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細野豪志議員「自衛官の処遇改善、石破政権の爆速対応は大きな成果」関係閣僚会議の基本方針を読む

これは素晴らしい

細野豪志「自衛官の処遇改善、石破政権の爆速対応は大きな成果」

自由民主党の細野豪志議員が、「長年、自衛官の処遇改善に取り組んできた私から見ると石破政権の爆速対応は大きな成果」「若手自衛官の処遇改善が進み、募集環境は改善した。2025年は俸給表改定に全力で取り組む」とXに投稿し、具体例を挙げています。

これは良い成果でしょう。

調べてみると、これだけに留まらない待遇改善が目指されていました。

自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針

細野議員が言っていることは、【自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議】の資料で確認できます。

自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針 令和6年12月20日

設置根拠を見ると、「令和6年10月9日内閣総理大臣決裁」となっており、石破政権下で発足したのが分かります。

これに先立つ令和6年10月7日の国会*1の時点で、既に関係閣僚会議の設置が決まっていたようです。

過去に例のない30を超える手当等の新設・金額の引上げ等が方針に

基本方針では「過去に例のない30を超える手当等の新設・金額の引上げ等」を行うとしており、細野議員が書いた以下の内容が確認できます。

  • 自衛官候補生廃止(初任給157,000円から198,800円)
  • 営内生活者の給付金(20万円/年)新設。採用後6年で120万円
  • 任官時の一時金22万円から34万円等

自衛官候補生を廃止する理由は、現在の制度では「候補生」として教育を受ける期間があるため、初任給が他の職種と比べて低くなるという問題が指摘されていたところ、特に採用が厳しい任期制士の確保のため当初から自衛官として採用する新たな任期制士を創設し、これにより任務に従事可能な士を確保するとともに、一般曹候補生と同等の処遇に改善していく、ということです。

「募集環境」のみならず、現職の自衛官の待遇改善となる変更も記述されており、細野議員の投稿に関するものとしては、「俸給表の水準や俸給月額の算定の仕組みについて検討し、自衛官の俸給表を令和10年度に改定することを目指す」という方針もあります。

次項ではさらに別の改善策を紹介します。

自衛官の中でも特殊な業務に従事する者に対して、手当を充実、自衛隊奨学生制度を更に拡充

自衛官の中でも特殊な業務に従事する者に対して、手当を充実するとしています。

  • 航空管制業務を担う自衛官に支給する手当(例:1尉であれば月額約2万9千円)
  • 対領空侵犯措置等に対処する航空機の整備員に支給する手当(日額1,200円)及び主要な野外演習等に従事する隊員に支給する手当(日額1,400円)を新設
  • 航空機の乗員に支給する航空手当(例:戦闘機パイロットの1尉であれば月額2万9千円増の約26万5千円に)や災害派遣等手当(日額540円増の2,160円に)を引き上げ
  • 陸海空自衛隊のサイバー専門の部隊等の隊員に特殊作戦手当等を新たに支給(例:1尉であれば月額約2万9千円) 

他、自衛隊奨学生制度を更に拡充し、現行より年額31万2千円増の96万円に引き上げることも盛り込まれていました。

安全保障環境が洒落にならないレベルになってきた、少子高齢化での人材不足が深刻である、ということなのかもしれませんが。

かつて、自衛官募集に際して、適齢期の住民の名簿提出を拒み、コピーすら許さない自治体があるため政府が協力を求めたところ、「それは違法だ!」と問題視されたことがあり、故安倍元総理が法令の政府見解を明示した場面がありました。

が、京都市職員労組などは憲法問題として自衛官募集事務の拒否をしたことがあり、憲法9条が現行のままであることによる事実上の障害が発生していました。自治体職員は「解釈リスク」に晒されているということになります。

さらなる「募集環境の改善」となれば、この辺りも無視できなくなってきたのではないでしょうか。

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*1:第214回国会 衆議院 本会議 第3号 令和6年10月7日

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