し、現在もその廃止を求めている。それにもかかわらず、これらの安倍内閣の各政策を国に対する功績と評価して安倍元首相の「国葬」を行うことは、立憲主義及び憲法の基本理念を揺るがすものであり是認できない。

青野氏が引用していた東京弁護士会会長声明はどうだったか?

安全保障関連法の制定、集団的自衛権行使容認を明確化する閣議決定、テロ等準備罪の制定にすら反対していました。

我が日本国民の生命身体財産を、主権を外国勢力の脅威に晒そうとする【弁護士らの声】など、無視するのが正しいでしょう。

以上:はてなブックマーク・ブログ・SNS等でご紹介頂けると嬉しいです。