事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

フェミ議連の増田かおる「地方議員が警察に圧力できるはずないでしょう?」への反証

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「地方議員が警察に圧力をかけることはできない」

について真面目に整理してみました。

フェミ議連の増田かおる「警察に圧力できるはずないでしょう?」

Vtuber戸定梨香の交通安全PR動画に対して、キャラクターの造形が「性的対象化」であり「性犯罪誘発のおそれ」のため警察に削除するよう全国フェミニスト議員連盟抗議した結果、警察アカウントから削除された問題。

フェミ議連の増田かおる(松戸市議会議員)が「地方議員が警察に圧力をかけるなんてできるはずないでしょう?」とツイートしていることが話題です。

「圧力は不可能」というのは明確にデマです。

都道府県議会の文教警察委員会等を通じた権限による「圧力」が可能

都道府県議会の文教警察委員会(警察委員会だとか名称には違いがある)等を通して都道府県の警察組織に「圧力」をかけるのは可能だというのは法令上明らかであるということを岐阜県垂井町議会議員の太田 けいすけ氏が指摘。

これを「圧力」と呼ぶかどうかは表現の違いであり、「住民から付託された権力・権限の行使」によって警察組織に「要望を通じて影響を与える力」が都道府県議会の議員には備わっています。
(厳密には法的権限は「議会」に付与されているが)

地方自治法では、議会には知事が調製した予算の審議権や必要な調査権限・関係人や参考人に出頭させる権限が定められています。

「議員」が監査委員に任命されることも可能です。

さらに、都道府県の議会に関する条例で、議会の権限がより明確に或いは強化されているものがあります。

宮城県議会基本条例

(議会の機能の強化)

第十九条 議会は、知事等の事務の執行に係る監視及び評価並びに政策立案及び政策提言に関する機能を強化するものとする。

今回のフェミ議連の抗議は「議会」の権限行使ではありませんし千葉県議会議員は抗議文に名を連ねていませんから、その意味では法的に付与された権限を背景にした圧力ではありません。

しかし、増田議員の「地方議員が警察に圧力できるはずないでしょう?」との主張に関していえば、地方議会は「議員」により構成され、議員の背景には議会の権限があるということは自明ですから、一般論として増田議員の主張は誤りということになります。

また、法的権限を背景にしない「圧力」も存在します。

千葉県警担当者「フェミ議連からの抗議の影響はあったと思います」

千葉県警、ご当地VTuber「戸定梨香」さんとのコラボPR動画を削除 「女性蔑視」とフェミニスト団体から抗議(1/2 ページ) - ねとらぼ

―― 全国フェミニスト議会連盟のFacebookを見ると、8月時点で千葉県警などに抗議文を送付していたことが確認できましたが、同団体からの抗議については把握されていましたか。また削除の判断にあたって影響はありましたか。

担当者:承知はしておりました。影響はあったと思います。

今回の件で言えば、千葉県警の担当者に取材したねとらぼが「フェミ議連からの抗議の影響はあったと思います」という言質を引き出しています。

これは法的権限を背景にしない「圧力」の結果でしょう。

誰しもがそういう力を持っています。
(なお、「圧力」だから悪いと言っているのではない。今回の騒動は、そのロジックの問題を指摘しているに過ぎない。)

フェミ議連の言うような「戸定梨香の造形は性対象化であり性犯罪誘発のおそれ」という根拠不明な言い掛かりとは違い、「地方議員が警察に圧力をかけることは可能」については法的根拠と具体的に発生した事件の存在によって明らかなわけです。

※追記:県議会議員が蠢いていたことが判明。前提が変わります。

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