新型コロナウイルスを最初に告発したが、虚偽だとして中国当局から処分を受けた、中国武漢市の李文亮医師(眼科医)の命日は、2月6日?2月7日?
- 新型コロナを告発した中国武漢の李文亮医師
- 武漢市中心医院は7日午前2時58分(日本時間同3時58分)に亡くなったと説明
- WHOの李文亮医師の死を悼むツイートの削除
- 海外メディアも李文亮医師の死に関するチャイナの報道の混乱を報じる
- その他情報の混乱・陰謀論?の残滓
- 「殺害された」等のGoogle検索レコメンドも削除
- 中国の武漢=China Wuhanの李文亮医師の命日に黙祷を
新型コロナを告発した中国武漢の李文亮医師
武漢肺炎:最早公開疫情「吹哨人」李文亮去世 - BBC News 中文2020年2月6日 最近更新: 2020年2月6日
綜合中國官方《人民日報》、《環球時報》、《新京報》、界面新聞等報道,李文亮當晚9時30分心跳停止。他年僅34歲,留下妻子和5歲的孩子。
《人民日報》、《環球時報》、《新京報》という3紙が報じているというのですから、一応は根拠がある情報だと思うのが通常の反応でしょう。
しかし、この報道は後に覆ることになります。
武漢市中心医院は7日午前2時58分(日本時間同3時58分)に亡くなったと説明
新型肺炎に警鐘鳴らした中国人医師李氏が死去-武漢の病院発表 - Bloomberg(魚拓)
武漢市中心医院は中国版ツイッターの微博(ウェイボ)への投稿で、「当院の眼科医、李文亮氏は不運にも新型コロナウイルスの感染拡大と闘う取り組みの中で罹患(りかん)」し、あらゆる救命措置を講じたものの、7日午前2時58分(日本時間同3時58分)に亡くなったと説明した。
李文亮医師が入院していた武漢市中心医院からは、日本時間の7日3時58分に死亡したことが公表されています。
この5時間半のずれはいったいどういうことでしょうか?
WHOの李文亮医師の死を悼むツイートの削除
https://twitter.com/WHO/status/1225440373880782848(魚拓)
https://archive.is/https://twitter.com/WHO/status/1225440373880782848
WHOが李文亮医師の死を悼むツイートを(日本時間で)7日の0時25分にしていますが、これは21時30分死亡の報道を受けてのものと言えます。その後、早くて日本時間の7日2時21分以降に削除されました。
At today's #2019nCoV media briefing @DrMikeRyan was asked about reports that Dr Li Wenliang had passed away, and he expressed condolences.
— World Health Organization (WHO) (@WHO) 2020年2月6日
WHO has no information on the status of Dr Li. pic.twitter.com/59UzWpcfa7
午前3時35分、WHOは李医師の状況について情報を持ち合わせていない、と修正のツイートをしています。その後、李医師(Dr Li Wenliang)に関するツイートはありません。
WHOの発信が中国当局に影響を受けているのではないか?については以下参照。
中国がいかにしてWHOを騙したか(動画補足資料)|海外ニュース翻訳情報局★樺島万里子|note
海外メディアも李文亮医師の死に関するチャイナの報道の混乱を報じる
中国、ウイルス警告医師の死で情報統制か 報道錯綜に批判 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
中国の政府系大衆紙、環球時報(Global Times)と国営の中国中央テレビ(CCTV)は当初、中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」上で、李医師が6日夜に死亡したと伝えた。このニュースは微博上で一躍注目のトピックとなったが、両メディアの投稿は後に削除された。
中国メディア各社はその後、李医師が「緊急治療」を受けていると報道。最終的に7日午前3時(日本時間同4時)ごろ、医師の死亡を伝えた。
6日夜、ウェイボーではハッシュタグ「李文亮医生去世」(李文亮医師が死去)が検索ランキングで首位となり、閲覧回数は10億回、コメント数は110万件を超えた。だがこのハッシュタグは7日朝までにトレンド上位20位から姿を消した。香港大学(University of Hong Kong)で中国の検閲パターンを研究している傅景華(Fu King-wa)准教授はAFPに対し、「ランキングは操作されたようだ」と指摘した。
海外メディアも李文亮医師の死に関するチャイナの報道の混乱を報じています。
微博では多数の医師の個人アカウントが6日21時30分頃に李文亮医師の死亡を伝える投稿をしていたとする指摘もありますが(その事実については調べてません)、それが中国メディアの報道に影響を与えたのかどうかは不明です。
その他情報の混乱・陰謀論?の残滓
I am eating my words. Dr Lee’s heart stopped at 930pm but they are still trying to resuscitate him.#prayingforamiracle https://t.co/1qK37XlLzU pic.twitter.com/JeKXWkYhCy
— Wei Ting (@intewig) 2020年2月6日
李文亮医師が21時30分に死亡したと報じられた後、しばらくは「蘇生が試みられている」という発信等もありましたが、5時間半のタイムラグの理由を「心肺蘇生」に求めるのは不可能です。
この投稿の画像時点で既に死亡から3時間経過しており、武漢中心医院や医師個人の微博上の投稿は、蘇生を行っているとは読めません("ecom"はECMOの誤字だろう。つまり、存命中の「治療」を行っている事を示唆する)。
単に情報の混乱があっただけなのか祈り・願望だったのか何なのか…
また、以下のような投稿があるが、死後にECMOで強制的に心肺循環させた場合に死後硬直の時刻を誤魔化せるのかはよくわかりません。本当に当局が介入しているならどうせ検視結果もコントロールできるのでそんな小細工は不要ではないかとも思いますが…
病院の院長は怒られるのが怖いからすでに李医師が死後硬直になっててもECMOをつけたまま。生も死も政府が決めるもの。 pic.twitter.com/f6K2u0aDsG
— よう (@yoh76415) 2020年2月7日
「殺害された」等のGoogle検索レコメンドも削除
これは同じPCで同じChromeブラウザを使ってGoogleとDuckDuckGoの検索エンジン上のレコメンドを確認したものですが(2020年12月23日12時頃)、DuckDuckGoでは不穏なレコメンドが出てくるのに対してGoogleでは一切のレコメンドが出てこないようになっています。
このあたりも奇妙な状況です。
中国の武漢=China Wuhanの李文亮医師の命日に黙祷を
中国武漢市の李文亮医師の命日は2月6日夜なのか7日未明なのか、という情報の混乱がなぜ生じているのか、これで把握できたと思います(オフィシャルには後者か)。
いずれにしても、彼の「命日」に黙祷を捧げることを全世界の人間がやれば良いと思うのです。それがまだ発祥間もなく正体不明だった新型コロナの脅威と、それに立ち向かった中国の医師たちの勇気を風化させないことになると思うのです。
以上