事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

朝日新聞がホザナハウス森康彦牧師の覚醒剤記事を削除した理由の分析:過去の覚醒剤報道の調査

都合が悪いんでしょう。

朝日新聞がホザナハウス森康彦の覚醒剤記事削除

朝日新聞と毎日新聞が、NPO法人ホザナハウスの代表理事である森康彦牧師が覚醒剤使用容疑で逮捕されたという報道記事を逮捕から一か月も経たないうちに削除した事案。

神戸弟子教会が「神の律法に反したため」として免職していることや、集英社の詳細報道記事がそのままであることから、事実誤認があったというわけではないと思われます。

また、朝日新聞デジタル版の検索対象は通常、過去5年以内の記事と設定されることとなっているところ、その期間を徒過したわけでもありません。

そのため、なぜ削除したのかが疑問なので、他の可能性(たとえば覚醒剤事犯の報道は早めにデジタル版から削除する方針・忘れられる権利や名誉を守るための特別措置など)があるのか判断するために、朝日新聞デジタルの過去の覚醒剤関連報道記事を遡れる分だけ調査しました。

なお、デジタル版のみの調査であり、紙面版は検索していませんが、「紙面掲載記事」と書かれている記事がデジタル版でも見れる場合があります。

朝日の覚醒剤報道の調査:密輸や栽培製造には厳しい

覚醒剤やコカイン、民泊拠点に密売か 男女9人を逮捕 有料記事 加治隼人 2022年2月25日 20時30分朝日新聞デジタル魚拓

「探せるもんなら探してみろよ」 白い粉、出てきた場所は 横山輝 2022年1月14日 12時59分朝日新聞デジタル魚拓

民族衣装のボタンに覚醒剤 1.6億円分隠して所持容疑 2021年8月18日 14時58分朝日新聞デジタル魚拓

これらは密売容疑にとどまらず密売の可能性のレベルでも実名報道です。

背後に組織の存在が疑われ、広がりがあり得る事件だからでしょうか?

大麻草550株を押収、今年最多 栽培容疑の6人逮捕 2020年11月28日 17時25分朝日新聞デジタル魚拓

大麻栽培でも一般人が実名報道。覚醒剤は所持容疑でした。

覚醒剤に変えられる液体所持容疑 5億円分製造可能な量 2018年2月22日 5時00分朝日新聞デジタル魚拓

「製造可能性」のレベルであっても、一般人も実名でした。

公人外国人芸能人報道・テレビ人有名人・大企業社長などは実名か

中学校教諭が覚醒剤所持した疑い 市教育長「前代未聞」2021年7月13日 9時01分朝日新聞デジタル(魚拓)

教員は公人だから実名報道ですね。

他の記事でも、警察官や官僚など公人は実名報道でした。

コロナ感染で療養中に行方くらました男逮捕 覚醒剤容疑 2021年6月30日 12時30分朝日新聞デジタル魚拓

これは「コロナ感染で療養中に…」という事情は抜きにして、単に外国人なら実名で報道されやすいということと思われます。夥しい数の外国人による覚せい剤関係の事件報道記事がヒットしていました。

「Supreme」販売会社代表、覚醒剤所持容疑で逮捕 2020年12月23日 10時37分朝日新聞デジタル魚拓

大企業の社長という一般人だが社会的地位のある有名人。

読売新聞の記者、覚醒剤使用容疑で逮捕 検査で陽性反応 2020年2月4日 11時35分朝日新聞デジタル魚拓

役職の無い一般人だが、報道界隈の記者ということで実名報道。

かつてのNHK「歌のおにいさん」、大麻所持容疑で逮捕 2019年11月8日 21時38分朝日新聞デジタル魚拓

1996年4月から3年間、近畿ブロックで放送されていた教育テレビの番組「うたってワクワク」で「歌のおにいさん」として

30年前に3年間だけ、しかも近畿ローカルの出演に留まっていた人物ですが、実名。

テレビ界隈の出演者(主演)は別扱いなのか?それとも芸能人に準じた有名人扱いなのだろうか?

逃走の男から覚醒剤の陽性反応 潜伏先で注射器見つかる2019年6月25日 13時25分朝日新聞デジタル魚拓

神奈川逃走の容疑者「覚醒剤抜きたかった」 検査は陽性 2019年7月5日 12時59分朝日新聞デジタル魚拓

一般人の実名報道。実刑判決確定犯が刑務所に収容される前に逃走し、公務執行妨害や犯人蔵匿事件も関係。

暴力団と関係か 神奈川、逃走の容疑者有料記事2019年6月23日 5時00分朝日新聞デジタル魚拓

関係があることが確定ではなく、そういった情報も寄せられていた、というレベルで一般人の実名報道。

AV女優ら覚醒剤所持の罪で起訴 コカインなども押収2018年3月17日 19時08分朝日新聞デジタル魚拓

芸能界枠?有名人枠?かわかりませんが、AV女優の事案では所持なだけで実名報道。

AV女優としての名前も掲載されています。

なんとなくですが、背後関係が疑われていたのではないかと思われます。

一般人の実名報道が無いパターン:未成年や誤認させる行為など

逮捕少年の母親、麻薬使用の疑いで再逮捕 大津小1死亡 2021年11月25日 19時30分朝日新聞デジタル魚拓

一般人の実名無し報道のパターン。

ネットに「シャブほしい人」投稿容疑 店員を書類送検 2021年5月12日 19時08分朝日新聞デジタル魚拓

「シャブ」という名前は出してはいるが実は嘘のパターンの事件。

一般人の実名無し。

「覚醒剤」実際は氷砂糖 大学生、購入そそのかした疑い 藤田大道2020年9月18日 0時00分朝日新聞デジタル魚拓

覚醒剤と誤認させる行為。一般人の実名無し。

例外とみられる事案:捜査手法が特殊・被害者が有名人だから?

覚醒剤所持の疑い、女子大学生を逮捕 コロナで一時帰国 2020年5月15日 12時00分朝日新聞デジタル魚拓

女子大生、覚醒剤は「ミントです」 実際中身入れ替わる 有料記事 2020年5月15日 19時21分朝日新聞デジタル魚拓

この事件は一般人による覚せい剤所持容疑の事案ですが、実名報道です。

警視庁が中身を途中で入れ替えて発送をする「クリーン・コントロールド・デリバリー(CCD)」捜査を進めていた、という事情が特殊であるために実名報道されたのでしょうか?

元妻を殺人罪で起訴 覚醒剤取締法違反も 資産家事件 有料記事2021年5月20日 5時00分朝日新聞デジタル魚拓

被害者が有名な上級国民(紀州のドン・ファン)であることと殺人罪との合わせ技で 非常に多く報道された事件ですが、犯人である元妻に覚醒剤の容疑が後に出て来たという事案。

犯人の「元妻」は一人のみのため特定できる話だが、被害者が付き合っていた女性が多数に渡るために人違いを防ぐため、犯人の実名を掲載した?という推測を一応立てることは可能と思われますが、これも「有名な事件だから」という話題性が理由ではないか?という気がします。

熊本で逃走の容疑者が出頭 警察官3人負傷させ指名手配 2019年7月14日 12時34分朝日新聞デジタル魚拓

一般人でも指名手配犯や逃走犯は実名のようです。

出頭後逃走の被告、覚醒剤所持容疑で再逮捕 大阪府警 2019年12月13日 10時18分朝日新聞デジタル魚拓

なお、不起訴や無罪判決について
一般人で別事件の容疑者は実名で不起訴報道

無罪判決時には匿名報道魚拓

こういうパターンが多かったです。

朝日新聞の覚醒剤、薬物関係の犯罪の実名報道に見られる準則

朝日新聞の覚醒剤、薬物関係の犯罪の実名報道にみられる準則は以下のようにまとめられます。

実名報道される事件

  • ヤクザ・暴力団絡み
  • 公人、外国人、芸能人、有名人、報道人、テレビ人(30年前数年であっても)、それらに準じる立場の者
  • 密輸、栽培、製造に関する事件
  • 指名手配犯、逃亡者、公務執行妨害
  • 他の犯罪容疑がある事件
  • 不起訴時の報道

実名報道されない事件

  • 未成年
  • 一般人であって所持・使用のみの事件(背景事情が悲痛なものなどがある場合に、報道自体は為されているとみられる)
  • 薬物の名前は出ているが、実際には存在しない虚偽の事件
  • 無罪判決時の報道

当然ですが、これらの実名報道記事は、事件や記事掲載から数年が経過している現在でも記事が残っており、検索でもヒットしているということです。

こうした準則の観点から、ホザナハウス森康彦氏の覚醒剤使用記事の削除事案を考えていきます。

少年の更生施設を運営するNPO法人の代表理事且つ牧師であり元ヤクザの森康彦は…

森康彦氏の属性を挙げていきます

  • 一般人
  • 複数メディアで取材された際の記事が報じられている
  • 元ヤクザ(指定暴力団の組員幹部)
  • NPO法人代表理事
    ⇒少年の更生施設を運営:虐待や薬物使用などの事情を抱える少年少女らを支援する活動。自立援助ホームなど8か所の施設を運営
  • 牧師
  • 薬物絡みで暴力団から破門された

元ヤクザ」という異例の経歴がクローズアップされて複数のメディアで名前が見られた森康彦氏ですが、朝日新聞としては実名報道をするべき方向性に傾くであろう要素が満載であると言えます。

ヤクザ・暴力団関係の記事は実名報道されることは前述の通りで、ずっと記事が残っています。

で、牧師という宗教者という属性に関しては、以下の記事があります。

薬物乱用防止の講師認定の住職、覚醒剤使用容疑で逮捕 枝松佑樹2018年11月9日 17時23分朝日新聞デジタル魚拓

住職は、同じ宗教者ですよね。これもその属性が無ければ単に一般人による覚せい剤使用の事件です。

もっとも、この件は「薬物乱用防止の講師認定を受けている者」による使用事件という要素が影響した可能性があります。

しかし、そうすると、「薬物使用などの事情を抱える少年少女らを支援」していた森康彦氏もそれに類似した状況にあるので、一か月も経たないうちに記事が削除されたことは不可解です。

……

続けます。

体内に母親の尿仕込む? 女を逮捕 覚醒剤検査で偽装か 2018年7月2日 14時41分朝日新聞デジタル魚拓

これは覚醒剤使用を調べる尿検査で、母親の尿を体内に仕込んで偽装しようとしたとして証拠隠滅教唆の疑いで逮捕された事案。

なんら社会的な肩書も無い一般人による使用容疑の事件です。

これが実名報道された理由を考えてみると、「捜査機関を欺こうとした」という点しか思い浮かびません。「なにしてくれてんだコラ」みたいな雰囲気を感じます。

とすると、ホザナハウスの森康彦も集英社の報道によれば『点滴を打ってきたから(陽性反応は)出ないよ』『残念でした〜』などと、捜査機関を欺く行為をしていたようなのですが、ならば一か月も経たないうちに記事が削除されたことは不可解でしょう。

ここまで来たら、朝日新聞が極短期間のみの掲載で削除したのは、SNS発で不正会計疑惑が取りざたされている一般社団法人Colaboの活動について、都への住民監査請求が通ったことなども含めてメディアが報道に消極姿勢であり、Colaboの活動に森康彦氏が関与していたことなどが、『なんらかの理由に寄り』都合が悪いから?という可能性が出て来るのは不可避でしょう。

まとめ:ホザナハウス森康彦牧師の覚醒剤記事削除の理由には合理的な説明ができない

まとめると、朝日新聞が【元ヤクザで薬物絡みで破門されたが薬物使用などの事情を抱える少年少女らを支援しており、NPO法人ホザナハウスの代表理事、リバイブハウスの監事など複数の施設を運営し、メディア媒体に活動が取り上げられた回数も多数である森康彦牧師】の覚醒剤使用に関する記事を削除した理由は不明であるものの、過去の報道記事が残っていることからは、合理的な説明ができないと言えます。

他の事案の報道を見ても、報道対象者=犯人の忘れられる権利や名誉を保護するためという理由は伺えず、【話題性】や【捜査機関のメンツ】の方を重視しているように映ります。

こうした不合理な態度は、「犯人の実名報道」「被害者の実名報道」においても同様で、過去の事案をまとめています。

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