事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

法廷で「レインボーカラーの靴下隠せ」福岡地裁裁判長の法定警察権行使の問題

レインボーカラー靴下

バカなんじゃないだろうか

法廷で「レインボーカラーの靴下隠せ」

 「レインボーカラーの靴下隠して」 福岡地裁、同性婚訴訟で傍聴人に:朝日新聞デジタル

裁判官には、法廷の秩序維持に必要な処置をとる裁量があるが、原告側からは「トラブルになったことはなかった。行き過ぎだ」と批判する声があがる。

 弁護団によると、6月8日の判決当日、開廷の約1時間前に、裁判所書記官から「入廷する人でレインボーカラーを身に着けている人は隠すように」などと弁護団側に伝えられたという。

法廷で「レインボーカラーの靴下を隠せ」という指示があったという報道。

虹色腕時計を付けている傍聴人も取り外すよう指示されたとあります。

おかしいだろう。

福岡地裁裁判長の法定警察権行使の問題

虹色なんてありふれたデザインなわけで、LGBTではないのに、これではむしろ裁判所がお墨付きを与えた事になってる。

鈴木さんは柄が見えないように靴下を折り曲げて法廷に入ったが、「レインボーは自分も含めた性的マイノリティーの連帯の象徴。裁判官からも見えない靴下の柄まで裁判所が指定してくるのは異常だ」と憤る

この主張もおかしいが、裁判長の命令はこれを追認するようなもの。

①権利利益を何ら侵害しないものであり、且つ、②争いを生じさせるものでは無いものにまで③裁判官の「危惧感」だけで法廷警察権を行使するのは裁量の逸脱濫用だろう。

それにしても朝日新聞のサムネイルにある画像は上手い。

バッグの虹色文字は何も言われてない】という矛盾を突きつけている

フジ住宅のブルーリボンバッジ訴訟との類似性

類似の法定警察権の行使として、フジ住宅訴訟におけるブルーリボンバッジの着用禁止事件があります。これは別個の「ブルーリボンバッジ訴訟」にまで発展しましたが、一審大阪地裁ではフジ住宅側が敗訴しています。

理由としては、⓪「バッジを巡る争いが生じていた」とのことでしたが、①本来相手をdisる意味は無く、②そのことは従前から客観的に明らかであり、③相手方が文句を言いだしてから外すよう指示され、④それ以前の別のバッジに関してもフジ住宅側の抗議はすべて無視されていた、という事情がありました。

さらに⑤「拉致問題の啓発」については法律があり、啓発を受けた国民が常時その類の標章を着用することへの配慮にかけているとも言えます。

「レインボー靴下」の事案では、「バッジを巡る争い」が存在していないこと、ブルーリボンバッジのように法律(理念法)によって配慮が求められるべきものではない、という違いがあります。

ブルーリボンバッジ訴訟の判決ではこの点が強調されていることから、その理屈で言えば本件はその事情が存在せず、アウトのはずです。

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