事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「バッハ広島訪問時の警備費負担なし!」⇒広島から訪問要求、「1泊300万!」⇒全額IOC負担:「ぼったくり男爵」の捏造

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メディアとSNS民の合作による倒錯空間。

「バッハ広島訪問時の警備費負担なし!」

バッハ氏の広島訪問警備費負担、IOCと組織委が拒否 広島県と市が全額折半(中国新聞デジタル)8/12(木) 6:00配信- Yahoo!ニュース

バッハ氏広島警備費 県と市折半 - Yahoo!ニュース

バッハ会長が広島を訪問する際の警備費用が広島県と広島市の折半であり、IOCはまったく負担していないということを問題視する記事が出ました。

バッハ氏訪問の経緯を無視して。

広島から訪問要求していた

中国新聞デジタル 広島県、要望全て実現を評価 バッハ会長広島訪問、知事と副市長が出迎え【インサイド】 2021/7/16 22:57 https://archive.is/3Hhki

中国新聞デジタル バッハ会長の広島訪問、世論批判で意義かすむ 広島県は実現を評価、広島市長は「黒い雨」公務優先 7/17(土) 8:00配信 yahoo https://archive.is/PZHsH

上掲記事はタイトルが異なりますが両方とも同じ内容です。yahoo配信側では、なぜか「(岡田浩平、久保田剛、長久豪佑)」というクレジット表記が消えてますが。

広島側から訪問要求していたわけです。

知事記者会見(令和3年4月20日) - 知事記者会見の一覧 | 広島県

報道によるとIOCのバッハ会長が,広島市の聖火リレーの関連式典にあわせて広島を訪れるとのことですが,バッハ会長にどのような発信を期待されますでしょうか。知事の受け止めをお願いします。

 (答)
 訪日の意向は承知しているところでありまして,〔バッハ会長が〕式典に参加されることが決まれば,それは大変喜ばしいことだと思います。まだ正式には何もご連絡はありませんので,〔参加されるかどうか〕わかりませんけれども,我々もさまざまな機会を通じてバッハ会長に広島にお越しいただくように要望してきたところでありますので,県民を代表して,もし〔バッハ会長が広島に〕いらっしゃるのであれば,心から歓迎の意を申し上げたいと思います。世界がコロナ対策に追われて,核軍縮問題への関心がやや陰に隠れてしまっているような中で,バッハ会長には,ここ広島から世界に向けて,核兵器のない平和な世界の実現に向けたメッセージを発信していただければと思います。オリンピック・パラリンピック期間中にNPT運用検討会議の開催が予定されていまして,また来年1月には核兵器禁止条約の締約国会議なども予定されています。こういった機会を捉えて,我々も,核兵器のない平和な国際社会の実現に向けて,飛躍的に賛同者を拡大して,また今後の具体的な取組に繋がるように取り組んでいきたいと考えているところです。

よって、警備費用が広島持ちになることがそこまでおかしなことにはなりません。

「オバマ訪問のときはアメリカ側も負担していたから」…という話もありますが、オバマ大統領の広島訪問は日本政府の働きかけで実現したものなので、国が1400万円程支出していました。

ローマ教皇の訪問の場合、広島側が少し負担したようですが、全額ではないようです。

訪問の経緯や交渉次第、といったところでしょう。

「バッハ宿泊のホテルオークラVIPルームは1泊300万!250万円!」

日刊ゲンダイ IOCバッハ会長は1泊300万円のVIPルームに滞在 “ぼったくり”ぶりに「ビジホで充分」と抗議増殖! 公開日:2021/07/13 06:00 更新日:2021/07/13 09:47

https://web.archive.org/web/20210713001327/https://news.yahoo.co.jp/articles/ae841d12add08fc121d6e68a5858fe8e6a975040

バッハ会長は都心にある超高級ホテルのVIPルームに滞在している。宿泊費は1泊300万円といわれるが、IOCが支払う上限は400ドル(約4万4000円)と定められているため、差額は組織委、つまり税金で負担するという。

日刊ゲンダイのWEB記事等で上掲記事が出たあと、紙面では以下書かれていたらしい。

プレジデントオンライン 2021/07/27 17:00 「1泊250万円のホテルで大豪遊」日本をしゃぶり尽くしたバッハ会長が次に狙うもの

週刊現代(7/24日号)でノンフィクション・ライターの森功がこうリポートしている。

バッハが宿泊しているのは虎ノ門にある「The Okura Tokyo」の1泊250万円のインペリアルスイートルームだそうだ。

だが、バッハが払うのはIOCの規定で、最大で1泊4万4000円までだから、その差額を日本側が払わなければならない。

「バッハ会長が宿泊するホテルオークラのVIPルームは1泊300万円!250万円!」という噂話が広がりました。

しかし、 これも虚偽が含まれていました。

ホテル代は全額がIOC負担、泊まった部屋も不明でゲンダイは記事削除

幹部らのホテル宿泊料、IOCが全額負担へ 東京五輪 - 東京オリンピック:朝日新聞デジタル2021年6月11日

東京オリンピック(五輪)で来日する国際オリンピック委員会(IOC)の幹部らが宿泊するホテルの宿泊料について、IOCが全額負担することになったことが10日わかった。

 宿泊料は当時の招致委員会が「1泊400ドル(4万4千円)を超えた場合、差額は(招致後にできる)組織委が保証する」と立候補ファイルに記していた。組織委は2017年10月、大会経費の肥大化への批判を受け、25項目の経費削減案をIOCに提示。その一つとして、IOC幹部らの宿泊料を全額負担するようIOCに持ちかけた。

 当時はIOCが猛反発し、「不平等条約を結んだみたいだ」と語る組織委幹部もいた。しかし交渉を継続し、今年に入ってIOCが譲歩したという。組織委は「延期や新型コロナ対策などで東京側の負担が大きくなっていることを踏まえ、ご検討された結果ではないか」とコメントした。

 IOCは開催都市契約に付属する要件で「四つ星~五つ星のホテルを1600室、33泊確保すること」を義務付けており、組織委は三つのホテルの部屋を確保している。IOCが負担することになった宿泊料の総額は非公表。組織委は「1泊300万円などの部屋を使うことは、そもそもない」と説明している。(前田大輔)

既に6月11日の時点でホテル代はIOC(国際オリンピック委員会)が全額を負担することになっていると報道されていました。

ゲンダイやプレジデントオンラインは、それでも「超過分は日本側が負担」と書いており、それによってSNSでは「税金から超過分が出ている!」「バッハはやはりぼったくり男爵!」という言説であふれていきました。

おそらくですが、警備上の関係で宿泊している部屋を否定も肯定もしなかったのだと思われ、バッハ氏が帰国したため、これから詳細が出てくるかもしれません。

バッハ会長を「ぼったくり男爵」とする捏造言論空間

日本においてバッハ会長を「ぼったくり男爵」とし、一挙手一投足を否定する捏造言論空間が生まれたのがオリンピック開幕3か月前くらいからの話です。

それについては別稿でまとめます。

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