戦略的曖昧政策に変化が
バイデン大統領が台湾有事の際の軍事介入示唆
Biden Pledges to Defend Taiwan if It Faces a Chinese Attack - The New York Times
Biden: US would intervene with military to defend Taiwan - ABC News
アメリカのバイデン大統領が、日本での首脳会談後の記者会見で、中国が侵略した場合に台湾を守るために軍事的に関与する意思があるかどうか尋ねられ、"Yes""それが私たちのコミットメントだ"と答えました。
#BREAKING: President Joe Biden said he'd be willing to use military force to defend Taiwan. pic.twitter.com/Vf7gdkK8UF
— Moshe Schwartz (@YWNReporter) 2022年5月23日
台湾有事の際にはアメリカが軍事介入をすることを示唆する発言だとして、英語メディアも関心を寄せています。
バイデン大統領の発言は失言?ホワイトハウスが火消し?
CNNによれば、バイデン発言の軍事的関与は武器売却など一連のものを指すとのことだが、この逃げは辛いと思う。
— Ryo Sahashi / 佐橋亮 (@ryo384_ir) 2022年5月24日
ただ、ホワイトハウスのスタッフすらも大統領の発言に真に驚いていることは昨日からずっと確かなようだ https://t.co/OGp6HMqJdJ
今回の発言に関しては失言という解釈がかなり難しいのではないか、という見方が強まっています。
— Ryo Sahashi / 佐橋亮 (@ryo384_ir) 2022年5月23日
私も、またメディアに引用されている政府関係者(日米)も当惑を隠せないままですが、バイデン「個人」が本当にこう考えていると想定する方が筋が通る、ということです。
NHKが、台湾侵攻をめぐるバイデン大統領の新しい発言を「失言」と報じたのは、おかしい|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road
発言があった当地の日本で、自民党外交部会長と小谷先生で解釈が割れるという「曖昧」な状況。意外な形で続く戦略的曖昧性。
— 篠田英朗 Hideaki SHINODA (@ShinodaHideaki) 2022年5月23日
小谷先生が正しいでしょう。ただ全てが明確ではない。戦略的曖昧性の様相が変化している、としか思えない。#Yahooニュースhttps://t.co/a1MBf247Qx
バイデン大統領の発言ですが、ホワイトハウスとしては「火消し」をしているようです。もっとも、それがどういう意味なのかはよくわかりません。
安倍晋三元総理の提言通りの「戦略的曖昧政策」変更?
台湾に対する米国の戦略的曖昧政策は終わるべきだ by Abe Shinzō - Project Syndicate
台湾への攻撃に対してどういう対応を取るか、米国は定義しないままにしておくことを選好しているために、中国は(少なくとも今までは)軍事的冒険を踏みとどまらされてきた。これは、米国が本当に軍事介入する可能性を、中国の指導者たちは計算に入れざるをえないからだ。一方、台湾に対しては、「武力介入しないかもしれない」と思わせ、急進的独立派を抑止してきた。「ヤヌスの顔」をあえて見せるのが、米国年来の戦略的曖昧政策だ。
しかしウクライナ、台湾を比べて指摘できる第三の相違点は、最も深刻で、米国の戦略的曖昧政策に、強く再考を促すものとなっている。
~省略~
同政策は、米国が十分に強く、中国が軍事力で米国に対してはるかに見劣りした間は、極めて有効に働いた。
そんな時代は、終わりを告げた。いまや曖昧政策は、北京には米国の決意を見くびらせ、台北にはいたずらな不安を抱かせることで、地域に不安定を育てているといえるのではないか。
戦略的曖昧政策が採用されて今日に至るまでの状況の変化を踏まえるなら、米国は、誤解の余地がない、解釈に幅のないステートメントを発出すべきである。中国によるいかなる台湾侵攻に対しても米国は「台湾を防衛する」という明快な意思表示をするべき時が、訪れた。
英語版はこちら⇒US Strategic Ambiguity Over Taiwan Must End by Abe Shinzō - Project Syndicate
安倍晋三議員が令和4年4月12日に国際的なNPOのProject Syndicateに寄稿した論文では、既に「アメリカは中国に対する戦略的曖昧政策を変更し、台湾を防衛するという明快な意思表示をするべきだ」と主張していました。
U.S. President Biden: no change to policy of strategic ambiguity on Taiwan | Reuters
もっとも、バイデンは24日には「政策に変更はない」と返答しています。ただ、台湾を守るために軍隊を地上に置くかどうかについての質問には答えませんでした。
篠田教授の言うように、【戦略的曖昧性の様相が変化している】というあたりが現時点での穏当な理解なのでしょう。
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