これは…
- 菅直人「維新には低所得者層の人達が共鳴し支持を広げたと分析」
- ヒトラー発言など、維新に否定的な文脈で低所得者を貶める発言か
- 低所得者層ではない者を「勝ち組」:維新支持層は低所得者層なのか?
- 維新は菅直人の発言を立憲民主党に抗議しているが、鈴木宗男の発言は維新の責任?
菅直人「維新には低所得者層の人達が共鳴し支持を広げたと分析」
維新が国政選挙で東京に大挙進出を図ることは必至。大阪維新が都構想が否決されたにもかかわらず、大阪で絶大な政治勢力を築いた原因がどこにあるのか、研究し始めた。自治体の役人が優遇されているという、維新の「役人天国」批判に低所得者層の人達が共鳴し、支持を広げたとの分析が有力。
— 菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党 (@NaotoKan) 2022年1月27日
立憲民主党の菅直人が「維新には低所得者層の人達が共鳴し支持を広げたと分析」とツイート。その見識について問われています。
そのような分析結果はただしいのか?という問題がまず来るが、一応は以下のように考えられる。
- 分析した結果を言ってるだけ
- 維新支持者が低所得者だと言ってるわけではない
- 過去に低所得者を貶める発言は無い(当たり前すぎるが一応指摘)
- が、低所得者層という分析に意味はあるの?
- 政治家が所得による切り分けで分析する妥当性は無いのでは?
このツイートだけでもこのように言えるが、更に低所得者を貶める発言か?については、次項のように維新批判の文脈があることから考えるべき。
ヒトラー発言など、維新に否定的な文脈で低所得者を貶める発言か
菅直人は「維新は弁舌の巧みさではヒトラーを思い起こす」と発言していました。
その評価については上掲記事で論じているが、問題は維新に否定的な文脈が従前から存在していたということ。こうした背景がある中で、前掲ツイートに至るまでのツイートは以下のようになっている。時系列順にしてある。
維新は私の発言について政党である立憲民主党に抗議をするという。しかし、私の発言は党から指示されての発言ではない。私自身の考えを述べたもの。抗議するなら私自身に対してすべきだ。しかし日本は自分の考えを表明することができない社会ではないはずだ。
— 菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党 (@NaotoKan) 2022年1月25日
私が「維新」と戦うと決めたのは辻元さんが維新に敗れた原因を議論した結果、選挙区で維新と真正面から戦わなかったことが原因と判断したからだ。「維新」は「身を切る改革」というイメージだけで全国拡大を狙う。しかし「維新」が勝っても自民と連立で、政権交代にはならず、原発もなくならない。
— 菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党 (@NaotoKan) 2022年1月25日
<続>大阪のように維新が伸びれば自民の議席は減る。維新以外の野党が協力すれば政権交代のチャンスとなる。小選挙区制も、第一位の候補の得票が過半数を超えないときは一位と二位で決選投票するフランスの様な制度に変えるべき。そうすれば決選投票では野党共闘が自然にできる。制度変更も簡単。
— 菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党 (@NaotoKan) 2022年1月25日
私の21日のツイッターに関し、維新から立憲の泉代表に抗議文が届けられた。ツイッターは党の指示ではなく私の一存で発した、私の感想を述べたもの。維新からは私には直接何も言ってきていない。私のツイッターに抗議するなら私にするべき。いずれにしても的外れな謝罪要求に応ずるつもりはない。
— 菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党 (@NaotoKan) 2022年1月26日
朝日朝刊に「菅直人氏投稿維新が抗議文」の記事。しかし維新から私には何も言ってこない。逆に私が見たテレビでは橋下元維新代表の過去の発言に関する記者の質問に、現執行部は「橋下氏に聞いてくれ」と答えを拒否。今回のことを契機に橋下氏など維新幹部の過去の発言が検証されるのは結構なことだ。。
— 菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党 (@NaotoKan) 2022年1月27日
どうだろうか。
低所得者層ではない者を「勝ち組」:維新支持層は低所得者層なのか?
私が維新が大阪で絶大な政治勢力を築いた原因を問うたところ、多くの方からメールがありました。ありがとう。維新に共鳴したのは低所得者ではなくむしろ「勝ち組」という説、在版メデイアのよいしょ報道説など興味深い意見が満載。全国が維新にムードで席巻されないようににしっかり研究するつもり。
— 菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党 (@NaotoKan) 2022年1月27日
その後、菅直人は「維新に共鳴したのは低所得者ではなくむしろ「勝ち組」という説、在版メデイアのよいしょ報道説など興味深い意見が満載」とツイート。
「という説」だとか「と言われている」との表現で、自分の言葉では無いから問題無い、という論調がとられる場合があるが、どこから取ってきたのだろう?
私も当初、そう思っていたのですが、共鳴したのは「低所得者層」ではなく、むしろ「勝ち組」の連中だと思います。大石さんの本や、関西学院大学だったか、維新分析をやっている学者さんの論文なども参考になさってください。
— 松尾真 (@sakaemura_net) 2022年1月27日
Twitterでそのようなことを言っている人を検索した程度だが、見つかったのは菅直人の「低所得者が共鳴」ツイートのリプ欄にこのツイートがあったのみ。まさかこの意見だけを見て「説」として扱っているのだろうか?また、他者の分析を利用するとしても「勝ち組」という表現は政治家なら修正すべきだろう。
そもそも維新支持層は低所得者層なのか?という点については以下のような指摘も。
管見の限り逆のことを示唆している分析の方が主流のように思いますが、だとしても政治家がわざわざ外に向けて言うようなことではないかと
— バレット (@Barrettm95sp) 2022年1月28日
「あの店は低所得者を相手に商売してる」とかTwitterに書く元店長の店に、言われた人たちは果たして行ってみたいと思うかなあ… https://t.co/5eqCDv8aIa
大阪の政治に関する情報をデータとしてまとめているバレット氏も指摘しているように、いずれにしても選挙における投票行動に関して、政治家が所得と紐づけて論じることは基本的に不適切ではないだろうか?
政治家が有権者の投票行動を分析するための切り口として「所得の多寡」を要素にすることに意味があるのか、あるとしてもそれを公言するのは良くないだろうと。
さらに立憲民主党は(というか多くの政党は建前上)「弱者に寄り添う政治」を標ぼうするが、その党の顧問が「(少なくとも大阪において)弱者が共鳴しているのは他の党です」と言うというのは、敗北宣言にもなっているということにならないだろうか?
維新は菅直人の発言を立憲民主党に抗議しているが、鈴木宗男の発言は維新の責任?
鈴木宗男氏、佐藤優氏は親露派武装勢力の地域はウクライナ共和国の一部ではない、という見解なのね。
— happy_kombu (@Happy_kombu) 2022年1月28日
維新の会所属の国会議員が公言してるけど、これに関して党の見解はどうなんだろうか?#primenews #プライムニュース
余談だが、1月28日のBSフジプライムニュースでウクライナロシア情勢に関して鈴木宗男議員が出演していたが、冒頭からウクライナから仕掛けたことが現在の緊張状態の原因であると発言し、ドローンの性能についても誤った理解を示していた。
維新は菅直人のTwitter上での発言を立憲民主党に抗議しているが、ならば識者として出演要請され公共の電波を使って発信された鈴木宗男の発言は維新の責任とするだろうか?
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