事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日本ファクトチェックセンター『「NHKがゼレンスキー大統領会見を打ち切って大河ドラマ」は不正確!』と嘘で炎上:G7広島サミット

また曲解と恣意的印象操作と事実誤認

日本ファクトチェックセンター『「NHKがゼレンスキー大統領会見を打ち切って大河ドラマ」は不正確!』

記事の魚拓

日本ファクトチェックセンター(JFC)が「G7広島サミットが閉幕した2023年5月21日夜、NHKがゼレンスキー大統領の会見の放送を打ち切って、大河ドラマを放送したという言説が拡散された」ことを取り上げました。

そして、『「NHKがゼレンスキー大統領の会見を大河ドラマのために打ち切った」は不正確!』と結論付けました。

その論理展開があまりに不合理なのでファクトチェック…ではなく、問題点を指摘します。

JFCの記事は「検証対象」+「検証過程」+「判定」という構成ですが、「検証過程」の事実関係はその通りなのでそれ以外の部分の記述を取り上げます。

G7広島サミットのゼレンスキー大統領記者会見=演説+記者との質疑応答:NHKの放送内容

「ロシアを最後の侵略者に」 ウクライナ ゼレンスキー大統領 G7広島サミットで何を語った? | NHK

まず、【G7広島サミットでのゼレンスキー大統領会見】がどういうものか。

NHKもまとめているように、【大統領演説+その後の記者との質疑応答がセット】になっているのが「大統領会見」です。ここにメディア毎の認識の差はありません。

国内でのあらゆる公式な場での「会見」も、「演説+記者との質疑応答」であったり、「報告或いは冒頭発言+記者との質疑応答」がセットで「会見」と呼ばれています。

例:内閣官房長官記者会見 | ニュース | 首相官邸ホームページ

「大河ドラマのために」と書いてない言説やほとんど拡散されていないツイートも検証対象に

JFCは2つのツイートと2つのまとめサイトのリンクを貼って「検証対象」としました。

ツイートの「例2」としてリンクが貼られたのは以下のツイート。

https://archive.is/Bh9fi

このツイートは「大河を遅らせてでもスピーチを全て流せ」と書いているにとどまり、「大河のためにぶったぎった」とは書いていません。

しかも、このツイート、現時点で「4件のリツイート、34件のいいね」です。

なぜ、これを取り上げたのか?取り上げるツイートを間違えた?

NHKの放送のみでリアルタイムで視聴している者は、演説がほとんど終わっていたことなど知る由もありませんから、「解説を大河ドラマの時間を割いてでもやってほしい」と思うことに不合理な点はありません。

実際の放送の都合上、妥当な主張なのかは措いておきます。

次に、まとめサイトの「例1」としてリンクが貼られたのは以下の記事

【悲報】NHKさん、ゼレンスキー大統領会見をぶった切って大河ドラマ・・・ | もえるあじあ(・∀・)

もえるあじあ の記事でも、 「【悲報】NHKさん、ゼレンスキー大統領会見をぶった切って大河ドラマ・・・」と書いているだけであり、記事本文には演説の映像配信が途中で切り上げられてスタジオ解説に戻されたことが分かるツイートが添付されています。

つまり、会見の映像を打ち切ってすぐに大河ドラマの放送へ」などという事実経過をこのまとめサイトが伝えているのではありません

「NHKはニュース7の放送時間を通常の30分より長い1時間で組んでいた」ことからは、「NHKはなるべく多くの時間をゼレンスキー大統領会見のために割いていたから不当な評価では」とは言えるでしょうが、事柄の重要性から特番を組むのが当然と考えている者にとっては意味を為しません。

「会見(演説の間違い)のほぼ全文を放送していた」からおかしい、という事実誤認:「会見がぶった切られた」は事実

JFCは以下結論づけています。

判定
NHKはゼレンスキー大統領の演説の最後の挨拶を途中で切ったものの、会見のほぼ全文を放送していた。また、大河ドラマの放送のために打ち切った事実はない。そのため、検証対象の言説は不正確と判定した。

「会見のほぼ全文を放送していた」は、ただの嘘です。

「演説のほぼ全文を放送していた」が正しい。

「大河ドラマの放送のために打ち切った事実はない」というのは、放送時間を通常の30分より長い1時間で組んでいたという関係からそう言っているのでしょうが、「会見が途中でぶったぎられた」は事実。

_____

追記:国際政治学者も「質疑応答まで映すべき」という認識

追記終わり

_____

他方で、「大河ドラマの放送時間を後ろにずらす」「大河ドラマの放送日を延期する」といった方法が採られていないことからは、「大河ドラマのために」と言うことがそこまでおかしな話でしょうか?

たとえば野球やサッカーの試合は、延長されることがあります。

サッカーの日本代表の試合の場合、アジアカップの決勝トーナメントで延長戦がある場合には放送時間が延長され、それ以降の他の放送が中止となる場合もあります。

野球は普段のペナントレースでも一定程度の延長があり、それ以降の他の放送が影響をうけます。

このような日本の放送環境下では、なぜG7広島サミットのゼレンスキー大統領会見という重大な事案について全て放送せず、大河ドラマの放送時間は従前の通りにしたのか?と思うのは当然でしょう。

「大河ドラマの放送のために」という因果関係の叙述が「事実と異なる」とまで言えるほどの事情は、無いはずです。せいぜい、「そのような評価は不当だ」にどとまるでしょう。

百歩譲ってその部分は事実と異なるとしても、それは「会見を打ち切った」という事象の中では枝葉末節の部類の話であり、そもそもファクトチェックの対象にした事自体が疑問です
因果関係をファクトチェックするというのは難しいということについて⇒櫻井よしこ氏「東大をはじめ各大学が防衛大学卒業生の入学拒否」発言の検討の在り方|Nathan(ねーさん)

そして、それを含めたとしても「会見はぶったぎった」のが事実なのであるから、FIJのレーティング基準で言うところ「ほぼ正確」とすべきでしょう。

検証担当者が元NHKの宮本聖二:バイアスが無視できないJFCの運用体制

しかも今回のJFCの記事は、検証担当者が元NHKの宮本聖二氏でした。

これではバイアスがかかっていることの影響が無視できないでしょう。

GoogleがJFCに資金提供していますが、Google自体がバイアスがかかっている疑惑があり、ファクトチェックを謳う団体の適格性に疑問符が付きます。
なお、「同和部落」関係の検索結果も操作されています。「エセ同和 鳥取ループ 示現舎」などで検索してみればわかります。

まとめ:結論ありきのファクトチェックとバイアスの除去に努めないなど、全てが信用ならないJFCの運用

  1. 「会見」と言っているのに「演説」に言い換えて「ほぼ全文が放送」と事実誤認
  2. 検証対象ツイートを無理やり決定している
  3. 「因果関係のファクトチェック」という困難な作業を行っている
  4. 「大河ドラマの放送のために」という因果関係の叙述が「事実と異なる」とまで言えるほどの事情は無い
  5. 検証担当者が元NHKの宮本聖二であり、古巣であるNHK擁護のバイアスがかかっている疑惑が払しょくできない

JFCはつい最近も以下で事実誤認をやらかした上に特定の認識を恣意的に流布していました。

なお、NHKは以下できちんと「会見全文」を掲載しているので、「NHKが仕事をしていない」だとか「隠蔽している」だとかを現時点で言うのは不合理、ということは確実に言えるでしょう。

以上:ランキングバナークリック,はてなブックマーク,ブログ,note等でのご紹介をお願いします