事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

バイデン大統領が台湾有事の軍事介入示唆は失言?安倍晋三元総理の提言通りの「戦略的曖昧政策」変更?後日バイデンは否定も

戦略的曖昧政策に変化が

バイデン大統領が台湾有事の際の軍事介入示唆

Biden Pledges to Defend Taiwan if It Faces a Chinese Attack - The New York Times

Biden: US would intervene with military to defend Taiwan - ABC News

アメリカのバイデン大統領が、日本での首脳会談後の記者会見で、中国が侵略した場合に台湾を守るために軍事的に関与する意思があるかどうか尋ねられ、"Yes""それが私たちのコミットメントだ"と答えました。

台湾有事の際にはアメリカが軍事介入をすることを示唆する発言だとして、英語メディアも関心を寄せています。

バイデン大統領の発言は失言?ホワイトハウスが火消し?

NHKが、台湾侵攻をめぐるバイデン大統領の新しい発言を「失言」と報じたのは、おかしい|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

バイデン大統領の発言ですが、ホワイトハウスとしては「火消し」をしているようです。もっとも、それがどういう意味なのかはよくわかりません。

安倍晋三元総理の提言通りの「戦略的曖昧政策」変更?

台湾に対する米国の戦略的曖昧政策は終わるべきだ by Abe Shinzō - Project Syndicate

台湾への攻撃に対してどういう対応を取るか、米国は定義しないままにしておくことを選好しているために、中国は(少なくとも今までは)軍事的冒険を踏みとどまらされてきた。これは、米国が本当に軍事介入する可能性を、中国の指導者たちは計算に入れざるをえないからだ。一方、台湾に対しては、「武力介入しないかもしれない」と思わせ、急進的独立派を抑止してきた。「ヤヌスの顔」をあえて見せるのが、米国年来の戦略的曖昧政策だ。

しかしウクライナ、台湾を比べて指摘できる第三の相違点は、最も深刻で、米国の戦略的曖昧政策に、強く再考を促すものとなっている。

~省略~

同政策は、米国が十分に強く、中国が軍事力で米国に対してはるかに見劣りした間は、極めて有効に働いた。

そんな時代は、終わりを告げた。いまや曖昧政策は、北京には米国の決意を見くびらせ、台北にはいたずらな不安を抱かせることで、地域に不安定を育てているといえるのではないか。

 戦略的曖昧政策が採用されて今日に至るまでの状況の変化を踏まえるなら、米国は、誤解の余地がない、解釈に幅のないステートメントを発出すべきである。中国によるいかなる台湾侵攻に対しても米国は「台湾を防衛する」という明快な意思表示をするべき時が、訪れた。

英語版はこちら⇒US Strategic Ambiguity Over Taiwan Must End by Abe Shinzō - Project Syndicate

安倍晋三議員が令和4年4月12日に国際的なNPOのProject Syndicateに寄稿した論文では、既に「アメリカは中国に対する戦略的曖昧政策を変更し、台湾を防衛するという明快な意思表示をするべきだ」と主張していました。

U.S. President Biden: no change to policy of strategic ambiguity on Taiwan | Reuters

もっとも、バイデンは24日には「政策に変更はない」と返答しています。ただ、台湾を守るために軍隊を地上に置くかどうかについての質問には答えませんでした。

篠田教授の言うように、【戦略的曖昧性の様相が変化している】というあたりが現時点での穏当な理解なのでしょう。

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