仮にこの理屈を採るとどうなるか?ということに思い至らないあたりが…
川内博史シリーズ↓↓↓
川内博史「国葬は税金使うから国民の権利利益に影響ある」
今日の野党ヒヤで内閣府参事官は、「国葬」を閣議決定で出来る根拠として「国民の権利•利益に影響を及ぼさない行政の作用だから」と答えた。
— 川内 博史 (@kawauchihiroshi) 2022年8月9日
全額、国民の税金使って実施する儀式が、なぜ国民の権利•利益に影響無いと言えるのか、分からん。
立憲民主党の川内博史 氏(前衆議院議員:鹿児島1区)が「国葬は税金を使うから国民の権利利益に影響ある」とツイート。
野党合同ヒアリングで内閣府参事官が国葬を閣議決定で実施できる根拠として「国民の権利利益に影響を及ぼさない行政の作用だから」と言ったことに対する疑問として書かれています。
川内氏の論が正しいとするとどうなるか?
この理屈だと外国人への生活保護給付は侵害であり違憲
外国人への生活保護給付は法律上の根拠はありません。
最高裁平成26年7月18日判決(平成24年(行ヒ)第45号で確定してる理解です。
参考1(判決文掲載):「永住外国人生活保護訴訟 最高裁判決」判決文(全文掲載) - 荻上チキ・Session-22
参考2(解説):https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/20038509.pdf
参考3(解説):https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/2800470/p051.pdf
外国人への生活保護は以下の通知を根拠に為されてきました。
○生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について(昭和二九年五月八日)(社発第三八二号)(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)
本件通知は、外国人は生活保護法の適用対象とはならないとしつつ、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては日本国民に対する生活保護の決定実施の取扱いに準じて必要と認める保護を行うものとしていました。
平成2年10月には厚生省が出入国管理及び難民認定法別表第2記載の外国人(以下「永住的外国人」という。)に限定する旨の取扱いの方針が示されました。
その上で、最高裁は、旧生活保護法と比べても現行の生活保護法は「国民」のみを対象にしていることを明確にしていることから、外国人を対象にしていないこと(永住的外国人でも)、外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまると判示しました。
判決の意味を分かりやすく言うと
- 外国人を生活保護法の対象としなくとも憲法違反じゃない
- 外国人に生活保護給付をしても憲法違反じゃない
こういうことになります。
なぜ外国人への生活保護給付が法律上の根拠無く可能なのかというと、国民・市民への"侵害"じゃないからです。
川内氏の論が正しいとするなら、外国人への給付は日本国民への「侵害」になり許されません。法律上の根拠が無いのだから。
「税金を使うから」という理由で法令が必要なら、およそあらゆる国家の行為はまわりまわって税金を使っていると言えるのであり、無限の法規が必要になります。
なお、日本国憲法は「国民」の文言を使っていますが、権利の性質上日本国民のみをその対象と解されるものを除き外国人にも保障が及びます。
国葬を閣議決定でできる根拠は法的制限が無いから:法律に基づく行政の誤解
国葬を閣議決定できる根拠を一言で言うと、「法的制限が無いから」です。
具体的には
- 国葬を行う国家作用は三権のうち行政権が適切
- 「法律の留保」の判例実務の考え方からして国民に対する「侵害」でない国葬は行政権が法律に基づかなく行っても違憲ではない
こういう話です。
特に2番の話は「法律に基づく行政」というワードを勘違いしている人たちが騒いでることが多いので、詳しくは以下などでどうぞ。
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